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信濃川中流域水環境改善検討協議会

第8回協議会

第8回協議会では、以下の2点について協議が行われました。

  • 試験放流計画
  • 試験放流に伴う調査計画

試験放流計画について

【事務局説明】

  • 6月18日にJR東日本及び東京電力と信濃川河川事務所との間で試験放流の実施に関する覚書が締結された。
  • 試験放流は第7回協議会で承認された取水制限量を設けた上で増放流、増取水を行うものであり、覚書の中で試験放流の実施期間は水利権更新時までとして西大滝ダムでは平成22年12月31日まで、宮中ダムについては、平成27年3月31日までとなっている。
  • 試験放流計画については第7回の協議会では宮中ダムの試験放流計画について若干未確定な部分があったが、今回、ゲートの開度によって流量を決めて放流計画を確定した。
  • 試験放流については、7月下旬より実施できる見通しとなった。宮中ダムについては7月20日10時より試験放流を開始する予定である。西大滝ダムについては、施設の改築を行っており、その検査を7月19日に合格後、速やかに開始する予定となっている。
  • 試験放流については、水利権更新時まで継続する予定であるが、放流パターンは今後の試験放流の調査結果を踏まえて見直していくこともある。


【質疑応答】

委員:
3ページと4ページの上の段に2つのダムの流況のグラフがあるが、これは何年かの平均値なのか。

事務局:
宮中ダムの流況は平成8年の流況図である。西大滝ダムについては、平成11年の流況である。

委員:
放流量が小数点以下2桁まであるが、なぜこういう細かい数字になっているのか。それから、こういう細かい放流がゲート操作で可能なのか。

事務局:
東電もJRも、ゲートの開度で操作管理をやっており、一定の開度幅を持って操作することから、その時の流量を計算するとこういう形の数字になる。

委員:
今回、改善の第一歩ということで大変感謝をしているが、宮中ダムの魚道が不十分だと考えている。できるだけ早い時期に改善されたい。

事務局:
昨年秋のサケの遡上調査によると、時間がかかるにせよ、一応宮中ダムの魚道をサケが上れたという実績がある。これは別途詳細調査を進めていきたいと思っています。

試験放流計画に伴う調査計画について

【事務局説明】

  • 放流量の増加は直接的に水温の低下、流速、水深の増加、潤床面積の増加、水質の改善、このような効果が期待されるのではないかと考えている。
  • それらの直接的な効果が、堆積している腐敗藻類を流掃したり、さらには淵やトロなどを増加させたり、さらには浅瀬や瀬切れを減少させたりして、魚類とか昆虫類などの生息の場を増加させていくと考える。これらの効果がやがて波及して、生物の生息環境から生物の増加、種の増加、個体数の増加、さらにはサケの遡上の増加といった効果に波及していくのではないかと考える。
  • 前回の協議会などで、これらの効果を机上の計算をもとに予測などを行ってきたが、自然現象のことであり計算どおりにはいかないと考えている。よって、試験放流を実施する前、実施した後について、現地観測、調査を行って、その効果を検証していかなければならないと考えている
  • 13年度は、直接的な水深、流速の増加、また水温の低下といった、短期であらわれる効果について重点的に調査を行っていく。
  • 夏季の水温がどの程度改善されるのか調査する。
  • 水質は定期調査地点があるので、これらの地点での観測結果を用いて調査していく。
  • 付着藻類については、付着藻類の生育状況について観察を行っていく。
  • 昨年実施したサケの遡上調査について、引き続きテレメトリー調査を実施する。
  • 水深、流速がどの程度増加したのか、水面幅、潤床面積が実際にどれだけ増加したのか、浅瀬、瀬切れがどれだけ減少したか測量を行う。
  • 潤床面積の増加によって景観も改善することが予想されるので、景観写真の撮影を行う。

【質疑応答】

委員:
増放流の水は伏流していって、下流の方にいくと表面に出てくる流量が少なくなるのではないかということが想像されるが、そんなことを考慮して選定しているか。

事務局:
伏流するかどうかもよくわからないため、調査地点の選定にあたり特に考慮していない。

委員:
小さな生き物の調査について、大局的には説明の通りでいいが、小さな生き物についても生活史、どういう時期に卵をどこへ産むかなどを考慮して欲しい。生物調査は波及効果と考えて、後から行うという話だが、今回の放流で終わったということではなく、より改善する第一歩であると考えて欲しい。今回のように増放流が断続的な場合には、あるいはほとんど影響がなかったという結果になるかもしれない。 放流量が多くなれば生物の生息基盤は確実に向上するので、効果をつかむ方法として、構造的、質的、量的に生き物のすみ場がどう増えたのかというマイクロハビタットないしはハビタットレベルの構造的な改善を把握する必要がある。

委員:
信濃川に向かってくる魚がどの程度ふえるのかの情報を追跡するのか。

事務局:
サケの行動の把握は難しい部分がある。この辺、委員からアドバイスをいただければありがたい。また、稚魚の放流事業そのものをやっていく方で漁協にお願いする必要もある。

委員:
一番心配なのは、放流して、ことしから来年にかけてちょっと調査しただけですぐ改善された、されなかったということを断ずるべきではない。波及効果の説明があったが、おおよそ今後何年ぐらいやるつもりか。

事務局:
事務局もどれぐらいのスパンで出てくるのか想像もつかないところである。むしろアドバイスをいただきたい。

委員:
本当は5年では足りない。今まで魚類の個体群の変動を見ていると、9年から11年は見ないと本当の効果が出たかどうかということは言えない。 サケの遡上については、瀬や淵というだけの問題ではなく、平瀬の堀につきやすい場所、しかも、掘ったら伏流水があるような場所でなけりゃ卵を産んでも全滅するようなことも考慮すべき。 潤床面積がふえたときのアユのことが話に乗ってこない。福島、山形などの魚道を指導する中で、1週間たつとさっと繁殖する藻類があり、水が引いた後でもアユのはみ跡はそのまま石の上に残っていたりする。そういうことも念頭に置いて調査しないと、生物の多様性が把握できないままに終わってしまう。 それから、藻類については流れが速いと藻類が全く付着しないという説明は誤っている。緩いところでは、糸状に連なるようなラン藻や緑藻だが、速いところで、しかも石の質が安山岩とかつるつるした石だと非常にいい珪藻がつくので、アユの餌としてもってこいである。そういうことを念頭に置いていただきたい。

委員:
今までの経験から、これだけ放流すれば意味のないことはない。サケの遡上調査はどこから試験魚をとらえることができるのかにかかっている。そこがはっきりしないと、試験をやっても、また同じように2〜3匹ということになる。

事務局:
昨年の成果を踏まえ、まず新潟あたりで漁協から分けてもらって、信濃川本川部分で流してみるという形が比較的いいと考えている。

委員:
宮中ダムの魚道についてはあのままでは少し古いし、時代おくれであり、魚道の口を魚が見つけられるかどうかの問題は、魚道を改善すれば大分直ると思う。増放流により上り口が見つけやすくなるかどうかということも今度の調査に期待している。

事務局:
昨年の調査でもサケは上ったのですが、どんな形で魚道を見つけて上っていくかについて昨年は調査を行っていないので、呼び水の出口とか下流の河川形状とかに着目して調査したい。

委員:
この放流のパターンは、サケを主眼として放流している感じを受けるが、アユのことを考えたりすると、放流のパターンも変わってくる。だから、当面はこれで進むということで、これに固定したものでなく、将来は放流パターンも検討していくことを了解しておいていただきたい。

事務局:
放流パターンは、次期水利権更新までこういう形でやっていきたいということで覚書を交わしたが、その中にも、ダムからの放流量、その他試験放流の実施方法について甲乙合意の上、変更することとしており、東電、JRと相談しながらいい方向に持っていきたい。

次回協議会の開催について

事務局:
今回の試験放流に伴う調査を実施し、その調査結果を取りまとめまして1月末ぐらいをめどに協議会を開催したい。



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