はじめに

第1章
新潟県中越地震の概要
第2章
北陸地方整備局所管施設
等の被害及び応急復旧状況
第3章
様々な支援の取り組み
第4章
北陸地方整備局所管施設
等の本復旧及び復興
第5章
地震発生後の動き
第6章
地域への情報提供
第7章
参考資料



国土交通省
北陸地方整備局


第4章 北陸地方整備局所管施設等の本復旧及び復興

第3節/道路施設
1.全体方針
2.主な被災箇所の応急復旧〜本復旧

2  主な被災箇所の応急復旧〜本復旧
(1) 国道8号見附大橋(L=150m 中之島町灰島新田)【取付盛土崩壊】
 橋梁取付盛土が崩壊し、橋本体と路面との間に段差が生じ全面通行止めとなった。応急復旧では崩壊の拡大防止を図るため崩壊末端と本線部分の盛土法尻に大型土のうを設置し、雨水の浸透防止のためのブルーシートを敷設、路面段差はアスファルト舗装によるすり付けを行い10月30日17時に全面通行止めを解除。
 本復旧ではセメント系固化改良により法尻部分の盛土とその下の地盤を幅5m、深さ9mにわたって強化することとした。
 被災状況を写真4-3-2、復旧状況を写真4-3-3〜4、見附大橋の取付盛土被災箇所における推定断面図を図4-3-8に示す。

写真4-3-2 被災状況 路面段差 写真4-3-3 本復旧状況 歩道路体施工
写真4-3-2 被災状況 路面段差
 

写真4-3-3 本復旧状況 歩道路体施工
 

写真4-3-4 本復旧状況 法面種子吹き付け
写真4-3-4 本復旧状況 法面種子吹き付け


図4-3-8 見附大橋の取付盛土被災箇所における推定断面図
図4-3-8 見附大橋の取付盛土被災箇所における推定断面図


(2) 国道8号新組跨線橋(L=170m 長岡市新組地先)【橋脚コンクリート剥離】
 新組跨線橋下り線の橋脚上部のコンクリートが剥がれ、中の鉄筋が露出するなどの被害が発生した。復旧は、このコンクリート剥離部分を補修後、炭素繊維シートを巻き付けて補強。10月30日に全面規制解除された。地震発生時、補強が済んでいた上り線は、被災しなかったため、迂回路として使用できた。
 被災状況を写真4-3-5、復旧状況を写真4-3-6〜7に示す。

写真4-3-5  被災状況 コンクリートの剥離 写真4-3-5  被災状況 コンクリートの剥離



写真4-3-6復旧状況 コンクリート剥離部分の補修
写真4-3-6
復旧状況 コンクリート剥離部分の補修


写真4-3-5  被災状況 コンクリートの剥離

写真4-3-7  復旧状況 炭素繊維設置完了

写真4-3-7  復旧状況 炭素繊維設置完了

(3) 国道8号長岡市宮本地先【盛土崩壊と擁壁傾斜】
 約600mにわたり盛土法面が余震によってさらに大きく民地側に変状し、歩道に大きなクラックが発生、反対側のプレキャストL型擁壁が足元をすくわれるように傾斜し歩道が沈下した。ボックスカルバートも全体的に20〜30cm沈下し、隣接するジオテキスタイル補強土壁の下部がはらみ出し法尻部の小段(無補強盛土)が押出された。これにより約10月27日の1日間全面通行止めとなった。
 応急復旧として、盛土崩壊箇所には大型土のうを法尻に設置し崩壊の拡大を防止、車道部の亀裂箇所にはジオテキスタイルを敷設し、全面通行止めを解除。
 本復旧は、盛土、プレキャストL型擁壁、補強土盛土は、支持地盤を締固め改良により強化した上で再構築することとした。また、ボックスカルバートについては、下部にある深さ3m程度まで置換砂を注入固化工法で改良することとした。
 被災状況を写真4-3-8〜9、図4-3-9、国道8号宮本地先の盛土被災箇所周辺での地盤柱状図を図4-3-10、復旧状況を写真4-3-10〜11に示す。

写真4-3-8  被災状況 道路崩壊
写真4-3-8  被災状況 道路崩壊


写真4-3-9 上空からの被災状況
写真4-3-9 上空からの被災状況


図4-3-9 崩壊断面のイメージ図
図4-3-9 崩壊断面のイメージ図
 

図4-3-10 国道8号宮本地先の盛土被災箇所周辺での地盤柱状図
図4-3-10 国道8号宮本地先の盛土被災箇所周辺での地盤柱状図
 

写真4-3-10 応急復旧状況 ジオテキスタイルの敷設 写真4-3-11 本復旧状況
写真4-3-10 応急復旧状況 ジオテキスタイルの敷設


写真4-3-11 本復旧状況


(4) 国道17号和南津トンネル(L=300m 川口町和南津地先)【覆工コンクリート崩落等】
 和南津トンネル(L=300m)は一部区間において覆工コンクリート(約20m3)の崩落及び坑内側壁・坑門部分にクラックの発生が確認され一般車両が通行できない状況となった。懸命の復旧作業の結果、11月2日に応急復旧が完了し1車線での通行が可能となり全面通行止めが解除され、12月26日には本復旧も完了し、2車線通行を確保することができた。
 復旧に際しては、学識経験者や有識者等からなる和南津トンネル技術検討委員会を設置し適切な復旧方法について検討を行い施工等に反映した。
 コンクリート崩落状況を図4-3-11、施工フローを図4-3-12、被災状況を写真4-3-12〜13に示す。

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図4-3-11 コンクリート崩落状況
(崩落箇所展開図)
図4-3-11 コンクリート崩落状況


図4-3-12 施工フロー
図4-3-12 施工フロー


写真4-3-12 被災状況 側壁コンクリート押出し 写真4-3-13 被災状況 坑門コンクリートのずれ
写真4-3-12 被災状況 側壁コンクリート押出し


写真4-3-13 被災状況 坑門コンクリートのずれ

 本復旧はトンネル外にてセントル型枠を組み立て、トンネル内のプロテクターを撤去後、型枠を設置し覆工コンクリートを打設し、コンクリート養生期間の短縮を図るため、バルーン工法を採用した。その後、歩道や照明灯を設置し、坑門や擁壁のクラックを補修し、2車線(幅員8m)を確保した。

 本復旧断面図を図4-3-13、本復旧状況を写真4-3-14〜16、復旧活動工程を図4-3-14、復旧までの流れを表4-3-2に示す。

図4-3-13 本復旧断面図
図4-3-13 本復旧断面図


写真4-3-14 本復旧状況 セントル組立状況 写真4-3-15 本復旧状況 養生用バルーン
写真4-3-14 本復旧状況 セントル組立状況


写真4-3-15 本復旧状況 養生用バルーン


写真4-3-16 本復旧完了 2車線開通(H16.12.26 14:55)
写真4-3-16 本復旧完了 2車線開通(H16.12.26 14:55)


図4-3-14 和南津トンネルの復旧活動工程  
図4-3-14 和南津トンネルの復旧活動工程
 
表4-3-2 復旧までの流れ
10月23日 19:00 全面通行止め
11月 2日 16:20 片側交互通行
12月26日 14:55 2車線開通

(5) 国道17号和南津橋(L=189m 川口町和南津地先)【取付部段差、支承損傷】
 和南津橋は、かつて魚野川の舟運の難所といわれた川口町和南津に架かる橋で、地震によって橋の取り付け部分に段差が生じ、通行が不能となった。また、橋に近い和南津トンネルでも崩落によって全面通行止めとなったため、和南津橋との間で11台の車輌が取り残された。
 復旧に際しては、地震によってできた段差を走行の支障とならないようアスファルトなどですり付ける応急復旧が行われ、車輌の通行が可能な状態にした。
 本復旧は、地震によって生じた和南津橋の桁端の損傷、支承の損傷、ゲルバーヒンジサイドブロックの損傷、側道橋の支承損傷などをすべて復旧させた。
 被災状況を写真4-3-17,19、本復旧状況を写真4-3-18,20に示す。

写真4-3-17 被災状況 橋の取り付け部の損傷(被災箇所拡大) 写真4-3-18 本復旧状況 橋の取り付け部
写真4-3-17
被災状況 橋の取り付け部の損傷
(被災箇所拡大)


写真4-3-18
本復旧状況 橋の取り付け部


写真4-3-19 被災状況ゲルバーヒンジサイドブロックの損傷 写真4-3-20本復旧状況ゲルバーヒンジサイドブロック
写真4-3-19
被災状況
ゲルバーヒンジサイドブロックの損傷


写真4-3-20
本復旧状況
ゲルバーヒンジサイドブロック


(6) 国道17号川口町天納地先【盛土、擁壁崩壊】
 川口町天納地区で、谷側の法面が崩壊、近接して並走するJR上越線の線路上に土砂が流出した。国道17号は土砂流出の影響で路面が陥没し、車両の通行が不能となった。
 被災状況を写真4-3-21〜22、崩壊斜面の断面図を図4-3-15、復旧のフローを図4-3-16に示す。

写真4-3-21 被災状況
写真4-3-21 被災状況


写真4-3-22 JR上越線被災状況
写真4-3-22 JR上越線被災状況


図4-3-15 崩壊斜面断面図
図4-3-15 崩壊斜面断面図
 

図4-3-16 復旧のフロー
図4-3-16 復旧のフロー

 本復旧は、応急復旧完了後、地質調査で構造物の支持層として問題ない地盤であることを確認し、補強土壁工のジオグリッド工法とした。JR上越線の復旧と並行して国道17号の本線部分本復旧が行われ、12月29日に完了し、車両はもとの道路を通行できるようになった。その後、役割を終えた迂回路は雪解け後に撤去し、借地は5月末に地権者へ返却した。
 本復旧断面図を図4-3-17、復旧までの流れを表4-3-3、本復旧状況を写真4-3-23〜26に示す。

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図4-3-17 本復旧断面図
表4-3-3 復旧までの流れ
10月23日 18:45 全面通行止め
10月25日  1:00 緊急通路確保(1車線)
10月29日 20:00 迂回路開通(片側交互通行)
10月31日 22:30 迂回路開通(2車線)
12月29日 20:40 本線2車線開通(本復旧完了)
図4-3-17 本復旧断面図


写真4-3-23 本復旧状況 写真4-3-24 本復旧状況
写真4-3-23 本復旧状況


写真4-3-24 本復旧状況


写真4-3-25 本復旧完了状況 写真4-3-26 現在の状況
写真4-3-25 本復旧完了状況


写真4-3-26 現在の状況

(7) 国道17号川口町牛ヶ島地先【切土、擁壁倒壊】
 川口町牛ヶ島において、延長200mにわたって山側の法面が崩壊、雪崩防止柵をなぎ払い、道路に土砂が流出して国道17号が通行不能となった。
 大型土のう設置等による応急復旧に続いて、2車線確保のため、土留工区間では土砂の流出を防止するための親杭横矢板(H鋼杭+軽量鋼矢板)を設置。また、表層性地滑りを起こした切土区間では安全確保のため、法面に伸縮計を設置して24時間監視しながら、斜面に亀裂が入った部分を切土した。これらの対策を完了し、10月31日6時に2車線開通となった。引き続き、本復旧工事を進めている。
 被災状況を写真4-3-27〜28、本復旧状況を写真4-3-29〜30に示す。

写真4-3-27 被災状況
写真4-3-27 被災状況


写真4-3-28  被災状況と応急復旧対策区間 写真4-3-29  土留工区間の本復旧状況
写真4-3-28  被災状況と応急復旧対策区間


写真4-3-29  土留工区間の本復旧状況


写真4-3-30 土留工区間の本復旧状況
写真4-3-30 土留工区間の本復旧状況

(8) 国道17号小千谷大橋(L=585m 小千谷市地先)【橋脚剥離、支承変形等】
 信濃川に架かる小千谷大橋は、支承、橋を支える一番重要な主桁、下部工などに変形や亀裂、欠損などが発生した。
 橋脚の亀裂、変形、欠損などの損傷箇所について復旧対策を実施し、10月25日18時30分に全面通行止めを解除した。
 被災箇所位置図を図4-3-18、被災状況を写真4-3-31,33、復旧状況を写真4-3-32,34〜36に示す。

図4-3-18  被災箇所位置図
図4-3-18  被災箇所位置図


写真4-3-31 被災状況 橋脚と橋桁の接続部分 写真4-3-32 復旧状況 橋脚と橋桁の接続部分
写真4-3-31 被災状況 橋脚と橋桁の接続部分


写真4-3-32 復旧状況 橋脚と橋桁の接続部分


写真4-3-33 被災状況 橋脚部分
写真4-3-33 被災状況 橋脚部分


写真4-3-34 復旧状況 断面修復及びひび割れ注入工 写真4-3-35 復旧状況 炭素繊維巻立工
写真4-3-34 復旧状況 断面修復及びひび割れ注入工


写真4-3-35 復旧状況 炭素繊維巻立工


写真4-3-36 復旧状況 塗装後復旧完了
写真4-3-36 復旧状況 塗装後復旧完了

(9) 国道17号長岡市長倉地先【ボックスカルバート不等沈下】
 国道17号の長岡市内の道路横断ボックスは、地震による地盤の液状化現象により不等沈下が生じ、ボックスの目地が開口して裏込土砂が流出する被害が発生した。復旧は、開口した目地を可とう性止水ジョイントで接続し、地盤についてはさらなる不等沈下が発生しないようボックス内部から底版を削孔し、薬液注入工を施した。
 被災状況を図4-3-19、写真4-3-37〜38、本復旧状況を写真4-3-39〜40に示す。

図4-3-19  長岡市長倉地先の道路横断ボックスの被災状況
図4-3-19  長岡市長倉地先の道路横断ボックスの被災状況


写真4-3-37 被災状況
写真4-3-37 被災状況


写真4-3-38 被災状況
写真4-3-38 被災状況

写真4-3-39本復旧状況 BOX天端止水ゴム取付 写真4-3-40本復旧状況 止水ゴム・メッキ鋼板取付完了
写真4-3-39
本復旧状況 BOX天端止水ゴム取付

写真4-3-40
本復旧状況 止水ゴム・メッキ鋼板取付完了

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