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信濃川中流域水環境改善検討協議会

第14回協議会

第14回協議会では、以下の2点について協議が行われました

  • 平成18年度調査結果の報告
  • 今後の取り組みについて

平成18年度調査結果の報告

【事務局説明】

[水温シミュレーション結果]

  • 水温予測シミュレーションの結果、宮中〜魚野川合流点間の全区間で28℃以下を満足するためには、概 ね3050m3/s程 度の放流があれば満足をされるという結果となった。


水温シミュレーション結果


[水温観測結果]

  • 実 測した水温において、流量が増加するにつれて水温が低下する傾向がある。ただし、50m3/s以 上の流量になると水温の低下効果がなくなりほぼ横這いの傾向がみられ、シミュレーションの結果は概ね妥当なものであると思われる。

水温観測結果 

[信濃川の水温(全体の概観)

  • 信 濃川における夏期の平均水温を見ると、減水区間において水温の上昇傾向が見られるが、長野県において既に25℃ 前後の高い水温であり、宮中地点においても24℃となっている。


信濃川の水温(全体の概観)


[赤外線画像による水温分布]

  • 十 日町橋では実測と赤外線映像とを比較した結果、栄橋及び川井大橋においては、実測と赤外線映像とは概ね相関がとれているが、十日町橋では若干の違いが見ら れる。
  • 実 測の鉛直水温をみると、一部で水温が非常に低い場所が確認された。

  •  

[魚類調査]

  • 川井大橋、栄橋、十日町橋、上片貝、魚野川において、すみ場毎(早瀬、平瀬、淵等)に潜水目視、投網等による捕獲調査を行った。
  • 信濃川中流域での優占種であるオイカワ、ウグイ、ニゴイ及び冷水性の種であるアユ、ヤマメ、カジカについて、すみ場別に整理を行った結果、体長5cm以上の個体では、オイカワ、ウグイは浅場、淵、平瀬、早瀬での確認が多く、ニゴイはワンドでの確認が多 かった。アユ、ヤマメは平瀬、早瀬の確認が多く、カジカは早瀬、平瀬、淵で確認された。体長5cm未 満の個体では、オイカワは、淵と平瀬、ウグイは淵、ニゴイはワンドでの確認が多かった。
  • 水温別に整理した結果、25℃以下でヤマメやカジカ、30℃ 前後でアユやモツゴ、30℃以上でウグイ、オイカワ、ギンブナ等が確認されており、文献等の情報よ りも多少温度幅がある中で確認された。
  • 優占種及び冷水性の種について、水温別に整理を行った結果、優占種のコイ科3種については、水温が高 い場所で多く確認されたが、冷水性の種ではアユが30℃で確認されているものの、基本的には低い水 温で確認されている。


[流量変化に伴う河川形態変化の状況]

  • 宮中ダムにおける7m3/s放流、10m3/s放 流、約90m3/s放流時の十日町、栄橋及び川井大橋における空中写真から、流量が変化した場合のすみ場(早瀬、平瀬、淵等)の 面積変化を整理した。その結果、流量が増加すると、主に平瀬が増加するが、淵や早瀬の面積はそれほど変化がない結果となった。また、出水の結果、淵の増加 やワンドの形成が見られた。

  

 [サケ遡上調査]

  • 10月1日から11月9日まで、サケの遡上期をにらんだ試験増放流を 実施した。試験放流増分の12.52m3/sについて、昨年までは中央にあ る7号ゲートから放流をしていたが、今年は、魚道に近い第10号ゲートから放流し、遡上の改善を 図った。
  • 10月11日 から11月12日までの32日間、魚道にトラップを設置してサケの捕獲調査を行いました。その結果、25匹が捕獲され、ほぼ平年レベルの遡上が確認できた。

 

【質疑応答】

委員:
サケ遡上調査について、最近は、早期遡上する個 体群を放流しており、9月末から遡上すると聞いている。今年度の結果を見ると10月前半に多く遡上していることから、調査時期を早めて9月 末から実施すると良いと考える。

事務局:
ご指摘のとおり、今年は早い時期から遡上が確認 されていることから、調査時期について検討させて頂く。

委員:
信濃川水系全体、新潟県全体のサケの放流数・捕 獲数、回帰率について、11月時点での速報値では今年の状況の把握が出来ない。再度、県水産課等に 聞き取り調査を行い、後の協議会で報告して欲しい。

事務局:
再度、問い合わせを行います。

委員:
早期群、後期群の放流について、新潟県全体で方 針を話し合う必要があるのではないか。

委員:
水温シミュレーションについて、対象時期はいつか。

事務局:
789月を対象としている。(再度確認した結果、9月は対象としていない。)

今後の水環境改善に向けた取り組みについて

【事務局説明】

[水温分布と魚類のすみ場との対応関係の分析]

  • 主に文献を基にすみ場(早瀬、平瀬、淵等)と 水温に対する魚類の生息状況を整理した結果、優占種(オイカワ、ウグイ、ニゴイ)については、25℃までは生息に問題なし、26℃以上は生息に影響有りとなった。冷水性の種(アユ、ヤマメ、カジカ)については、24℃ま では生息に問題なし、28℃以上は生息が困難、25℃〜27℃までは影響はあるが生息は可能と整理できた。 水深と水温の関係を整理した結果、水深が深くなると水温が下がる傾向が確認された。
  • シミュレーションで算出した水深データに、水深-水温の相関式を使って水温の平面分布を算出した結果、水温が赤外線映像による水温分布よりも高くなる傾向が見られた。
  • 魚類のすみ場としては、7m3/sでは冷水性の種は生息が困難となる。40m3/sでは若干ではあるが生息に影響あるが生息は可能な場所が発生している。100m3/sでは生息に影響あるが生息は可能な場所が増加している。
  • 今 後、調査検討を進め、精度を高めた上で報告することを考えている。

 

 

[高水温時の退避場について]

  • 現地で水温を計測した結果、底層部の深い場所等で局所的に水温が低い場所が確認されており、魚類がこれらの場所を避難場所として利用している可能性が考えら れる。
 

[これまでの調査結果概要と今後の取り組みについて]

  • 次回の協議会では、①平成10年度から実施している現地調査結果及び得られた知見等のとりまとめ結果、②流量の違いによる水温、河川形態、すみ場との整理・評価について報告することを考えている。
  • 前半に御指導いただいたサケ調査について、引き続き調査を行っていきたいと考えている。
  • 次回の第15回協議会は、平成19年の5月又は6月頃に開催し、平成19年度調査内容について御審議いただきたいと考えている。
  • さらに、その結果を受けて調査を進めて、第16回協議会は、平成1912月頃に開催し、調査結果の報告及び今までの 協議会の結果の総取りまとめとして、最終の協議会となればと考えている。



【質疑応答】

委員:
8月8日 に実施した水温の現地観測結果について、平均水温の算出方法を教えて欲しい。

事務局:
各断面毎に熱量を算出し、さらに全体で平均している。

委員:
協議会の結論の方向はどのようになるのか。例えば何m3/s程度放流してくださいという提言をすることになるのか。

委員:
私の考え方としては、川の生態系に適当な流量は、例えば30m3/sから50m3/sの間であるということが読み取れるような調査結果を取りまとめる、といったことかと考えている。

委員:
今までの調査を総合的に取りまとめ、どの程度の流量ではどの程度環境が良くなるか、という資料整理を行い、委員のご判断を頂くことを考えている。

委員:
現実の流量として提案することは非常に難しく、 実際に提案する場合には、社会経済的な内容が絡んでくる。よって、この協議会では、最終的に社会経済的な観点から総合的に考えて頂くために、今まで調査・ 検討してきたデータを取りまとめて、活かしてもらうという提案でよいのではと考えている。

委員:
今後、検討を進める必要がある問題はあるが、検討を進めることにより、今までなかったような提案ができると考えている。

委員:
流量の変化に伴う河川構造や水温変化を総合的に解析したデータはほとんどなく、貴重なデータが得られたと考えている。よって、協議会の報告書以外に、これらのデータの蓄積を活かして頂きたい。

委員:
8月8日 に実施した水温の現地観測結果について、局所的に低水温が確認されているが、これは、伏流による影響が考えられる。シミュレーションと実測が合わない場合 は、これらが影響していると考えられるので考慮して頂きたい。

委員:
近年、地下水位が低下している問題がある。信濃川の流量との関係はどのように考えればよいのか。

委員:
地下水については、過去にイオン調査を実施し、信濃川河川水は直接地下水には影響していないという結果が得られている。(第6回協議会を参照)ただし、圧力の関係はあると思われる。

委員:
地下水の専門家に判断して頂くと良い。平成17年度は信濃川の流量は多かったが、地下水の状況はどうだったのか。

委員:
過去の検討では、信濃川の減水と地下水低下について大きな関係はないという結果になっている。(第6回協議会を参照)今後、とりまとめを行うにあたって地下水の専門家への聞き取りを行い、改めて取りまとめる。

委員:
本協議会が終了した後も、定期的に状況を検討する会議が必要だと考えている。

委員:
協議会の結末をもって終わりにするのではなく、1年あるいは2年に1回程度、信濃川を大事に考えていく会を継続してもらいたい。

委員:
本協議会の検討結果を社会経済的な問題の解決にどのように活かしていくのかという点について、課題として残して頂きたい。

委員:
市の青年会議所において、信濃川の川下りを実施した。子供達に感動を与えるチャンスである。この協議会の議事とは違うが、人間も生態系の一つと考え、夏に川遊びの機会を作って頂きたい。

委員:
参考資料について、一部に学名の間違いや古い資料が使われている。宮中ダム取水量を157m3/sに増やしたときの資料、 日本水産資源保護協会でとりまとめた資料等を参考とすべきである。

委員:
川の文化をどうするのか、含みを持たせたとりまとめにして頂きたい。

委員:
地下水について、専門家への聞き取りを行って頂きたい。

委員:
検討で算出した数字は目安である。

事務局:
参考資料については、委員に相談させて頂き修正する。



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