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信濃川中流域水環境改善検討協議会

第3回協議会

第3回協議会では、以下の3点について協議が行われました。

  • 春季調査内容とその結果について
  • 春季調査結果の検討より夏季と秋季の調査計画について
  • その他

春季調査内容とその結果について

春季調査では、生息環境として水質調査、生物調査では付着生物・動物プランクトン・底生生物・魚介類といった調査が行われました。
水質調査は、以下のような結果となりました。

調査項目 調査結果
pH pHは十日町橋・百合居橋の地点で高目の値。藻類の光合成による二酸化炭素の消費が原因と推測。特に問題はないと思われる。
BOD いずれの地点でも環境基準の値を下回る結果であった。
COD いずれの地点でも低い値であった。
濁り 湯滝橋と上片貝で比較的高めの値であった。
SS いずれの地点でも環境基準を下回った値であった。
水の淡い黄色や黄褐色の程度を調べる指標 水道水の基準などでは5度以下とされているが、魚野川の八海橋で6度と、それに近い数字だが、本川の各地点ではいずれも10以上と高い値であった。
DO 問題のない値であった。
飽和度 問題のない値であった。
EC いずれの箇所も十分低い値となり、問題のない値であった。
クロロフィルaフェオ色素 十日町橋、百合居橋ではこのクロロフィルaが比較的高い値を示してしていた。これは藻類の活性が高い事をしめしている。

生物調査は、以下のような結果となりました。

調査項目 調査結果
付着藻類
(定量採取・定性採取)
大きな傾向としては、藍藻類のホモエオスリックスが湯滝橋を除く各地点に見られたほか、アオミドロと呼ばれる緑藻類のスピロギも十日町橋、百合居橋を除く各地点で多く見られた。また、百合居橋では富栄養を好む珪藻類のメロシラが多く確認された。
プランクトン 一般に河川、湖沼に広く見られる種のほか、富栄養化した水域や停滞性の湖沼に多く見られる種など、多くが確認された。。
底生生物(定量採取) きれいな水の指標として挙げられておりますキハダヒラタカゲロウが十日町橋や百合居橋で多く確認されたほか、汚れた水の指標とされるユスリカの仲間が湯滝橋や宮中ダム地区で多く見られた。
一定の面積の中の生物の量を比較すると、十日町橋付近が最も多く、次いで百合居橋、湯滝橋の順になった。
底生生物(定性採取) 魚野川の八海橋では26種類と最も多く、その中身もトンボの仲間やカワゲラの仲間のものが確認されたほか、これら以外に分類される多くのものが確認されております。一方、本川部では百合居橋が18種類と最も多く確認されておりますけれども、各地点ともトンボの仲間やカワゲラの仲間は確認されませんでした。
魚類 採取した数を比較すると、まず種類の数では、上片貝と宮中ダムが最も多く18種、続いて十日町橋の16種。百合居橋、八海橋で12種、湯滝橋では9種類。また、個体数では宮中ダムが最も多く456、次いで八海橋、湯滝橋が続き220〜230程度だった。 採取された魚介類のうち注目される種としては、レッドデータブックで絶滅危惧種に指定されているスナヤツメ、アカザの2種が2地区で確認された。本川ではとれないのではないかと心配されたカジカが宮中ダムで採取された。また、回遊魚のうち十日町橋で採取したオオヨシノボリは成熟した個体であった。これは下流から遡上してきたものと考えられる。

各地点の概況と魚の種類の特徴を説明します。

調査項目 調査結果
上片貝 上片貝地区は魚野川との合流点の下流に位置する地区で、ここでは早瀬を好むヤマメやアユ、緩やかな流れを好むフナやタナゴの仲間も採取された。レッドデータブックに記載されているスナヤツメ、アカザも採取された。ウナギも採取された。
十日町橋 十日町橋地区は、橋の下に置かれた異形ブロックなどで流れに変化がありまして、早瀬や緩流部などがあり、比較的多様性があった場所となっている。ここではアカザがとれたほか、平瀬ではアカザの卵も確認された。また、海から上がってきたと考えられるオオヨシノボリも確認された。
宮中ダム 宮中ダムの湛水部は、比較的流量の多いところだが、ここではナマズとともにイワナもとれるなど、渓流部を好む魚と遅い流れを好む魚が混在していた。
百合居橋 百合居橋地区は西大滝ダムの下流の減水区間に位置。調査時の水温が21℃から22℃と、比較的水温があったにもかかわらず、冷水性のニッコウイワナやニジマスが採取された。また、ここではウナギも採取された。しかし、上片貝や魚野川で採取されたヤマメは確認されなかった。
湯滝橋 湯滝橋は減水の影響を受けない西大滝ダムの上流に位置。ここでは採取された個体のうち、ほぼ半数に当たる140個体がウグイであり、また定置網などではオイカワの幼魚が100匹以上とれるなど、魚類相は豊富とは言えない状況で。早瀬部分ではアユやヨシノボリなどがとれることが期待されましたが、投網によりトウヨシノボリ1個体を採取したのみであった。
八海橋 八海橋地区は、信濃川の本川との比較対照として設定。ここでは昨年9月の出水で中州が削られ、景観が変化していたが、今では植物が繁茂し、安定しつつある状況にあった。確認された魚種の中には上片貝と同じくレッドデータブックにあるスナヤツメなどがあり、本川と比べ清流を好むヤマメ、カジカ、シマドジョウなどが多く、逆に淵や流れの緩やかなところに生息するナマズ、ギギ、オイカワなどが確認されなかったことが特徴になっている。

今回の調査結果について、第2回の協議会で示しましたアンケート・ヒアリング調査結果と対比してみます。今回の調査は春の調査だけで、水質、生物調査のみの結果であります。今後の調査結果を待たないと確認できない項目も多々ありますが、中間報告の意味合いといたしまして説明されました。
まず、生態系に関する意見では、表のように、かつては生息していたが見かけなくなった、あるいは減少した、また、環境が変わり、昔に比べ増加した魚があるといったことが挙げられていました。前回の協議会で生息しなくなった、もしくは減少されたとされた魚種のうち主なものを紹介しましたが、これらのうち今回の調査ではアカザが十日町橋と上片貝の2地点で、アユが百合居橋以外の全地点で、ウナギが上片貝と百合居橋で、イワナは宮中ダムと百合居橋で、また、ナマズは上片貝、十日町橋、宮中ダム、百合居橋、湯滝橋で確認されました。一方、増加したとされる魚種のうち、ギンブナなどは確認しましたが、ブルーギル、ブラックバスは確認されませんでした。これらの減少や増加に関する結論は、ここではすぐ出せませんが、今後の調査を踏まえて検討していきます。
次に、生息環境に関する意見といたしましては、水温の上昇や水質の悪化、ヘドロの堆積、藻類の腐敗、瀬と淵の消滅などが挙げられています。水温の上昇に関しましては、夏季調査で本格的な調査を行う予定ですが、今回、参考までに春季の調査ではかった水温について紹介します。この結果では、上流の宮中橋で21.5℃あった水温が徐々に十日町橋まで上昇して、魚野川が合流する地点まで27.5℃と6℃上昇したままでした。また、淀みの箇所はその箇所の水温の中でさらに1℃高い数値となっていました。なお、この日は晴天の暑い日で、気温は30℃以上あったと思われます。次に、水質ですが、pHが環境基準を多少上回った値とならななりましたが、先ほど説明した解釈が成り立つとすれば、ほかの環境基準を持つ値と合わせまして、特に問題にい状況にあると考えます。次に、泥の堆積や藻類についてですが、減水区間内では、十日町橋を初めとして泥の堆積や藻類の浮遊が確認されています。その中で十日町橋付近での状況を細かく観察しました。ここでは流れの緩やかな場所で、河床の礫に泥がかぶった状態や、藻類の繁茂や浮遊が見られました。また、ここも流れがほぼとまっており、泥の堆積、藻類の浮遊が確認されました。流れの早い箇所では、このように泥も少なく、藻類の繁茂も余り見られませんでした。次に、瀬と淵の消滅については、前回の調査結果では、河床の平坦化や流量の減少に伴い、瀬や淵が少なくなったという意見が多くありました。このような場所は、妻有大橋上流側の平瀬や十日町橋の上流側で確認されました。
現時点では、項目によってはまだ分析途中のものがありますが、春季調査の主な結果をまとめますと、水質調査においては水質が減水区間で特徴的に悪化するような傾向は見られませんでした。生物調査におきましては、生物相が減水区間で特に貧弱になることはありませんでした。また、アンケート調査結果との比較につきましては、いないとされた魚類のうち、オイカワ、アカザ、アユ、カマツカ、ウグイ、ギギ、ウナギの生息が確認され、カジカ、サクラマス、ヤマメ、カワニナ、メダカ、モクズガニの生息が確認されませんでした。減水区間で6℃程度の水温の上昇が確認されました。十日町橋付近の緩流部で泥の堆積及び藻類の浮遊が確認されました。十日町橋から妻有大橋間の区間で瀬切れが確認されました。
以上について以下のような質疑・討論が行われました。

  • アンケート・ヒアリングの方法適切ではなかったのではないか。
  • pHが8.8のところが2カ所出たというのは、クロロフィルaと合わせて見れば、植物性の単細胞の生物が多いことを示している事がわかる。
  • 調査結果を組み合わせて検討した方がいい。
  • 水温は測定時間を入れた方がいい。等々。

春季調査結果の検討より夏季と秋季の調査計画について

生物調査は、春季の調査と同様の付着生物、動植物プランクトンなどのほか、夏季におきましては、夏場の渇水、水温上昇のときの魚の様子を見るために水中観察、また採取した魚の食性も調査したいと考えております。また、秋にはサケなどの産卵場所の確認を予定しております。なお、秋の他の項目につきましては、春とほぼ同等の項目を考えております。次に、春にも行いました水質調査について先にご説明いたします。
水質については、春季調査と同様の分析を夏季、秋季とも実施するほか、夏季には富栄養化の物質である窒素、リン及び生活排水に含まれる洗剤に含まれております界面活性剤について調査することを考えております。また、夏季には臭気の影響が最もあらわれると考えられますので、臭気強度の調査も行う予定です。この2つの調査地区につきましては、事務局案といたしましては、春季調査と同様の6カ所を予定しております。
河川環境特性といたしまして、夏季において減水区間全体を対象にした瀬と淵、瀬切れにより溜まりの分布の状況など、また、主要地点での縦横断形状の測量及びその結果を用いた潤床面積の把握などを予定しております。
水温につきましては、今回の6月の春季調査時点より通年観測用の水温の自動観測器を設置しております。また、夏季の減水区間の全体像を把握するため、踏査により1日のさまざまな箇所で水温の計測を実施することを予定しております。また、付着した藻類をそぎ落とした後、どの程度回復するかといったことを観察する付着生物の経時変化の調査も夏季に予定しております。
先ほど申し上げました水温の通年観測機材を設置した箇所は、7カ所といたしました。これは減水区間における水温の変動を重点的に把握するために、減水区間内に多く設置しております。
底質調査ですけれども、夏季には生物の生息場所ともなります底質について、その有機物の量や主要な悪臭成分となる硫化物などについて調査する予定です。調査地点は宮中ダム湛水部の底質及び悪臭の原因となると思われる減水区間内の十日町橋付近の溜まり部の底質を予定しております。
景観につきましては、対象河川及びその周辺地域の景観の特徴、また流量の違いによる見え方の違いを把握するため、夏季を中心といたしまして、渇水時及び降雨後の増水時を対象に、写真撮影を行うことを考えております。写真撮影の地点につきましては、現地踏査の結果、16地点を定点として予定しております。
地下水調査につきましては、水道水源となっている井戸の地下水位のデータの取得、解析のほか、河川水と井戸の地下水について、水温やイオンバランスを分析いたしまして、河川の渇水時と水の豊かな時期の地下水の由来に対する調査を行う予定です。今年度は渇水時の値として夏季に実施するほか、井戸水位の低下が大きい冬季にも行う予定です。また、水の豊かな時期といたしまして、来年度の春ごろ、また調査を実施する予定でおります。採取し、分析する井戸といたしましては、合計6カ所、それに加えまして河川水を採取することを予定しております。これにつきましては、また地元のご協力をいただき、採取する地点についてもご指導いただきながら検討したいと思っております。
また、事務局としては、これらのほかに前回の協議会でご指摘がありました川と人との関わりといったことの調査も必要だと認識して検討中ですが、具体的な調査項目、手法等については、まだ詰まっていない状態にございます。
以上のような調査計画が述べられました。
この計画については、

  • 減水区間1地点ということなので、写真等で補っていかなければならない。
  • 漁業組合等で魚類の放流について調べる必要がある。
  • 河道特性で潤床面積等については何かほかのデータ等との比較が必要。
  • 信濃川発電所等での水温測定も必要ではないか。
  • 調査地点を1地点増やすことができないか 等々。

以上のようなことについて討論が行われました。
また、川と生活の関わりの調査についても討論が行われ、アユ釣りの人数の把握等の意見が出ました。
調査の方法についても、協議が行われました。

  • その川だけ一生懸命調べても、比較しないと何も言えない。
  • 景観の問題でも、ほかの川と比較する。
  • 例えば魚介類だったら魚野川と比べるとか、植生だったら何川と比べるとか、テーマごとに比較して比べる場所を適当に考えてみたらどうか。 等々

その他

次の協議会のおよその日程について提案があり、夏季の調査結果が十分取りまとまった12月ごろに予定されることとなりました。

以上をもって、第3回協議会は終了しました。



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