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信濃川中流域水環境改善検討協議会

第20回協議会

第20回協議会では、以下の3点について協議が行われました

  • 平成21年度信濃川中流域モニタリング結果の報告
  • 平成22年度信濃川中流域モニタリング計画(案)について
  • その他

平成21年度信濃川中流域モニタリング結果の報告

【事務局説明】

 


[宮中取水ダム放流量の変化]

  • 取水が停止された平成21年3月10日以降は、180〜200m3/sの放流時間が最も長く、最低でも82.07m3/sが放流され、過年度より大幅に流量が増加した。


[河川形態調査]

  • 同じ調査を行った減水年の平成18年と同様の手法で実施。
  • 平成21年は流量が増加したことに伴い、同じ調査を行った減水年の平成18年と比較して全ての調査地点で、水域面積が増加し陸域面積が減少していた。また、増加した水域においては、早瀬や平瀬といった流水域が大きく増加し、淵やワンドといった止水域がやや減少している傾向がみられた。
  • 全体的には、早瀬、平瀬、淵、浅場、ワンドなど様々な環境がモザイク状に出現しており、生物の生息・生育場として多様な環境が現れたと言える。

 


[河川水温調査]

  • H14〜H18調査と同様の手法で調査地点の河川内に自記式水温計を設置し、河川水温の連続観測を実施。
  • 夏期(7月26日〜9月5日)の水温上昇が特に顕著であった宮中減水区間では、平成21年の河川水温の大幅な上昇は見られず、最高水温は28℃を下回った。
  • 平成21年の夏期(7月26日〜9月5日)の河川水温は、宮中取水ダムから川井大橋にかけて水温の上昇がみられたものの、これまで宮中減水区間において確認されていた顕著な水温の上昇は見られなかった。これは、今年の宮中取水ダムより下流で流量が多かったことにより、河川水温の上昇が抑制されたと考えられる。
  • このほか平成21年は、十日町橋、栄橋、川井大橋のワンドで本川筋と比較して水温が低い低水温箇所が確認された。減水年である平成18年度の調査でも同様に低水温箇所が確認されていることから、異なる流量下においても低水温箇所が存在することを確認した。このような場所は、高水温時において冷水性魚類等の避難場所として利用されると考えられる。

 

 

 


[付着藻類調査]

  • H20調査と同様の手法で実施。
  • 平成21年の宮中減水区間における付着藻類の異常繁茂面積は、十日町橋で平成20年と比較して大きく減少していた。これは、流量の増加によって水深が増し流速が上がったことで、藻類の異常繁茂が抑えられたことによるものと考えられる。
  • 既往検討との比較の結果、異常繁茂面積の割合は、十日町橋及び川井大橋の2地点は、予測と調査結果がほぼ同じであった。栄橋は予測より調査結果が若干低かった。

 

 


[底生動物調査]

  • H11、H14〜18調査と同様の手法で実施。
  • 平成21年の調査の結果、宮中減水区間の十日町橋、栄橋、川井大橋において、過年度と比較して1m2当りの底生動物種数の増加がみられた。1m2当りの個体数及び湿重量については、明確な傾向は見出すことができなかった。
  • 平成21年の宮中減水区間の1m2当りの湿重量は、非減水区間の上田橋及び上片貝と比較して、十日町橋及び栄橋では大きな差はなく、川井大橋は少なかった。

 

 


[魚類(生息状況)調査]

  • H11、H13〜17調査と同様の手法で実施。
  • 平成21年度のモニタリングの結果、宮中減水区間の流量の増加による魚類の確認種数に大きな変化がなかった。
  • 冷水性魚類は、確認種数に大きな変化が見られなかったものの、宮中減水区間では例年と比較して確認個体数が多かった。
  • このほか、地元漁協の中魚沼漁協によれば、支川の清津川で例年に比べて多くのアユが獲れているとのことであった。

 

 

 


[魚類(生息場)調査]

  • 現地調査の結果、千曲川11.3k地点において水深30cm以上の最も狭い箇所の澪筋の幅が17.0mであり、目標としていた13.5m以上の澪筋の幅が確保されていることが確認できた。

 


[魚類(サケ遡上)調査]

  • H13〜H18調査と同様の手法で実施。
  • 平成21年は、宮中取水ダムにおいて160尾の遡上が確認され、期間に違いがあるが、過年度調査を大きく上回った。
  • 平成21年は、西大滝ダムにおいて2尾の遡上が確認された。
  • 信濃川全体や魚野川への遡上数、過去のサケ稚魚放流数に大きな変化がないことから、平成21年に宮中取水ダムにおいてサケ遡上調査の採捕尾数が増加した原因は、流量の増加である可能性が高いものと考えられる。

 

 


[河川景観調査]

  • 景観写真の撮影により、減水時と比較して、水面幅の広い信濃川の景観が把握された。

 


[河川利用状況調査]

  • 河川水辺の国勢調査マニュアル(国土交通省河川局)に準拠し定点観測、区間観測で調査を実施。
  • 宮中減水区間では、平成15年度の利用状況と比較して、平成21年度は流量の増加による利用人数の変化に明確な傾向は見られなかった。平成21年度の西大滝減水区間の利用者は、4月29日に1名、5月5日に2名。5月18日以降、利用者の確認はなかった。

 


【質疑応答】

委員:
地元漁協によれば清津川においてアユが多いとのことであるが詳細な数字はあるのか。

事務局:
遊漁券の販売枚数は平成20年の3倍になったと聞いている。また大型のアユが捕れたと聞いている。

委員:
河川利用者数について、ラフティングの利用があったはずである。ラフティングの利用者数について把握しているか。

事務局:
最も実施回数が多かったと思われる業者にヒアリングしたところ、平成21年は70回あまり実施されていて、900人以上が利用しているとのことである。この他、別の業者による利用もあったと聞いている。

委員:
サケの遡上調査結果では、宮中取水ダムはサケの数が過年度と比較して増加しているが、西大滝ダムはあまり増加していない。西大滝ダムまではサケが遡上しないということか。

事務局:
本調査ではトラップによる遡上調査を10/1〜10/30まで実施しているが、NPOによる目視やビデオカメラでの調査などでは、西大滝ダムでは20尾程度は遡上していたと聞いている。

委員:
ラフティングの利用料金はわかるか。

事務局:
ヒアリングした業者によれば、ミオン中里から十日町橋付近までの区間で、1人あたり6,000円程度だったと記憶している。

委員:
底生動物調査結果で個体数はあまり変化がなかったとのことだが、これは1m2当たりであって、水域そのものが広がっているのだから、量的には増えているのではないか。

事務局:
その可能性はあると考えられるが、本調査結果は限られた地点・限られた回数によるものであるため、1m2当たりの評価にとどめている。

委員:
底生動物調査は調査手法が決まっており、ひざ下の浅い場所で調査を行い、評価する。種組成は変わったが、個体数が変わっていないとのことであるが、川の生産量を示すには現存量でも評価すべきである。大型のカワゲラ類やトビケラ類が増えれば放流効果があったということになるだろう。

委員:
宮中ダム放流量のグラフ(スライド12枚目)については、H20とH21で横軸のスケールをそろえるべきである。


平成21年度信濃川中流域モニタリング計画(案)について

【事務局説明】

  • 本計画(案)は、平成21年度と同様の河川状態を想定したものである。
    平成22年度のモニタリング計画(案)について、本日欠席の委員より意見を二つ頂いている。
    一つ目の意見は、付着藻類の調査地点の上片貝について、「異常繁茂面積割合が宮中減水区間と比べて小さいことから、今後は除外してもよいと考える」。このご意見に対しては、H22の上片貝の調査結果を確認した上で判断したいと考えている。
    二つ目の意見は、河川利用状況調査で、「西大滝減水区間は河川にアクセスする場所が少ないことから、調査範囲を絞ったほうが良い」。このご意見に対しては、再度現地を確認の上、確認地点あるいは範囲を絞りたいと考えている。


【質疑応答】

委員:
桜井委員の意見では、付着藻類調査の上片貝地点については調査地点から外しても良いとのことであるが、今後、取水が行われることになれば上片貝を対照地点として調査する必要がある。

事務局:
本計画(案)は、平成21年度と同様の河川状態を想定したものである。仮に、新たな水利用によって河川状態が変わるとすれば、再度検討する必要があると考えている。

委員:
今年度実施した調査内容については継続して欲しいが、アユ釣りやラフティングの利用が増えているのであるから、そのような状況を把握できるような調査も実施して頂きたい。

事務局:
今までの調査内容については継続する。個別目的に対応した利用者数の把握についてはヒアリング等によって把握できるように努めていきたい。

委員:
河川利用状況調査では、釣りの利用者数が少ない。釣りによる利用は5月だけとのことであるが、この時期はアユ釣りの時期ではなく、何の釣りをしているのか分からない。

事務局:
釣りの方法までは把握していない。今後は、釣りの手法等についても河川利用状況調査時に把握できるように考えていきたい。

委員:
モニタリング項目に入っていないが、地下水の変化について興味がある。地下水も目配りすべきでは。

事務局:
過年度の検討により、信濃川の流量と地下水位には明確な因果関係はなかったことからモニタリング項目に入っていない経緯がある。しかし、昨年以降、信濃川の河川流量が比較的増えたという事実もあるので、地下水を観測している市などのデータを確認していきたい。

委員:
低水温域が水温調査で把握されており、これは湧水によるものだろうと考える。湧水量の把握は今までされていないのではないか。

事務局:
湧水量という観点では、これまでも調査を実施していない。


その他

会長:
提言では、宮中取水ダム及び西大滝ダム魚道の構造改善が行われるべきである、と取りまとめられているが現在の状況について説明をお願いする。


オブザーバー:
宮中取水ダムの既設魚道の改善について、本間名誉教授を委員長として、平成21年9月に「信濃川発電所宮中取水ダム魚道構造改善検討委員会」を設置している。本委員会は、平成22年1月までで3回実施しており、3月中に第4回目を開催する予定である。本委員会で方向性を得た上で、早期に魚道改善につなげていきたいと考えている。

オブザーバー:
西大滝ダムの既設魚道の改善について、信州大学名誉教授の富所五郎先生を主査として、「西大滝ダム魚道構造検討会」を設置し、平成21年12月14日に第1回の検討会を開催した。今後は、平成22年6月を目途に検討結果の結論を出していく予定である。


事務局:
桜井委員は一身上の都合により今年度をもって委員を辞退したいとのことである。後任委員については、桜井委員と相談のうえ決定したいと考えている。

会長:
後任委員の決定については、事務局に一任する。

委員:
ラフティングを昨年3回実施したところ、ブロック類が川の中に散乱しており、カヌーやラフティングをするには危険である。安全な河川利用のために、ブロック類を整理していただくとありがたい。

会長:
事務局で検討していただきたい。

事務局:
次回協議会は平成23年2月頃を予定している。モニタリング計画について協議が必要となった場合は、別途相談したい。



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