黒部川砂防の特徴

黒部川の砂防事業の特色を一言で表現するならば、とても「きびしい」ということです。工事現場に入ることができるのは雪がとける5月中旬から10月下旬までで、11月に入ると山を下りなければなりません。また、資材の搬入や施工などに、とてもたくさんの自然条件による困難や制約があります。しかしながら、これらを克服して砂防工事は着々と進められています。

深い谷

黒部川の上流部は大部分がV字型の深い谷となっているため、人も容易に入れません。砂防えん堤を建設するには、まず新たな道路をつくる必要があり、1基つくるにも大変な作業になるため、完成までに長い年月を要しています。

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唯一の交通手段

黒部川上流部への交通手段は全て黒部峡谷鉄道(トロッコ電車)に頼っています。砂防工事で使う建設機械は、一度分解してからトロッコ電車に乗せ工事現場でくみ立て直さなければならず、大変な手間がかかります。

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渓流環境整備計画


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黒部渓谷の優れた自然環境・景観の保全、維持、創造さらには渓流の利用に配慮した砂防事業を推進するために黒部川流域において、平成9年度に「黒部川流域渓流環境整備計画」を策定しました。これは、砂防事業を進めるにあたり流域内の環境特性を検討し、「環境ゾーン」を策定して、それぞれの特性にあった砂防施設の整備を進めていくものです。