○釜ヶ淵堰堤

 釜ヶ淵堰堤は、高さ29m・長さ79m・天端3.4mの石張りの砂防堰堤です。戦前の昭和11年に着工し、終戦前の昭和19年に完成しました。
 この堰堤は、@上流からの土砂を防止する、AV字渓谷の両岸崩壊地の脚部を固定する、B下堀沢の侵食を防止する、以上3つの目的で設置されました。
 堰堤の施工にあたっては、当時の最先端技術が導入されました。施工中は戦争で物資不足の時代で、上流から採取した石が多く使用されており、全体の60%がコンクリート、築石が5%、中埋石が35%とされています。また、表面の石積みは、直径数メートルの大きな石を人力で形を整えながら砕いたものが「矢羽小谷積(やばねこたにづみ)」という、美しくかつ非常に堅固な技法で積まれています。
 また、釜ヶ淵堰堤は@歴史的景観に優れている点、A技術的に優れている点(我が国最初で最大規模のアーチ式砂防堰堤であり、その後の構造的な手本となった)が評価され、昨年(平成14年)8月21日に、文部科学大臣より有形登録文化財に登録されました。

(会員より)
 改めて、大きさ、構造、造られた時の様子などを知り、昔の人の大事業を今、目の前に見、深い感慨に打たれた。釜トンネルが新しくなっても何らかの形で多くの人が釜ヶ淵の持つ意味と、果たしている役割を確認できるような場所が欲しい。

 我が国初期のアーチ式砂防堰堤と聞き、竣工後60年もなるとは思えない、美しいアーチ式堰堤に感動しました。当時の高い技術と、努力の賜物ですね。
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