宮中取水ダム試験放流検証委員会
第3回委員会
以下の2点について審議していただきました。
- 平成23年度(2年目)宮中取水ダム試験放流結果
- 平成24年度(3年目)宮中取水ダム試験放流計画
平成23年度(2年目)宮中取水ダム試験放流結果
【資料説明】
調査結果については東日本旅客鉄道(株)が、検証結果については事務局が説明
【議事】
委員:
JR東日本の独自調査の河川水温調査について、横断面に複数観測しているが、平均的水温はどう捉えればよいのか。そして、本調査の定点観測地点の観測結果と独自調査の観測結果との関係や流れている水の代表的な水温をどう捉えればよいか。
事務局:
河川の流水部を横断的にみると流速や水深によって横断面内のコンディションは多様で、水温も多様に分布している可能性があることから、JR東日本が本調査の補足として独自調査を行ったものである。
また、定点調査では基本的に過年度と同一箇所で観測しているが、河川形態のわずかな変化等で必ずしも観測箇所のコンディションが経年的に同一でない箇所もあったと考えられる。このことから、定点調査結果と独自調査結果との関係整理は難しいものと考えている。
委員:
横断面では多様な水温が存在するということが把握されたことは有意義である。低水温箇所が存在すれば、魚類はそこに逃げ込めたりするので、それは生息環境上好ましいことである。ただし、河川の水温変化は、流量や水深、流速等に影響されるため横断面の代表水温を求めることは困難と考える。
委員:
サケ遡上調査のまとめでは、平成23年度の捕獲数は平成21、22年度と同程度であったと記載されているが、平成21年度は自然流況、平成22年度は試験放流量100m3/s、平成23年度は試験放流量80m3/sと流量が少なくなったことに伴って、捕獲数も減っているようにみえる。
ただ、平成23年度は中小洪水も発生して、実際に宮中取水ダム減水区間に流下していた流量は試験放流量を上回っている。10月、11月の宮中取水ダム平均放流量はどうであったか。
事務局:
平成21年度から平成23年度の新潟県全体のサケ捕獲数は減少傾向、信濃川全体では横ばい、魚野川では微増している等、河川や場所により捕獲数は異なる傾向を示していることから、宮中取水ダムの魚道のサケ捕獲数と宮中取水ダム放流量との間に明確な因果関係を認めることは難しいものと考えている。そのため、本調査結果のまとめとしては、大きな変化は見られなかったと評価した。
東日本旅客鉄道(株):
サケ遡上期を含む時期の宮中取水ダムの日平均放流量は平成22年度が約160m3/s、平成23年度が約180m3/sであり、平成23年度の方が多かった。
委員:
平均的な流量でみれば、平成23年度の方が平成22年度と比較して多かったということか。サケの遡上数には様々な要因が絡んでおり、単純にダム放流量に比例していないことが分かった。
平成24年度(3年目)宮中取水ダム試験放流計画
【資料説明】
試験放流計画について事務局が説明
【議事】
委員:
底生動物の生息ポテンシャルは、平成22年度の調査結果から初春季が最も明瞭に把握できることが示唆された。平成24年度の初春季調査の実施については、平成23年度の初春季調査結果を確認し、平成22年度調査結果と比較し、傾向が大きく変化している場合には実施するということで良いのでは。
事務局:
平成24年度の底生動物調査の初春季調査の実施の有無は、平成23年度の初春季調査結果を平成22年度調査結果と比較し、傾向が大きく変化している場合に実施するとして、平成23年度の初春季調査結果と事務局の案を各委員個別に説明し了承を得ることとする。
委員:
今後、試験放流量を検証するにあたり、各年の流況の評価方法について検討して欲しい。
事務局:
試験放流量が適性かどうかを判断するにあたり、生物生息環境への負荷という観点も含めて評価できるようにしていきたい。具体には、委員の皆様にご相談しながら素案を作成することとしたい。
第3回宮中取水ダム試験放流検証委員会の結果
事務局:
「平成23年度(2年目)宮中取水ダム試験放流結果」、「平成24年度(3年目)宮中取水ダム試験放流計画」については事務局案で了承され、主な意見として及び以下の2点を第23回信濃川中流域水環境改善検討協議会に諮ることとしたい。
①平成24年度の底生動物調査の初春季調査の実施の有無は、平成23年度の初春季調査結果を平成22年度調査結果と比較し、傾向が大きく変化している場合に実施するとして、平成23年度の初春季調査結果と事務局の案を各委員個別に説明することとする。
②各年の流況(ダム放流量)の評価方法についての素案を事務局で作成し、個別に委員にご相談させていただきながら、最終的な評価方法案を次回の検証委員会までに提示することとする。