下新川海岸植生ガイドライン
 
TOPへ戻る 下新川海岸植栽区位置図 植生ガイドラインで使われる植物 守ろう!美しい下新川海岸
 
保全・調和・創造をテーマに美しい海岸づくりを目指します
海岸に生育する多種多様な植物は、豊かな海岸環境づくりの重要な要素です。下新川海岸植生ガイドラインは「下新川海岸環境基本計画」に基づき、下新川海岸にふさわしい植生の指針をまとめたものです。黒部河川事務所ではこのガイドラインにより、海岸植生に配慮しながら海岸事業を進めていくこととします。
   
現在は侵食が著しく、多くの海岸は半安定帯の半分ほどを失い、海岸植生は貧弱になっています。
■下新川海岸の位置
下新川海岸の位置
 海岸には砂浜海岸、塩沼地海岸、岩石海岸などがありますが、これらの環境によって植物の種や生え方に特徴があります。
 日本海沿岸の北方系海浜植物は、太平洋沿岸よりも南下する特徴があり、そのため北陸の海岸は南北両方の海浜植物の交錯地帯とされています。また北陸の海岸は太平洋沿岸に比較して砂浜海岸が多いのですが、近年砂浜の侵食が激しく、そのため典型的な海岸植生はほとんど見られません。かつての砂浜海岸は、波打ち際から100〜200mも砂浜がつづき、その奥に高さ2、3mの砂丘が広がり、背後地に見事なクロマツ林が続いていました。
 砂浜海岸の植生は波、風、温度、水分、塩分、砂の移動などに支配されています。これらの影響は一般に波打ち際が強く奥地にいくにつれて弱くなり、全体として奥地ほど環境が安定します。植生はこの環境に対応して沿岸から1年草群落、多年草群落、低木群落、そして高木群落へと発達します。このように植生が発達すると、それが風、温度、水分などの環境条件に逆に作用し、その結果奥地ほど環境が一層安定化します。その安定度を波打ち際から順に不安定帯、半安定帯、安定帯に分けると、不安定帯はほとんど植生が見られず、まれに1年草のオカヒジキが見られます。半安定帯には多年草群落と低木群落が発達します。多年草群落は不安定帯に近いところで発達しここにはハマニガナ、コウボウムギ、ハマヒルガオ、ハマボウフウ、ハマエンドウ、ウンラン、ケカモノハシなどが生育しています。低木群落は安定帯の手前で発達しハマゴウ、ハイネズなどが見られます。安定帯には植林されたクロマツの高木林が発達していますが、自然性の高い高木林ではコナラ、ヤマザクラなどが混生しています。
 このような砂浜の海岸植生は昭和の中頃までごく普通でしたが、今は海岸侵食が著しく、そのため人工海岸が入り込んだ海岸植生に変わっています。
監修:長井真隆(元富山大学教授)
出展:『北陸の海岸』より