掲載日:2020年3月6日

第29回技術研究発表会開催

2月12日(水)、糸魚川市の「ビーチホールまがたま」にて、高田河川国道事務所工事安全対策協議会主催の「第29回技術研究発表会」を約140名の参加で開催しました。

本技術研究発表会は、当事務所が発注した工事を担当されている技術者の皆さんが、日頃の業務を通じて実践された新しい建設技術の導入や、建設資機材の改良、あるいは施工管理、安全対策、創意工夫等の事例を発表することで、建設事業に携わる現場技術者の技術力の向上を図るとともに、良質な社会資本整備に寄与することを目的として平成元年度から開催しています。

論文発表状況

会長開会あいさつ

開会にあたり、本協議会の遠藤会長(高田河川国道事務所長)より挨拶が行われました。

「最近、生産性向上については様々な分野で話がでていますが、特に新技術・ICTという分野は、この生産性向上というところに非常に大きく寄与する分野です。

いまこれから5年、10年ではあまり変わらないのかもしれませんが、20年、30年という中長期的なスパンで物事を見たときに、きっとこの建設産業のイメージ、あるいは実際の仕事のやり方、そんなものが大きく変わっていくのは間違いないと思います。決して食わず嫌いでなく是非、自分の現場でも取り組めるものがあればどんどん取り組んでいただきたいと思います。

さらに、この新技術・ICTという分野は、学生さんたちや子供たちがこの建設産業の仕事に興味を持っていただく、そういう意味でもイメージを一新することにつながるのではないでしょうか。

今日の発表を皆様のいろんな立場で関心を持って聞いていただいて、これからの仕事に活かしていただければと思います。」

優れた事例「10編」を発表

今年度は、以下の各テーマに35編の論文応募がありました。論文を執筆された皆様には、工事施工のお忙しいなか大変ありがとうございました。

① 新技術・ICT    5編    ④ 施工事例       3編

② 施工計画・施工管理  8編    ⑤ 設計・計画      1編

③ 安全計画・安全管理  8編    ⑥ 創意工夫      10編

 

これらの論文のなかから、優れた事例「10編」を選定し、発表をしていただきました。

また、発注者側から特別発表として、道路管理第二課の三五技官が1編の発表を行いました。

樋口副会長講評

審査委員を代表して、樋口副会長(高田河川国道事務所 副所長)より、発表論文について以下のように講評がありました。

「35編の応募論文から、各現場における課題を解決するために、多方面から検討し、独自の工夫や改良等の対策を講じて、高い成果を上げられた10編の論文を選定し、本日発表いただきました。」

①「新技術・ICT」のテーマからは、2編を発表いただきました。

河道掘削におけるICTの水中掘削への活用事例と、舗装工事でのUAVレーザーを用いた起工測量への活用の事例報告でした。

建設業の生産性向上に向けて、3次元データの活用やICTの導入は、活用を検討する他の現場で、多いに参考となる報告であったと思います。

②「施工計画・施工管理」のテーマからは、1編、発表いただきました。

橋梁の地覆部のコンクリート施工にあたり、事前に調査・検討をし、通過交通による振動等への対策を的確に行い、品質確保を行った事例報告でした。

独自の工夫による対策、取り組みについての報告でありました。

③「安全計画・安全管理」のテーマからは、海岸の防災工事における熱中症の対策についての事例、仮設足場に新技術の次世代足場を採用した事例、安全対策にVRとCIMを活用し、作業員、列車の安全確保を図った事例の3編の発表がありました。

安全確保のための数々の工夫、対策、取り組みについての報告でありました。

④「施工事例」のテーマからは、3編について発表いただきました。

側溝清掃作業で一寸した安価な工夫で、作業環境の改善を図った事例、側溝補修の新工法を採用し、省力化と工期短縮を図った事例、既設構造物の下で橋梁の撤去を行うため、現場の問題を的確に捉え安全かつ確実な施工を行った事例を報告いただきました。

現地状況を踏まえた独自の工夫による数々の対策、取り組みについての報告でありました。

⑤「創意工夫」のテーマからは、1編を発表いただきました。

下地処理にウォータジェットを用いて、工程の短縮、施工の軽減、環境への配慮がなされた事例紹介でした。現場の状況を的確に捉え、創意工夫による取り組みについての報告でありました。

「以上、10編については、いずれも今後の他工事の参考となるものと思います。

この10編以外でも、今回応募のありました論文の中には素晴らしい内容のものがたくさんあり、ぜひ、目を通して、今後の工事で役立つ事例などは、大いに参考としていただきたいと思います。」

 

優秀賞に3編を選定

発表された10編の中から審査の結果、優秀賞3編と奨励賞7編を選定し、賞状の授与が行われました。優秀賞は以下の皆様です。

優秀賞

河道掘削(水中掘削)におけるICT活用事例について

関川下流部河道維持掘削外工事

相村建設株式会社  服部 洋一 氏

地覆コンクリート打設時のひび割れ対策について

令和元年度 糸魚川管内橋梁補修工事

株式会社笠原建設  樋口 貴之 氏

公衆災害防止への取り組み

青海跨線橋旧橋撤去工事

株式会社植木組  山川 敏雄 氏

荊木副会長閉会あいさつ

閉会にあたり、荊木副会長(株式会社上越商会 取締役社長)よりご挨拶をいただきました。

「今日は国土交通省高田河川国道事務所、工事安全対策協議会、第29回の技術研究発表会に大勢の皆さんからご出席をいただきました。誠にありがとうございました。

最初に只今、表彰を受けられました、優秀賞、奨励賞を受賞された10名の皆さん、まことにおめでとうございます。これを契機により一層研さんを積まれて、文字通り他の模範となるように期待をいたします。

それから特別発表をされました三五様、大変ありがとうございました。

なかなか、普段一般の方々が目にしないところで、いろいろな工夫をされているというお話だと思います。

話を聞いていて、だいぶ前になりますけれども、私どもが除雪を今、させていただいておりますが、先人たちがやっているときに、女優の山本富士子さんがトイレを貸してくださいということで、中郷地先だと思いますが、そういうことを永く、代々語り継いでいた職員がいました。隔世の感がありますが、やはり女性の時代ということなんだなとつくづく、聞いていて感じました。ありがとうございました。

さて、時代の背景は皆さんご存じのとおりです。建設産業という厳しい環境の中で今、新担い手三法が成立して、働き方改革、あるいは生産性向上など制度的な環境整備を順次行っていただいているところですが、行政ご当局におかれましては、引き続き安定的かつ、持続的な事業量の確保をお願いいたします。と同時にわれわれ施工者も自助努力を求められているとそういうふうに考えます。

最後になりましたが、今年度のこの発表会が開催できましたことに感謝をして、今日ご参加をいただいた皆様方の今後一層のご活躍を心から祈念いたしまして、閉会の挨拶といたします。」