国土交通省北陸地方整備局信濃川下流河川事務所 やすらぎのしなのがわ

総合学習中にあった質問と回答

その他に関するもの

Q1
「水資源」の視点から、環境破壊と保護の現状についてお話ください。
A.
 信濃川は日本一の長さ(367km)と日本一の水量(159億m3/年)を要しています。様々な用途で水を利用していますが、信濃川下流域では1年間に約6.3億m3の川の水を取水利用しています。注)1m3は1,000リットル その内訳は以下のとおりです。
 @農業用水等・・約80%
 A工業・発電・・・約15%
 B水道水 ・・・約 3%
 このように多くの水を利用していることから、国・県・市の水を利用する関係者で構成する「水質汚濁防止連絡協議会」という組織で水質汚染の監視を行っています。
 また、当事務所でも河川パトロールを日常行っており、異常がないか注意しております。(主な監視はゴミの不法投棄・油の流出等)
 大規模な排水を河川に行っている施設(工場等)には、保健所の排水水質検査が年数回行われております。
 平成9年には「河川法」が改正され、治水工事において環境保護を取り入れた計画施工等の事が新たに追加されたこともあり、当事務所でも、伝統工法である粗朶沈床を用いて水生生物に配慮したり、多自然型による工事等を行っております。
 また信濃川下流域の河川敷は約1,600haありますが、1,200haが田畑・公園等、様々な用途に使用されています。注)1haは約10,000m2
Q2
水資源保護のために、気を付けなければ為らないことは何ですか?
A.
 前述したように川の水は色々と利用されており、出来るだけ排水する際は気を付けるという事ではないでしょうか。単純なようで重要なことです。
 単純な例で家庭から排出された物を、魚が住めるような水に戻す為には、どの程度の水で薄めなければいけないかというと・・・
  • ラーメンの汁1杯分→約 1,000リットル
  • 牛乳1本分 →約 3,000リットル
  • 使用した天ぷら油 鍋1杯 → 約10,000リットル
も必要なんです。
 日頃から出来る行動として、節水に心がける事も重要です。幸い信濃川は日本一の水量が有りますので、断水・取水制限等を行うことは滅多に有りませんが、水量が限られている地域においては、頻繁に断水・取水制限を行うところもあります。
 水はきれいに、大切に使っていきたいですね。
Q3
ゴミはどの位落ちているのですか?
A.
 信濃川下流域で、毎年回収されるゴミの量は推定100t近くになります。
Q4
ゴミの処理はどうしているのか?
A.
 持主(不法投棄者)が判明した場合については、その方に処理していただく事になりますが、不明なことが多くその処分については行政で負担しております。その処分費用は、年間200〜300万円もかかっています。回収費用を含めると、もっとたくさんの費用がかかっていますので、皆さんも川などにゴミなどを捨てないで下さい。困っています。
 ※罰金刑になることもあります。
Q5
汚染された海や川の対処法は、どんな方法ですか?
A.
 川の水質が低下する要因は様々ありますが、川自体には浄化能力が備わっていると言われています。しかし近代では工業の発展に伴い人工的な廃棄分等の流入により、また生活様式の向上進化等で排出されるものも多くなっており、浄化が追いつかないような状況が見受けられます。
 国・県・市の水を利用する関係者で構成する「水質汚濁防止連絡協議会」という組織では水質汚染の監視を行っています。
 また、当事務所でも河川パトロールを日常行っており、異常がないか注意しております。(主な監視はゴミの不法投棄・油の流出等)
 大規模な排水を河川に行っている施設(工場等)には、保健所の排水水質検査が年数回行われております。  
Q6
信濃川が洪水にならないようにどの様な努力をしていますか。
A.
 ダムによる洪水調節や堰の操作など関係機関で様々なことが行われていますが、当事務所で行っている主なものは以下の通りです。
 堤防整備: 堤防を作って洪水流が安全に流れていくように流路を整備(確保)します。ちなみに当事務所管内の堤防整備率は38%と非常に低い値です。
 また、堤防が正常に機能するような維持管理作業もしています。
 施設操作: 蒲原大堰・中ノ口水門,信濃川水門・新潟大堰などを動かし、川に流れる水の量をコントロールして、洪水を防いだり被害を軽減したりしています。
 また、各施設が正常に機能するようにメンテナンス作業もしています。
 洪水予測: いつ、どの位の洪水(水位)が発生しそうかを予測し、水防活動や避難態勢の支援を行っています。
 ちなみに現在の川の状態を知るため,及び洪水予測するために、日々水文観測(水位や流量,雨量等を計測)を行っています。
 また、洪水で被害を受けない(軽減する)為に、地元の水防団に入るとか、家に貯水槽を作るとか、下水道のゴミ掃除をするとか、私たち河川管理者だけではなく一般の方々でもできることは沢山ありますので皆さんも出来ることがあれば是非実践して下さい。
Q7
信濃川の整備は誰が提案したのですか?
A.
 今までの河川整備の拠り所となっている工事実施基本方針は、学識者や地域住民等の意見も参考にしながら、基本的には行政機関で検討し整備方針を決定しました。
 現在、環境なども考慮した新しい整備の計画に取り組んでいますが、学識者や地域住民の方々にも原案の段階から意見を伺って作っていく事としています。
Q8
今では、信濃川をきれいにする活動は行われていないのですか。
A.
 「信濃川をきれいにする会」という会が組織されていて、各自治体・団体毎に随時堤防や川辺の清掃が行われています。h15年度は2,500人もの人が清掃活動を行っています。
 当事務所では、川に流出した油や不法投棄ゴミの回収や、工事では濁水や汚染物質の流出を防止するなどしています。また、堤防の除草時にも農薬を使わない等しています。
 他に、水質を綺麗にするための浄化施設を作るなどは行っていません。
 河川を利用する我々が気を付けさえすれば、かなりの部分が改善されるからです。
 後手の対策ではなく、川を汚す原因を無くすことが重要です。
Q9
信濃川は日本一の長さですが、世界では何番目なのですか?
A.
 順番は分かりませんが、世界の順位は以下の通りで、信濃川の367kmとは桁が違います。
河川名 長さ(km) 河口所在地(海洋名)
ナイル川
6,671
エジプト(地中海)
アマゾン川 6,300 ブラジル(大西洋)
長江 6,300 中国(東シナ海)
黄河 5,464 中国(ボー海)
ラ・プラタ川 4,800 ウルグアイ・アルゼンチン(大西洋)
ザイール川 4,375 ザイール(大西洋)
アムール川 4,350 ロシア連邦(オホーツク海)
レナ川 4,313 ロシア連邦(ラプテフ海)
メコン川 4,184 ベトナム(南シナ海)
ニジェール川 4,180 ナイジェリア(ギニア湾)
エニセイ川 4,093 ロシア連邦(カラ海)
ミシシッピ川 3,779 アメリカ合衆国(メキシコ湾)
マレー川 3,718 オーストラリア(インド洋)
オビ川 3,700 ロシア連邦(北極海)
ザンベジ川 3,540 モザンビーク(インド洋)
ボルガ川 3,531 ロシア連邦(カスピ海)
Q10
今回の水害をもとに、信濃川や中之口川でも河川の改修工事をする予定はあるのでしょうか。また、排水施設をさらに整備する予定はあるのでしょうか
A.
 現在も堤防強化対策として、緊急特定区間を設定し堤防を直しています。今回の7月13日水害は、昭和53年6月26日水害を上回る規模でしたので、現在調査中であり検討しています。
Q11
大河津分水について教えてください。
A.
 大河津分水は、越後平野を水害から守る目的で、信濃川の洪水が越後平野で暴れ回る前に日本海へ流し出す人工的な河川です。
 大河津分水が完成するまでの歴史は長く、享保年間(1716〜1736)に、寺泊の庄屋だった本間数右衛門が幕府へ請願(お願い)したのを始まりに、明治29年(1896)に起きた「横田切れ」をきっかけに、200年余り繰り返された請願がついに認められ明治42年(1910)に工事が本格的に始まりました。
 大河津分水を造るには莫大な費用が必要なことや、分水路を造ると下流部で水が不足して、港への船の乗り入れや農作に悪影響があるなど、新潟などの下流住民が建設に反対していたことが工事を遅らせた原因と考えられます。
 この工事では一日に約数千人にも及ぶ人が従事し、当時最新の技術と建設機械で行われましたが、完成まで22年間もかかりました。※昭和6年(1931)完成
Q12
新潟市はどんなふうに変わりましたか。
A.
 大河津分水がなかった時は、平均3〜4年に1回起きていた大水害が殆どなくなるなど、洪水の危険が減りました。また、ほじょう整備(農業用の水路等を整備すること)とあわせて、泥沼のような土地が乾いた土地になりました。
 これらのおかげで、お米の品質と生産性が上がり、現在のような日本有数の穀倉地帯になったばかりか、交通網も発展し、土地利用も進みました。
 新潟市が今のように発展し、沢山の人が安心して生活できるのは大河津分水のおかげといってもいいと思います。
Q13
なぜ新潟は洪水が多かったのか。
A.
 信濃川は緩やかな勾配で流れる緩流河川ですが、信濃川に流れ込む川(支川)は急勾配で、降った雨が一気に流れ込みます。このことが洪水が多い原因の一つといえます。
 越後平野はその昔海でした。それが信濃川などの運ぶ土砂によって沼地のような低い土地が少しずつ造られています。このような元々低い土地なので、普段水が流れる河道が固定化されておらず、水量が増えると氾濫しやすい地形です。
 また、いったん水が溢れると低く平らな土地なのでなかなか水が引かず、大きな被害を受けやすいといえます。
Q14
緩やかな斜面を持つ堤防では、以前の堤防と具体的にどこが違うのか?
A.
 緩やかな斜面を持つということは断面が大きくなるということです。
 大きな断面の堤防は地震に強く、津波などの浸食にも耐えられ安全性が高いです。
 また、緩い勾配であるため、河川利用者が水際まで行け、親水性(川への親しみやすさ)が高いです。
Q15
信濃川の最大深度及び最大の川幅はどの位ですか?
A.
 最大深度について
 川の水は毎日流れる量が変化しています。雨が降れば水の量が増え、天気の良い日が続けば、水の量は減るという天候の影響を受けやすいものです。
 また季節的な水量変化もあります。春先の雪解け水の影響や、農業用水として、川の水を大量にくみ上げたりする季節もあります。
 水位が日々変化する中で、水深を決めるのは難しいですが、図の中で普段、水が流れている場所を低水路といいます。洪水などで水位が上昇する以外は普段、水が流れているところです。 今回お答えする水深は、年間を通じて平均的に流れている低水路の平水位を基に、平成16年の測量結果より算出しました。
 信濃川下流河川事務所管内の信濃川で、一番水深があるところは
 本川(大河津分水洗堰より関屋分水路までの区間)では燕市熊森 万盛橋付近上流で約8mあります。
 本川下流(信濃川水門より河口までの区間)では新潟西港 北埠頭付近で約13mあります。

 川幅について
 川幅というと、いつも水が流れている低水路の幅と思うかもしれませんが、正確な川幅というのは下の図、計画高水位と表示してある箇所の長さが川幅なのです。
横断図
 堤防は洪水が発生した時に、水があふれないように計画して高さを決め作られています。150年に1度の大洪水を計算し、目一杯水が流れた時の水位を算出した高さを計画高水位(けいかくこうずいい)といいます。
 信濃川下流河川事務所管内の信濃川で、一番川幅があるところは
 本 川(大河津分水洗堰より関屋分水路までの区間)では
 旧 小須戸町 才歩川合流点付近上流で 約950mあります。
 本川下流(信濃川水門より河口までの区間)では新潟西港 北埠頭付近で 約520mあります。
 参考までに低水路の幅が1番広いところは
 本 川:関屋分水路と河口側への分かれる少し上流で 約350mあります。
 本川下流:新潟西港 港トンネル付近で 約480mあります。
Q16
信濃川の名前の由来について
A.
 信濃川は長野県の甲武信ヶ岳(2,475m)を源流とし、信濃川河口まで長野、新潟の両県を367kmにわたり流れる、日本一長い川です。
 上流の長野県では「千曲川(ちくまがわ)」と呼ばれていおり、新潟県境より「信濃川」と名前を変えます。
 その昔、長野県は「信濃の国」と呼ばれていました。信濃の国から流れてくる川なので信濃川と呼ばれるようになったそうです。
 上流の「千曲川(ちくまがわ)」は水源地である川上村の伝説によると、「その昔、神々の戦(いくさ)で流れた血があたり一面隈(くま)なく川のように流れたので、血隈川(ちくまがわ)と言うようになった。」とあります。
 現在の「千曲川」という標記で表れるようになったのは江戸時代からのようで、それ以前は「ちくまかわ」という呼称はあったものの、きまった文字では表現されていなかったようです
Q17
中越地震の時に信濃川や関屋分水路には直接の被害はなかったのか。
A.
 地震発生直後より当事務所管内の堤防や施設の緊急一斉点検を行いました。
 事務所管内では分水町の堤防(49k.3)に一部ヒビが入りました。通行止めを行い、ヒビ割れの復旧作業を行いました。
 関屋分水路については点検の結果被害・異常箇所はありませんでした。
 当事務所管内は震源地から離れていて、地震による堤防被害は1箇所だけでした。
 関屋分水路については点検の結果被害・異常箇所はありませんでした。
 しかし、震源地に近い上流部は大きな被害をうけました。
Q18
なぜ関屋分水路をつくらなければならなかったのか。
A.
 関屋分水路の計画は古く、江戸時代には土地改良を目的として、その必要が訴えられていました。新潟平野は水はけが悪く水害や大雨の度に水がたまり当初は排水を目的として計画されたそうです。
 明治44年には現在とほぼ同じ位置に、坂井輪地区の排水を目的として堀ができましたが、その10年後には流れてきた土砂で埋まってしまったそうです。
 昭和30年代以降、新潟市付近は地盤沈下が始まり、徐々に信濃川の堤防も沈下し始めました。また、西港(当時:新潟港)も川の運ぶ土砂による水深不足の改良のために信濃川と港の分離計画がされ、水害から市街地を守る治水と港の改良方法として昭和42(1967)年に工事開始し昭和47(1972)年に通水しました。昭和53(1978)年の水害や、昨年7月13日の水害でも治水効果を発揮しました。
Q19
どのような方法を使って信濃川への塩分の流入を防いでいるのか。また、塩分が流入するとどのようなことで困るのか。
A.
 信濃川と関屋分水路にある水門と堰によって、信濃川本川に海水(塩水)が入るのを防いでいます。
 信濃川下流における海水の進入(塩水遡上(えんすいそじょう))については、日常的に発生している現象ではありません。川の流量(水の量)が少なくなると発生することがあります。
 夏の渇水期(かっすいき)や冬の流量が少なくなる時において、ごく希に発生します。
 塩水が進入した場合、川より取水している水道水や、工業・農業用水への影響が心配されます。
 最近では平成6(1994)年に発生し、ふるさと村の近くまで海水が遡上しました。
 自然環境に対する影響ですが、一次的に発生する現象なので調査は行っておらず影響が無いとはっきり申し上げる事が出来ませが、生息する淡水魚は海水を嫌い一次的に避難するという話を聞いたことがあります。
塩水遡上模式図 ※渇水期とは・・・大量に水が必要なのに、降水雨量等の低下で需要に対し供給量が低下する水量不足の時期です。信濃川は日本一の水量があり滅多に起きませんが、関東地方などでは夏場に取水制限を行い、水道の使用量を抑える事があります。
Q20
どうして信濃川の水量を調節しなければならないのか。
A.
 信濃川下流(大河津洗堰(おおこうづあらいぜき)から河口)では、三条市・燕市にまたがる蒲原(かんばら)・中ノ口水門(すいもん)と、新潟市の信濃川水門・新潟大堰(おおぜき)の2箇所で水量を調節しています。
 蒲原・中ノ口水門は信濃川と中ノ口川。信濃川水門・新潟大堰は信濃川と関屋分水路の水量を調節しています。
 普段は、水道水・工業用水・農業用水、魚や船が通るための水を確保するために水量を調節しています。
 洪水の時は、洪水の氾濫(はんらん)から町を守るため水量を調節して流しています。
Q21
新潟県は1日どのくらいの量の生活排水が出るのか。
A.
 下水道未整備の地区もありますので、全ての量を確認することはできませんが、環境省のパンフレットによると、1日1人平均 約200リットルの生活排水を出すそうです。
 平成17年1月1日現在の新潟県人口が約2,446,300人なので、計算上1日約5億リットル程度は排出されているのではないでしょうか。
 この量は新潟県庁を大きな容器に見立てると2.5杯分です。信濃川は日本一の長さと水量があり、1年間で流れる水の量は15兆9000億リットルも流れています。
Q22
水害を防ぐためにどのような対策がなされているのか。
A.
 信濃川に流れ込む川(支川(しせん))との合流地点で水の流れを改善向上するように改良工事を行ったりしています。また、昨年の7.13水害を受け、支川と供に上下流一体の整備として堤防の高さを上げ強化し、安全に水が流れるように整備しています。
 川より低い市街地の排水能力を向上させるため、排水機場の建設も行いました。
 その他、雨量や川の水位等、防災に役立つ情報を提供しています。