梅雨の季節です。集中豪雨に注意してください。
【梅雨のしくみ】
 梅雨の季節、北からオホーツク海高気圧、南から太平洋高気圧が張り出し、その間に前線ができます。これを梅雨前線と呼びます。このふたつの高気圧の勢力がほぼ釣り合った状態で日本付近に前線が停滞し雨が降ります。
  さらに
 太平洋高気圧のまわりから暖気(湿舌)が流れ込み、上空に寒気が流れ込んでいるときは、とくに集中豪雨が起こりやすくなり、積乱雲が連続して発生し特定の地域に大雨が降ります。

【集中豪雨の恐怖】
 流域面積の小さい河川に集中豪雨が降ると、たちまち川が増水し堤防から洪水が溢れ、最悪の場合は堤防が切れる「破堤」に至ることがあります。

◎平成20年7月28日 石川県浅野川
梅雨前線に伴い1時間雨量138mmとなる猛烈な雨を観測しました。これにより、石川県金沢市内を流れる浅野川等が氾濫し、30分間で1.2mも水位が上昇しました。計画高水位を超え、堤防から洪水が溢れ出したほか、上流域では土石流が発生し家屋を直撃しました。
(画像:国土交通省河川局治水課HP『水害レポート2008』、気象データ:気象庁HP)

◎平成16年7月13日 新潟県7.13水害(新潟・福島豪雨)
 7月13日に梅雨前線が停滞し、北陸沿岸で発生した雨雲は、新潟県中越地方に次々と流入しました。これにより特定の地域に集中的に大雨が降り、栃尾観測所の日降雨量は421mmを記録しました。新潟県内の各地の川で増水し、刈谷田川、五十嵐川流域では10箇所で破堤、大きな被害が発生しました。(画像:北陸地方整備局『平成16年7月新潟・福島豪雨』、気象データ:気象庁HP)

◎平成7年7月11日 新潟県7.11水害(関川・姫川豪雨災害)
 
 梅雨末期の前線性集中豪雨に伴い関川・姫川流域に大雨が降りました。関川の破堤により新井市(現妙高市)や上越市で浸水被害が発生(写真左)、姫川にいたっては濁流が岸辺を侵食し国道148号やJR大糸線は壊滅的な被害を受けるとともに、沿川の温泉街は流出した土砂の下に埋れました。(写真右)(画像:国土交通省北陸地方整備局 国土交通省国土地理院『古地理で探る越後の変遷』)

【集中豪雨は増加中】
 多くの災害が発生する目安となる1時間降雨量50mm。この基準を超える大雨は年々増加傾向にあります。これは地球温暖化の影響とも考えられ、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が2007年に公表した地球温暖化に関する報告書(第4次評価報告書)によれば、今後、大雨の規模は引き続き増加する可能性がかなり高いと予測されています。(データ:国土交通省『国土交通白書2009』

 新潟地方気象台の年間最大1時間降雨量も増加傾向にあります。

 信濃川の過去の洪水はトップ4までが台風による雨が原因ですが、過去5番目の平成18年洪水は前線性洪水として過去最大の流量を記録しました。
 平成18年7月20日信濃川洪水における大河津分水路の河口(写真左)。平常時(写真右)と比べると大量の洪水が流れている様子がおわかりいただけます。
 このとき、長岡(長生橋付近)では、信濃川の水位が平常時に比べて約6m上昇しました。
  〜用語の説明〜
   ・はん濫注意水位:洪水に際し、水防活動の目安となる水位。
   ・避難判断水位  :市町村長が避難勧告等を出す判断の目安の一つとなる水位。
   ・はん濫危険水位:洪水により破堤等の災害や浸水被害の恐れがある水位。

【集中豪雨に備える】
 集中豪雨は「ゲリラ豪雨」とも呼ばれるように、いつ、どこで、どの程度の降雨量があるかわかりません。そこで、いつどこにいても、どの程度の雨が降りそうなのか、どの程度川が増水しているのかを知ることできる「川の防災情報」をご活用下さい。

全国各地の雨や川の水位などをご確認いただけます。

 
また、いざ水害になってしまった場合に避難すべき場所も確認してください。新潟県内各市町村の避難場所等はこちらです。その他、災害に役立つ情報へのリンクを設定しています。防災・減災に役立ててください。

※著作権・リンクについて(信濃川大河津資料館HP準拠)
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