今年度の連携排砂実施期間が終了したことから、排砂量及び環境調査結果(速報)をお知らせ致します。
 今年度の連携排砂実施期間では、6月27日~29日に1回目の連携排砂を実施し、7月5日~7日に2回目の連携排砂を実施しました。2回の合計で、出し平ダムの目標排砂量165万m3に対し117万m3の排砂を実施しました。また、8月31日に細砂通過放流を実施しました。
 連携排砂、細砂通過放流時における環境調査の結果は、河川水質や海域底質の一部の調査項目において過去の観測値の最大(又は最小)値を超えましたが、概ねこれまでの観測値の範囲内でありました。
1.出し平ダム排砂量と宇奈月ダム堆砂量の変化について
出し平ダムは、目標排砂量※1165万m3に対し117万m3の排砂を実施しました。この結果は、想定変動範囲※2(約112万m3~約165万m3)内でした。
一方、宇奈月ダムの堆砂量※3は、平成30年5月と2回目排砂後の測量結果を比較すると約32万m3減少したことから宇奈月ダムの堆砂量は800万3(堆砂率※467%)となりました。
【参考】
連携排砂が始まった平成13年から平成28年までの出し平ダムにおける年間排砂量の平均は約29万m3です。
※1:
目標排砂量は、平成28年排砂直後から平成30年5月までに堆積した土砂量としています。
※2:
想定変動範囲は、上流より流入してくる土砂量を考慮し排砂量の変動範囲を推定したものです。
※3:
堆砂量は宇奈月ダム湖に堆積した土砂量です。
※4:
堆砂率は、計画堆砂量(1200万m3)に対する、堆砂量(736万m3)の進行割合を示すものです。
2.主な環境調査(水質・底質)結果(速報)について
連携排砂の実施に伴い、水質や底質の環境調査を実施した主な結果は次のとおりです。
○排砂(1回目)において、過去の最大値を上回った水質の観測値(3 地点/14 地点中、2 項目)
・宇奈月ダム直下のCOD※1、下黒部橋のCOD、海域C点のSS※2の観測最大値
・宇奈月ダム直下のCOD、下黒部橋のSSの観測平均値
○排砂(2回目)において、過去の最小値を下回った水質の観測値(5 地点/14 地点、4 項目)
・出し平ダム直下のSS、BOD※3、COD、宇奈月ダム直下のBOD、愛本のBOD、COD、全窒素、海域C点のSS、COD、海域A点のCOD の観測最大値
・出し平ダム直下のCOD、愛本のBOD、COD の観測平均値
○5月調査において、過去の最大値を上回った底質の観測値(5 地点/26 地点中、5 項目)
・出し平ダム湛水池№1 のCOD、海域の一部地点のCOD、全窒素、全りん、硫化物
○排砂(1回目)後において、過去の最大値を上回った底質の観測値(1 地点/10 地点中、1 項目)
・河口沖の50%粒径
その他地点の調査結果については、過去の観測値の範囲内でした。
※1:
COD とは、化学的酸素要求量(Chemical Oxygen Demand の略称)で、水中の有機物などを酸化剤で酸化するときに消費される酸素の量であり有機物の大小を示すものです。
※2:
SS とは、浮遊物質量(Suspended Solid の略称)で、水中に浮遊している物質の量を示すものです。
※3:
BOD とは、生物化学的酸素要求量(Biochemical Oxygen Demand の略称)で、水中の有機物が微生物により分解するときに消費される酸素の量であり有機物の大小を示すものです。
3.連携排砂時の流量について
◆排砂(1回目)の各ダムピーク流量と累計降雨量
出し平ダム:393.2m3/s(既往の排砂・通砂・細砂通過放流等の中で、19/41番目の流入量)
宇奈月ダム:480.1m3/s(既往の排砂・通砂・細砂通過放流等の中で、21/41番目の流入量)
累計降雨量:宇奈月ダムで87mm、仙人谷ダムで193mm
◆排砂(2回目)の各ダムピーク流量と累計降雨量
出し平ダム:780.7m3/s(既往の排砂・通砂・細砂通過放流等の中で、8/41番目の流入量)
宇奈月ダム:939.0m3/s(既往の排砂・通砂・細砂通過放流等の中で、9/41番目の流入量)
累計降雨量:宇奈月ダムで278mm、仙人谷ダムで339mm
累計降雨量については、1回目の連携排砂より2回目の連携排砂の方が約2~3倍多い雨量でした。
また、2回の連携排砂ともに、今年度連携排砂実施基準である、出し平ダムの流入量が250m3/s を超えたことから実施に至ったものです。
4.今後の予定について
今回、お知らせさせていただきました主な環境調査結果の考察については、今後11月まで予定している定期調査結果を踏まえてとりまとめを行い、その後の「黒部川ダム排砂評価委員会」(平成31年1月開催予定)で評価して頂く予定です。
(添付資料)
平成30年6月連携排砂の実施結果について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 添付資料-1-①
平成30年7月連携排砂(2回目)の実施結果について ・・・・・・・・・・・・・・ 添付資料-1-②
平成30年8月細砂通過放流の実施結果について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 添付資料-1-③
平成30年6月連携排砂、7月連携排砂(2回目)ならびに細砂通過放流に伴う環境調査結果について(速報)・・・・・・・・・・・・・・・・ 添付資料-2
なお、添付資料につきましては、国土交通省黒部河川事務所ホームページ
「宇奈月ダム・排砂関連情報」(http://www.kurobe.go.jp/haisa/haisa.cgi
にも掲載しておりますので、そちらをご覧下さい。
【参考】
宇奈月ダム貯水池内に存在する大粒径土砂の移動の実態を明らかにするため、今年度も発信器付の石を投入しました。
その結果、今回連携排砂時に、宇奈月ダム上流約1km 及び1.8km 地点から投入した計28個の石のうち、大きさ40~50cm の石3個が宇奈月ダム排砂路を通過し、ダム下流へ移動したことが確認されました。
今後、これらの結果を排砂予測に反映し、下流河川で不足していると考えられる大粒径土砂の供給方策を提案することとしています。