アルプスSABO NEWS

Date:
2014/9/8
現場の魅力について現場の技術者さんに聞いてみました
 近年、建設界では技術者の高齢化が進み、将来の担い手である若手技術者の確保が急務となっています。
今回は、松本砂防事務所発注工事の中から()副所長が技術者への取材を通して、土木や現場の魅力などを伝えて行きます。今回は、梓川出張所管内の技術者さんを取材してみました。

 
○取材日時:平成26年9月2日(火)14:00
 ○話を伺った方:株式会社高宮組 丸山真吾さん(30)
            現在の担当業務:「野麦峠第9号床固工その2工事」現場代理人
            施工場所:長野県松本市奈川保平地先
 ○紹介者:松本砂防事務所梓川出張所 技術係長 渡辺信二
 ○聞き手:松本砂防事務所()副所長 渡辺政信
 ○記 録:松本砂防事務所総務課 専門職 丸山 淳

1.現場事務所にて
 ① 丸山さんが現在の仕事に就いたきっかけは
地元で将来就職することを考えたときに土木関係が選択肢として有効だったので、高校で土木を学び、家族の紹介で現在の会社に入社しました。今年で8年目になります。

 技術者の資格としては、平成23年に2級土木施工管理技士を取得し、平成26年は1級資格を受験し結果待ちです。


② 土木の現場について
 最初は何がなんだか全然分からなかったが、最近は大変な仕事であるが、構造物を造ることが地域の発展にも役立つもので、工事が完成するごとに達成感とともに責任感も感じてきています。

③ 南木曽町や広島市での土石流災害で思うこと
 技術者が足りていない印象があります。土木技術の魅力を伝え、人手不足を解消する必要があると感じます。

④ 土木技術の魅力を伝えるには
 昔は重労働だけれど儲かるというイメージがありましたが、今は、重機が好きでこの仕事に就いている人や、会社で事務をするより外で働くのが好きとか人それぞれで魅力が違うと思います。
 若い人に人気のある職業は公務員でのようです。やはり安定しているというのが一番で、生活に関わる部分は大変重要な要素です。
 公共事業を安定して実施し、建設業界を安定化する。また、広報等を国や自治体が主体となって行う等、国や自治体に牽引して欲しいです。

⑤ 現場代理人として
 中信森林管理署発注工事での現場代理人の経験はあるが、松本砂防事務所発注工事での現場代理人ははじめてです。工事の数量のとりまとめや書類作成が大変だと感じる時があります。

⑥ 工事現場の特徴・工夫しているところ
 この地区(奈川)は、魚(特にイワナ)が多いところという印象があります。従って漁協や釣り人には特に配慮しており、工事の濁水処理には「環境配慮型濁水処理フィルター工法」を採用してできるだけ下流部に濁水を流さないように配慮しています。うっかり川を濁らせるとたちまち釣り人から苦情が寄せられることもあります。
 また、この工区は県道に近接しているので、道路下部に鉄筋挿入工を施工して道路に影響を与えないようにしています。
 また、地域貢献として地元利用者のための作業運搬路の整備や、マスのつかみ取り大会などに協力しています。

2.取材を終えて
 今回取材した丸山さんも地元地域を災害から守り地域の発展のため尽力していると感じました。これからもさらに研鑽を積んで良いものを造っていただきたいと思います。
 一見地味で大変そうな現場ですが、よく話を聞いて現場を見るとそれぞれの現場は技術とノウハウの集合だと感じました。
 これら工事現場を束ねる現場代理人や監理技術者は、発注者との調整、地元への配慮、協力会社との調整、工程管理、予算管理、安全管理等、高度な調整・管理能力を要求される極めて重要な人材です。
 しかしながら、災害現場などでは自衛隊や消防団は頻繁に報道されますが、実際に復旧活動にあたる建設業者やTEC-FORCEの活動はほとんど注目されないのが現状です。
 「しっかり勉強して将来はあの人みたいになりたい(させたい)。」と言われるよう、いろいろなメディアを有効に活用して、子供だけではなく親を含めて幅広く広報していく必要があると思います。

 3.今だから見られる工事の現場
 野麦峠流路工は信濃川水系・奈川上流部に位置する松本市奈川(旧:奈川村)神谷地区から川浦地区までの延長5.3㎞で整備されています。また、流路工に沿って通称「野麦街道」と呼ばれる長野県と岐阜県を野麦峠で結ぶ県道が通っており、地元の観光資源のひとつになっています。
 この工事で施工する「床固工」とは、背の低い一連の砂防えん堤のようなかたちの施設で、川の蛇行を防止するとともに川底や川岸の侵食を防止します。一見地味ですが、実は縁の下の力持ち的な役割をもつ重要な施設です。
 現在は、川の中央に仮のよう壁を設け、右岸側に川の水を流しながら、左岸側の床固工を施工しています。
 工事は県道(通称:野麦街道)の一部を車線規制しながら施工していて、道路利用者には不便をかけていますが、一寸視線を変えると通常では目にすることがない、砂防施設の実物大カットモデルが見られます。(川底の断面がBLTサンドのよう)
 高さ5.5m、幅2mの「床固工」と「副床固工」、これを結ぶ延長17mの「水叩き」、更に下流側の「護床ブロック」まで、一連の構造がよくわかります。
 しかし、工事が完成すれば全て川底に隠れてしまうので、見るのは「今」ですよ。




4.おまけ
 奈川はそばの里です。標高1,200mで育った風味豊かなそばを「投汁(とうじ)」スタイルでどうぞ。

 10月1日~11月3日「ながわの新そばまつり」開催です。



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