はじめに

第1章
新潟県中越地震の概要
第2章
北陸地方整備局所管施設
等の被害及び応急復旧状況
第3章
様々な支援の取り組み
第4章
北陸地方整備局所管施設
等の本復旧及び復興
第5章
地震発生後の動き
第6章
地域への情報提供
第7章
参考資料



国土交通省
北陸地方整備局


第7章 参考資料

第6節/復興へ向けた取り組み
復旧・復興関連の主なイベント・行事
1.新潟県中越地震1周年事業 震災復興ラウンドテーブル
2.中越地震から1年−「地震防災フォーラム」〜その時、情報はどう活かされたか〜
3.ふるさとニッポン・よりみち街道『中越』プロジェクト

 地震発生から1年後の平成17年秋、被災地域の復旧と復興を願って各機関・団体が多岐にわたる様々な催事を行ったが、整備局は、被災地域における生活基盤の一日も早い復旧・復興と安全な魅力ある地域づくりを進めるための方策等について住民と一緒に考えることを目的に、関係機関と連携してフォーラム等を開催した。概要は次のとおり。(氏名、役職・肩書は当時。敬称略)。



1  新潟県中越地震1周年事業 震災復興ラウンドテーブル
 長岡地域の3つの大学を中心に、住民、企業、行政、研究者が、それぞれの立場から中越地震について報告するとともに、今後の復興と地域づくりについて考え、地域が一体となって次の行動に移す契機にすることを目的として開催された。
(1) 概要
開催日時: 平成17年10月24日(月) 10:30 〜 17:00
開催場所: 長岡リリックホール
提   唱: 北陸地方整備局
主   催: 長岡防災安全コンソーシアム(長岡技術科学大学、長岡造形大学、長岡大学、長岡工業高等専門学校、長岡雪氷防災研究所)、新潟大学、東洋大学、長岡商工会議所、(社)北陸建設弘済会、新潟日報社

(2) 内容
座談会
座談会
【座談会】『始動 長岡防災安全推進機構』
小島  陽 (長岡技術科学大学長)、
鎌田 豊成 (長岡造形大学長)、
原 陽一郎 (長岡大学長)、
高田 孝次 (長岡工業高等専門学校長)、
佐藤 篤司 (長岡雪氷防災研究所長)、
和田  惇 ((社)北陸建設弘済会理事長)

 平成16年、中越地域に被害をもたらした水害、地震、豪雪の経験を生かし、産官学民が力を結集して復興に貢献する「長岡防災安全推進機構」を、出席した6機関を核に、震災から1年半となる平成18年4月に正式発足する。

そこでは次の3つの行動を構想の柱とする。
1) 学問・研究コンソーシアム(危機管理安全学の追究、連携大学院の設立)
2) 市民安全大学(「長岡市民防災安全士(仮称)」や専門技術ボランティアの育成)
3) 防災・安全技術産業振興(震災アーカイブス・データセンターの整備活用、中越発の安全技術・機器の開発)
 地元市町村や経済界の他、中越地震を研究したり地域を支援している県外の大学等にも参加を願い、得られた成果は、中山間地災害の復興モデルとして世界に発信していきたい。

【特別講演】『安全な社会・防災と科学技術』
 <講師:村上 陽一郎(国際基督教大学大学院教授)>
 リスクとは本来「人間が目的を持って目指す行為に伴う危険で、ある程度人間の手で制御可能なもの」である。しかし、科学技術の進歩がリスクを減らし、安全を確保してきたのは明確だが、人間が不完全な存在である以上、リスクを完全にゼロにはできない。そして、これからは科学的合理性を組み込んだ社会的合理性を考慮しなくてはならない。
 今後は、科学的な因果関係がはっきりしなくても、もしかしたら起こるかも知れない事態に対応しておこうという「予防原則」の考え方や取り組みが必要となる。
 また、より安全な社会を築くため、一般市民の「自分たちの常識」が専門家と同じ重さで評価され、リスク管理に参加できることが重要である。

【セッション】
◆セッション1(分科会 座長:丸山 久一(長岡技術科学大学副学長))
『地すべりとそれに続く土砂災害』丸井 英明(新潟大学積雪地域災害研究センター教授)
『地震による地盤への影響』大川 秀雄(新潟大学工学部教授)
『道路へのインパクト』丸山 暉彦(長岡技術科学大学環境・建設系教授)
『新幹線等鉄道への衝撃』海野 隆哉(長岡技術科学大学環境・建設系教授)
『下水道の被害と復旧について』若木 仁(長岡市土木部長)
『中山間地の雪氷災害(雪崩の防災研究)』西村 浩一(長岡雪氷防災研究所総括主任研究員)
『中越地震からの復旧・復興(中山間地問題)』坂上 悟(国土交通省長岡国道事務所長)
◆セッション2(分科会 座長:平井 邦彦(長岡造形大学環境デザイン学科教授))
『中越地震に学ぶ危機管理体制』大口 弘人(新潟県危機管理監)
『企業におけるトップの判断と行動』原 信一((株)原信代表取締役社長)
『地域メディアの役割と課題』脇屋 雄介(FMながおか放送局長)
『災害時の初動体制を考える−中越地震の事例から−』重川 希志依(富士常葉大学環境防災学部教授)
『中越大震災における在住外国人支援』羽賀 友信(長岡市国際交流センター長)
『自主防災組織としての取り組み』古田島 友一郎(川口町東川口町会会長)
『災害ボランティアセンターと復興プロジェクト』宮崎 悦男(小千谷商工会議所前理事長)

【セッション要旨(統括の議論より)】
 広域にわたる災害復興には、行政機関同士の連携と情報の共有が不可欠である。災害に強いまちづくりや防災の技術開発では、地域に根差した学究機関が行政や地域産業と密に連携し、共同研究等を通して進めるのがこれからの形である。そして、適切な技術を適所に用いるためには、学究機関が普段から情報の蓄積、研究開発を進めておく必要がある。
 何でも行政がやるのではなく、物資配給など民間が得意とする分野もあり、より弾力的に協働すべき。基本は自助、共助であり地域コミュニティの再構築が課題である。また、地域FM局の活躍を踏まえ、集まる情報の官民共有など情報のシステム化が必要である。

【参加者へのメッセージ】
 <長岡市長 森  民夫>
 震災から1年は一つの区切り。これからは「創造的復旧」へ向けてアクセルを吹かす時期である。「長岡防災安全推進機構」の発足など、防災体制を確立し、日本一災害に強いまちづくりにまい進していきたい。地域社会、産、学、行政が強く連携して協働しながら復興に取り組み、その成果を全国に発信できることを期待している。
 <小千谷市長 関  広一>
 普段から空気のような感覚で使っている電気、水道、ガスなどが一瞬で破壊され、大変な生活を強いられた。一筋の明かりや水がどれだけ市民の気持ちを明るくしたか、身をもって体験した。市民の生命・財産を守るために、災害時のインフラの立ち上げ方をいち早く確立したい。
 災害に強いまちづくりに英知を出し合い、中越の復興が次の災害の教訓に活かされることを願う。
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