台風の経路と信濃川の洪水
【台風のしくみ】
 台風は赤道付近の海洋上で多く発生します。海水温が高い熱帯の海上では上昇気流が発生しやすく、この気流によって次々と発生した積乱雲が多数まとまって渦を形成するようになります。渦の中心付近は気圧が下がり熱帯低気圧となり、さらに発達し中心付近の風速が17.2m/s超えたものを台風といいます。
(出典:千曲川・犀川の気象)

【台風の経路】
 台風の経路は主に「上空の風(東西に移動)」、「地球の自転(北へ移動)」に影響され、次のように進みます。
 @発生直後は貿易風の影響を受けて西よりに進みます。
 Aやがて太平洋高気圧からの風に乗って北上します。
 B上空で強い偏西風が吹いている中、早い速度で北東へ進みます。
これらの力のバランスは季節によって異なるため台風の経路も季節によって特徴があります。
(出典:信濃川の気象)
これまでに信濃川流域に大雨を降らせた台風の経路は大きく3つあります。
@流域縦断コース: 暴風と大雨の災害が全流域に及びます。
A東側北上コース: 千曲川上流の山沿いで大雨になります。大河津分水完成以降の信濃川洪水において、最大洪水及び2番目最大洪水はこの経路の台風が原因となっています。
B南側東進コース: 典型的な雨台風で、特に千曲川上流の山沿いで大雨になります。
 
信濃川の洪水と台風の経路
                                 (出典:信濃川の気象)
 
【台風と前線どちらが怖い?】
 台風も前線も大雨を降らせますが、これまでの信濃川の洪水を比べると台風が原因の洪水の方が大洪水になる傾向があります。
 また、長野県等の上流域に降った雨が洪水を引き起こす場合が多く、新潟県では晴れていても信濃川は大洪水となることがあります。
小千谷観測地点における年最大流量グラフ
昭和57年洪水の大河津分水。日が差している様子がわかります。

【台風の強大化】
 地球温暖化の影響により台風の発生数は減少するものの、規模は強大化することが予測されています。今年(2009)も世界各地で台風が猛威を奮い、インドや台湾では大きな被害が生じ、日本でも台風9号の影響により兵庫県佐用町を中心に甚大な被害が発生しました。
兵庫県佐用町の被害状況
(出典:国土交通省HP)
今年8月の台風9号の経路
(出典:気象庁HP)
 兵庫県佐用町では1日の降水量が326.5mmとなりました。佐用町の8月平均降水量は約113.1mm(1976〜2008の平均値)。1ヶ月分をはるかに上回る降水量が1日で降ったことになります。

【洪水に備えて】
 台風情報を初めとする気象情報は次のページで確認することができます。
 ◎気象情報一般−気象庁HP
 ◎風水害情報−国土交通省河川局HP
 ◎気象情報・河川の水位情報−川の防災情報
 また、携帯電話でも雨の状況や川の水位を確認することができます。 
 ◎川の防災情報(携帯版)
  

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