はじめに

第1章
新潟県中越地震の概要
第2章
北陸地方整備局所管施設
等の被害及び応急復旧状況
第3章
様々な支援の取り組み
第4章
北陸地方整備局所管施設
等の本復旧及び復興
第5章
地震発生後の動き
第6章
地域への情報提供
第7章
参考資料



国土交通省
北陸地方整備局


第3章 様々な支援の取り組み

第7節/行方不明者の救出に係る技術支援
1.概 要
2.支援体制
3.支援内容
4.課題・留意事項

3  支援内容
 支援現地本部は、遠隔操縦式バックホウを活用した救出作業現場までの進入路造成に関する指導・助言を、新潟県の現地対策本部と密な連絡調整のもと行った。また、操作に必要な現地カメラの設置に関し、現地の状況把握及び機器提供等を積極的に実施した。
 進入路(全体延長約120m)の造成が完了した11月6日まで技術支援を行い、同8日に支援現地本部を撤収した。発災から撤収までの経緯を表3-7-2に示す。

表3-7-2 行方不明者救出に係る経緯

内         容
10月23日
(土)
 1日目
17:56 「新潟県中越地震」発生。M6.8
21:45 「長岡市妙見町の土砂崩落現場で乗用車3 台が埋まる。うち2 台発見、1 台捜索中」の報道あり。
10月26日
(火)
 4日目
15:30 県警ヘリが白いワゴン車を発見しナンバーを確認。
10月27日
(水)
 5日目
早朝 県、県警、消防による救出プロジェクトチーム結成。東京消防庁ハイパーレスキュー隊が捜索に加わる。
正午過ぎ 新潟県は現地本部を設置。
13:51 人命探査装置で生体反応を確認。
14:39 長男(皆川優太ちゃん(2))を救出、無事確認。
15:23 震度4 の余震で、救出活動一時中断。
16:45 母親(皆川貴子さん)を車内から運び出す。
17:14 長女(皆川真優ちゃん(3))の救出再開。
夜を徹して車内をレスキュー隊が捜索するが、長女発見されず。
10月28日
(木)
 6日目
長女の救出活動継続中。作業難航。
12:08 レスキュー隊が埋まった車中に長女を確認。
12:20 救出中の車内の長女、死亡を確認。
23:10 長女の収容作業を中断。
10月29日
(金)
 7日目
新潟県が、プロジェクトチーム(県警、新潟県、国土交通省、北陸地方整備局、内閣府現地支援対策室)を設置。整備局は、災害協定にもとづき、土工協に支援対応を指示。
10月30日
(土)
 8日目
崩落現場の現地調査実施及び無人化施工を検討。
10月31日
(日)
 9日目
新潟県知事から北陸地方整備局に対し、無人化施工に関する技術支援を正式要請。
11月 1日
(月)
 10日目
10時頃 対応業者が決定(鹿島建設・大成建設・前田建設工業・熊谷組・福田組JV、現場代理人は鹿島建設の副支店長)、県は作業の指示を発出。
11:10 遠隔操縦式バックホウによる進入路設置作業開始。
16:00 作業終了。出来高累計30m、累計30m/120m
11月 2日
(火)
 11日目
  8:40 遠隔操縦式バックホウによる進入路設置作業再開。
12:45〜13:10 遺族が現場訪問。
14:08〜14:33 林田内閣府副大臣が現地視察。
16:00 作業終了。出来高15m、累計45m/120m
11月 3日
(水)
 12日目
  6:25 遠隔操縦式バックホウによる進入路設置作業再開。落石検知システムの設置完了。
16:00 作業終了。出来高40m、累計85m/120m
11月 4日
(木)
 13日目
6:15 朝方からの降雨により作業を見合わせ、現場で待機。
8:35 朝日川増水に備えた迂回路の設置完了。
8:57 震度5 強の余震発生。
13:15 関係者(県警、機動隊、新潟県、北陸地方整備局、JV、北越建設)は車両の浮き石除去方法、今後の作業予定を打合せ。
11月 5日
(金)
 14日目
  6:15 朝日川の渡河補修作業開始。
10:05 進入路設置作業再開。
13:15〜16:10 現地本部の打合せ。
14:00〜14:57 県警による現地事前準備作業。
15:00 JVがラジコンヘリによる現場調査を実施。
16:00 作業終了。出来高10m、累計95m/120m
11月 6日
(土)
 15日目
6:30 遠隔操縦式バックホウによる進入路設置作業作業再開。
11:00 現地本部(新潟県、機動隊、北陸地方整備局、土工協)の打合せ。
16:00 作業終了。進入路概成。出来高25m、累計120/120m
11月 7日
(日)
 16日目
  6:00 県警機動捜査隊、地質学者、国土交通省担当者、建設業者らによるプロジェクトチームで地質調査。
6:25〜9:00 無人化施工による車両周辺の土砂撤去作業。
8:30〜9:55 安全確認及び有人作業準備。
  9:55 収容作業開始。
15:23 長女を収容。
11月 8日
(月) 
17日目
支援現地本部を撤収。

(1) 遠隔操縦式バックホウの派遣
1) 運搬
 富山防災センターのバックホウ(1.4m3)は、輸送時に分解組み立てを伴うことから、災害現場近隣にあった長岡市内の建設機械メーカー工場で分解組み立て作業を行い、現地搬入のタイミングまで待機した。
2) バックホウ用アタッチメント調達
 現地での多種の作業内容を考慮し、必要と思われるアタッチメント(油圧ブレーカ・クラブ・破砕用カッタ)の在庫状況について全国調査を実施した。工法決定により油圧ブレーカーを緊急調達した。

(2) 現地作業
1) 現地作業
 現地作業では、北陸地整から派遣した2台の遠隔操縦式バックホウの他、民間の遠隔操縦式バックホウ(2.1m3)によるカメラのみの無人化施工で進入路を確保するとともに、埋没車両近辺の足場確保及び浮き石撤去を行った。
その後、法面監視員を配置し安全を確認後、埋没車両の周り1mは有人施工で掘削し大きな石はバックホウで撤去後、機動隊による人力掘削で作業を進めた。
2) 遠隔操縦用画像送信
 作業現場近傍に現場全体を把握する固定カメラの設置場所がないため、100m程離れた対岸に固定カメラを設置することとし、操作小屋へはパソリンクを取り付けて画像を送信した。
3)
遠隔操縦用通信環境改善
 現地の通信環境不良を確認したので、外部発信器(外部アンテナ)を急遽用意し、通信環境を改善してバックホウの操作を行った。

写真3-7-4  遠隔操縦施工概要
写真3-7-4  遠隔操縦施工概要


図3-7-4 遠隔操縦用画像配信
図3-7-4 遠隔操縦用画像配信


写真3-7-5  稼働中の遠隔操縦式バックホウ
写真3-7-5  稼働中の遠隔操縦式バックホウ


写真3-7-6 遠隔操縦式バックホウ操作状況
写真3-7-6 遠隔操縦式バックホウ操作状況

前に戻る TOPへ戻る 次へ進む