郡殿の池
山本山
郡殿の池・池の水面は神秘的な美しさがただよう。
(写真提供小千谷市)
 地下をくぐり、信濃川と通じているといわれるのが郡殿の池。山本山から真西に当たる吉谷の山中にある。古木が水面に影を落とし、浮島が漂う風景は神秘の言葉が似つかわしい。それをより深めるのが「おいよ」の伝説。第20番に紹介した釜が島ヘ渡る舟が焼田の淵で沈みかけたとき、おいよが一同の犠牲となって淵に身を投げたというもの。焼田の淵は、主が住む郡殿の池の窓といわれ、おいよの投げ身は池の主(竜神)に見込まれたからだという。岸辺に弁天社とおいよを偲ぶ小碑が立っている。
 昭和54年2月、新潟県は郡殿の池と周辺部を自然環境保全地域に指定した。静かに眠るような郡殿の池は珍種の植物や昆虫たちの楽園で、おいよの伝説とともに後世に残したい神秘な池である。