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信濃川中流域水環境改善検討協議会

第9回協議会

第9回協議会では、以下の2点について協議が行われました。

  • 試験放流の報告について
  • 試験放流に伴う調査結果の報告について
  • 今後の試験放流と試験放流に伴う調査について

試験放流の報告について

【事務局説明】

  • 第8回の協議会の承認のとおり、7月20日の10時から試験放流が実施された。
  • 試験放流により、白波の立つボリューム感のある流れとなり景観的に流量の増加を感じられるものとなっている。
  • 宮中区間の夏季の試験放流は10時から16時までの時間放流であるが、信濃川河川事務所の水位観測所の水位変化を調べ、下流への到達時間を推測できるデータを得ることができた。

 

試験放流に伴う調査結果の報告について(夏季の水環境調査結果)

【事務局説明】

[水温]

  • 2001年の気象を振り返ると、平年に比べて梅雨明けがやや早く7月は気温が高く天気のいい日が続いた。8月の後半は天気の悪い日が多かった。
  • 2000年と2001年気象庁アメダスデータを用いて気温や日照時間などの比較を行うと、7月は2000年の値に比べて2001年の値が高い値を示しているものが多くなっている。8月の上旬は高い値を示したが、後半は余り変化がないかやや低かった。
  • 水温は、7月前半は2001年の方が高く、8月になると逆転して2001年の方が低い日がある。最高水温の平均値(7/20〜8/31)については2000年より2001年の方が大きい傾向、平均水温については大きな傾向が見られないかった。
  • 気温と水温の関係を散布図にまとめ、2000年と2001年で比較したところ、はっきりとした傾向が見られなかったが、これは、減水区間に流れ込んでくる水温、日照時間などの気象条件、時間放流による到達時間、無効放流など様々な要因によるものと考えられる。
  • 2001年の中で平日の放流時10.13mm3/s放流日と22.65mm3/sの放流日で比較を行うと、22.65m3/s放流日の方が全体的に低い水温になっているという傾向がみられた。
  • ただし、データも少ない現段階で放流量と水温の関係を一概に言うことは難しく、今後もデータを蓄積していく必要がある。

[水質]

  • 水質調査については、定期的(毎月1回)な水質調査の中で、十日町橋において水素イオン濃度(pH)、容存酸素量(DO)、生物化学的酸素要求量(BOD)、浮遊物質量(SS)を測定しているが、採水日が出水にあたった日の値を除けば、2000年と2001年の間で大きな差は認められなく、環境基準などの点からも大きな問題もないと考える。

[付着藻類]

  • 付着藻類の調査について百合居橋、白鳥大橋、栄橋、妻有大橋、羽根川合流前で行っている。調査日の前に出水があり付着藻類へのインパクトがあり、試験放流前後として捉えることが難しいため1回目、2回目の調査としている。
  • 西大滝区間については、全体的に泥被りが減少して、付着性の珪藻が優占する範囲が広っている。
  • 宮中区間については、付着藻類、泥被りの分布が、その2回の調査の間で変化しており試験放流によって河床の攪乱があったと考えられる。


 

【質疑応答】

委員:
気温と水温との関係について過去(2000年以前)のデータ等との比較をする余地はないか。

事務局:
24時間の連続測定を始めたのが2000年であり、2000年と比較せざるを得なかった。その前に測定日や時間を選んで水温を測定したことはあるが、連続観測はしていない。

委員:
水温の測定も大事だが、理論的に年による変動を消せるような測定も考えた方がいい。水温は、太陽放射と、それを受ける水面積、受ける時間の長さ、太陽放射の影響を薄める要因としての水深によって決まる。増放流によって水面積が増え、水深がどれだけ変わるかを測定すれば年の変動を消すことができ、水温に対する影響を考察できるのではないか。

委員:
単に水温を測るだけではなく日照時間だとかいろいろなことを同時に測定しておく必要がある。予め理論的なモデルをつくっておいて、そのモデルに放り込むための値を拾うということ。

委員:
以前に試みたことがあるが、なかなかうまくいかなかった。

事務局:
水温が高まるモデルみたいなものを考えて、各項目を測定する必要があると事務局も考えており、その中で、一番影響を与えるであろう太陽放射量については来年から測定を始めたい。

委員:
増放流によって変化する大事な情報は生き物のすみ場としての1つの質を示す河床の藻類の付着状況である。しかし、写真は水面で光が反射していてよくわからない。反射をカットする工夫が必要。
付着藻類がよくなれば、当然アユの餌としての価値が上がるという場合に、単に付着藻類の現象を、見た目や、組成を調べるだけでなくて、実際にそこで餌を食っているアユの腹を割いてみればどう変わったかのいい証明になる。

委員:
まだよろしいのではないか。流体としてのとらえ方がないから、まだパラレルな解析ができない。流速などがつかまえられていれば、放射熱によって温まったものもどの程度低まるかが出てくる。今のところは、手間暇かけてやるだけの価値があるか…
もやもやしている糸状藻が削られて、後で繁茂してきたアユの珪藻、ラン藻がどういうものか、種類組成を調べればわかるのでやらなければならない。しかし、主目的はどこにあるのかという焦点をはっきりさせないと、我々学者や研究者の興味だけに走って、減水区間の問題がとられなくなる可能性も出てくる。アユだけでなくほかの魚類もいるので、どの程度で抑えるかということも考えなくてはならない。

委員:
要するに、継続的に調査をするとして、何を対象に調査をするかということをある程度確定しておかないということですね。

委員:
アユ一つとっても難しい。どの程度縄張りを持って、どの程度の個体群がいるかということまで調べないとだめということになる。

委員:
サケとアユに関する影響というのは一般市民の関心も非常に高いので、どういうプラスの効果が出てきているのかを把握していただければという気がする。

委員:
そうすると、アユの天然の遡上量から、アユをどこでどの程度放流したかということから、一切調べてなくてはならない。

試験放流に伴う調査結果の報告について(秋季の水環境調査結果)

【事務局説明】

[水面幅]

  • 水面幅の調査については宮中区間では9地点、西大滝区間では5地点、合計14地点で調査を行っている。さらに5地点では流速、水深の測定、流量の測定も行い、各地点ともおおむね数m〜十数mの水面幅の増加が見られた。





[サケの遡上]

  • 県内の主な河川のサケの遡上量を昭和55年からとりまとめた。平成13年12月31日現在で清津川では13匹、西大滝ダムは12匹遡上し、昨年と比べると増えている。ただし、過去の経年変化を並べると、一時的な変動なのか、それとも試験放流の放流量が影響しているのかということは、今年のデータだけでは判断できない。
  • かご型のトラップを製作し、JR東日本の協力を得て宮中ダム魚道の折り返し部に設置し、サケの採捕調査を実施した。10月22日から11月12日までの間の21日間設置し、11尾捕獲された。

[サケのテレメトリー調査]





  • サケの遡上障害箇所の調査を目的にテレメトリー調査を10月26日から11月8日にかけて実施した。発信器を16尾の供試魚につけ、川井地点のほか、宮中ダムの下流や百合居橋などで放流して全川的な調査を試みた。
  • 水深や水面幅の測定を行った本川沿いの14地点はサケの遡上障害が懸念されたが、今回のテレメトリー調査から停滞箇所として特定されることはなかった。
  • 秋の試験放流では、宮中ダムでは魚道に近い右岸側から2番目のゲートを開けて試験放流を行ったため、魚道への誘導効果があったのではないかとも考えられる。
  • 試験放流により、全川的に流況に一定の改善が、ダム付近では魚道への誘導効果があり、サケの遡上環境も一定の改善があったと考えられる。今後、魚道内の遡上環境の改善についても前向きに検討していきたい。
  • テレメトリー調査の中で、床固の付近で移動速度が遅くなることが観察されたため現地調査を行ったところ、十日町橋床固の上下流で約1mぐらいの勾配のついた段差になっているということがわかった。水面も不連続となっており、小型の魚や底生の魚介類のことを考えると障害となっていると考えられ、切り欠き部の修繕に着手していきたい。










【質疑応答】

委員:
テレメトリー調査で、いろいろ移動している状況が見られるが、その後消えているのは、死んだのか、電気が切れたのか。

事務局:
死んでしまったサケもいれば、全然動かなくなってしまいそこで調査を終えたものもある。また、飲み込ませた発信器が落ちてしまったとか、様々なケースがある。

委員:
もっと長期に、1カ月とか調査はできないのか。機器の問題点の方が大きいのか、それともサケがこういう状況の中ではそう長く生きていられない、死なざるを得ないということなのか。

委員:
死んでしまう。ほとんどオスを使っており、メスだと卵が過熟したら停滞して使い物にならない。個体差があるが、とまってしまったり、もう動けなくなったり、岩にぶつかって吐き出したり、いろいろなことで調査が不能になったと考えるべき。

委員:
長野県の松本まで上ったとかいろいろな過去があるが、サケが長く生きてテレメトリーが作動すれば追跡できるのか。

委員:
障害物がなければ長野まで上るが、障害物があるから難しい。本来は、川井大橋を超えたら産卵場があるので、もうそこでペアができたら産卵すればいい。しかし、河床状況が悪くて、それができない。本来は、清津を上ったり、信州平まで行くというのは大変なこと。

委員:
一度魚道を上ったサケが、増放流しているゲートから戻っているが、これは自分の意思でくぐったのか、あるいは吸い込まれたのか。水深はどのくらいあるのか。水深があって水圧があるとすれば、弱ったサケが自然に吸い込まれて流される可能性がある。

事務局:
流されたのか、それとも自分の意思で下ったのかは判断できず、何とも言えない。水深は大体6〜7m程度と考えられる。

委員:
信濃川河口に入ってきて、それが魚野川の方に来るまでにはどれぐらいかかるかがわかると比較して理解できるが、そのような調査はできないのか。

委員:
そういうことは新潟県ではやっていない。下流で捕ってタグをつけて、魚野川支川に上るか、本川に上るかの割合もやっていないし、何日かかったのかも調べていない。テレメトリー調査の結果は、個体差、衰弱度、疲労度が絡み合っているものである。また、追跡例が非常に少なく、そういう疑問にこたえるためには、もう少し経年的に追いかけなければならない。

事務局:
テレメトリー調査では、サケの個体による挙動が違い、下流から放したものが必ず長野まで行くわけではないようなので難しさを感じている。工事事務所では洗堰から妙見堰まで同様の調査も行っているが。

委員:
魚道の質から違うので比較できない。それより、魚道環境をまず改善しなければならない。

委員:
水質は環境基準等を満足しているが、現在の水質であればサケ等の遡上には問題はないのか。それとも、上流の方で水質は改善していくべきなのか。

委員:
環境ホルモン等の蓄積すると具合の悪い物質は除くと、現在の状態でも十分である。水質的には十分だが、物理的な環境が悪いということ。

委員:
今後、協議会ではなく大学の研究の一環として今回の増放流による変化や信濃川の水の価値に関する十日町市民の意識調査を信濃川河川事務所と十日町市の協力を得て実施したい。次回の委員会ぐらいで報告したい。

次回協議会の開催について

今年も同様の試験放流を実施し、環境調査を引き続き実施したい。次回の協議会については、調査結果をとりまとめて来年の1月ぐらいに開催したい。



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