●災害に思う… 小松兼俊さん(葛温泉 仙人閣ご主人)
この年は8月に入り毎日のように雨が降りつづき、特に11日は一段と強く降っていました。前日のお客様がお帰りになり、みんなで掃除をしていたときです。突然自家用の水道が止まったので、私は水源の小白沢を見に行きました。その時、目の前で小白沢からの土石流が県道の小白沢橋をあっという間に押し流していきました。この光景を見私は恐怖で足がすくんでしまいました。高瀬川を見ると、濁流が津波の様に3~4mの段になってものすごい勢いで流れています。あわててお客様をつれて、県道の上に避難しましたが、仙人閣は濁流にのみこまれてしまいました。その夜は裏山の営林署の事務所に泊まり不安な一夜を過ごしました。翌日は、雨がやんで昨日の天気がうその様な晴天になり、ここでようやく、みんなが無事であったことを喜び合いました。この日から30年が過ぎ、災害の記憶も薄れてきています。昔から災害は忘れたころにやってくると言われています。このような災害が二度と起こらないように願いたいものです。
|