どちらもアゲハチョウの祖先種の特徴をもつ小型のチョウ。雪どけ直後の早春、太陽の光がよくとどく雑木林で、羽をいっぱいに広げてよく日なたぼっこをしているよ。体があたたまると地上すれすれにゆったりと飛び回るんだ。みつを吸いにいく花はカタクリ、ショウジョウバカマ、スミレ、ハルリンドウといった背丈の低い草が多いよ。
ギフチョウとヒメギフチョウは、たいへん近い種類で姿も形も非常に似ていて、飛んでいるところを見てもかんたんには見分けがつかない。しかし、ギフチョウは日本、しかも本州にしかすんでいない。それに対してヒメギフチョウは日本の本州、北海道のほか朝鮮半島から北の地域にも広く分布しているんだ。
ギフチョウの祖先は、第三紀 といわれる3000万年前、すでに地球上に生息していたとされている。そして200万年前の第四紀
ころに日本に渡ってきたようだ。それから約1万年前に最後の氷期が終わるまで、何回もの氷期を、生活する場所を変えたり、形を変えながら生きのびてきたんだね。
このギフチョウ、子孫をのこすための交尾の仕方が変わっているよ。飛んでいるオスとメスがぶつかったかと思うと、すぐ地上に落ちて交尾するんだ。交尾が終わると、オスはそのあと液を出して黒い色をしたうすい板のようなものをメスの交尾口につける。この交尾板がじゃまになって、メスは二度と交尾ができないというわけだ。