第19回黒部川土砂管理協議会開催

開催日時 平成18年2月6日(月)14:00〜16:30
場所 ホテルアクア黒部 2階「ロイヤルシンフォニー」
議事次第
1. 平成17年6、7月連携排砂及び連携通砂の実施経過について
2. 平成17年6、7月連携排砂及び連携通砂に伴う環境調査結果について
3. 第23回黒部川ダム排砂評価委員会開催結果について
4. 平成17年6、7月連携排砂及び連携通砂の実施結果に関する関係団体からの意見について

協議会委員名簿



黒部川土砂管理協議会



◇協議会の結果◇
今回、委員から頂いたご意見を踏まえ平成18年度連携排砂計画並びに環境調査計画を検討し、次回の黒部川土砂管理協議会に提示されたい。また、計画の検討にあたっては今後とも関係団体の意見をよく聞き、環境への影響をより小さくするよう工夫されたい。



[主な意見]
(委員 A)
宇奈月ダムの堆砂形状は安定河床高(予測計算値)に近づきつつあると理解して良いか。
(事務局)
安定河床高については、現在実施している方法で排砂・通砂を行った場合、開始から10年後の河床高を予測計算(シミュレーション)により求めたものであり、10年後以降は予測計算上さらに上昇する。
このため、現在、宇奈月ダムではダムの建設目的である洪水調節、発電および利水のための容量を確保するために維持すべき河床高を検討中である。この検討結果については黒部川土砂管理協議会等の場で報告したい。
(委員 B)
平成17年7月4日の1回目通砂時には人命救助支援として、ダムからの放流を止めていただいた。ご協力に対し改めて感謝と御礼を申し上げたい。
(事務局)
人命救助のための支援についてはダム管理者としても最大限努力させていただいた。
今回の支援は宇奈月ダムが自然流下中であり、かつ、ダム貯水池が空であったという特別な状況のもと奇跡的に実施できたものであり、通常のダム運用時や排砂、通砂時の自然流下時以外の操作時には不可能であったことを付け加えさせていただく。
(委員 C)
出水、排砂時に発生する流木が入善漁港に入り、漁船の出入りに障害がでている。
このため、町が漁港内の流木の引き揚げおよび処理を行っているが、かなりの労力、費用がかかるため、排砂実施機関にも経済的援助をお願いしたい。
また、宇奈月ダムが安定河床に近づいてきていることにより、流下する土砂の粒径が粗くなるなど、排砂による環境への影響要因がかなり変化していくものと考えられる。この点についても十分に調査をされたい。
(事務局)
河道内に残置した流木については、河川管理者である国交省としても対応に苦慮しているところであり、町と協力しながら流木処理に努めてまいりたい。
具体的には、町が漁港から引き揚げた流木については、洪水の流下に支障のない河川区域内に仮置きしていただき、処分を河川管理者が実施する河川区域内の流木処理と一緒に実施することによりコストの縮減が図れるものと考えている。なお、詳細についてはご相談させていただきたい。
2点目の調査については、排砂評価委員会でも同様のご指摘を受けている事項であり、排砂実施機関としても十分に調査を実施していきたいと考えている。
(委員 A)
排砂評価委員会において、海域のA点、生地鼻沖地点の底生動物の個体数割合がニマイガイ綱が減少し、ゴカイ綱が増加していることに対し、「ニマイガイ綱は砂質を、ゴカイ綱は泥質を好むことから海域底生動物の変化は汚濁ではなく、底質の変化を示しているものと考える。」との発言があったが、この個体数割合の変化は排砂による影響ではないと理解して良いか。
(事務局)
海域底生動物の個体数割合の変化は底質が砂質からより粒径の細かい泥質に変化している可能性を示唆しているものの、底質の粒度分布を見ると大きな変化はないことから原因の特定が難しく、もう少し長期的に変化を見ていく必要があるとされた。
(座 長)
この海域底生動物の変化については、黒部川沖だけでなく富山湾全体で変化している可能性があるとの意見や本調査を継続し、調査結果を分析することにより原因が分かっていく可能性があるとの意見もいただいた。このため、評価に「生物相の他水域も含めた長期的な視点に立った考察が必要」とされたところである。
(委員 B)
一般の方には排砂によって海が汚れ、魚類などに悪影響を及ぼすとイメージしている方も多い。今年度は黒部川沖で豊漁となった魚もいたと聞いており、漁獲量の増加などの情報についても排砂による影響評価の項目として用いてはどうか。
(事務局)
漁獲高は漁獲努力量によって変動する部分が多く、環境の変化を表す指標としては適切でないことから、排砂評価委員会においても採用されていない。
また、現在の調査計画は、これまでに色々な環境調査を行って定まってきたものであり、排砂評価委員会では、その調査結果で評価を行うとした経緯がある。
(委員 B)
排砂評価委員会および事務局の環境調査に対する考え方は理解できるが、自然界の環境変化のメカニズムの中で動物や魚類などの生態が何らかの影響を受けていると考えられる。
また、地域住民にとっては専門的な調査結果よりも漁獲高の大小といったデータの方が理解しやすく、説得力があるものと考える。
(事務局)
漁獲高は変動幅が大きく、漁獲量の大小によって排砂による影響を評価することは、やはり困難であることから、科学的なデータを長期的に見ていく必要があると考えている。なお、漁獲高の変動などのデータについても蓄積し、今後の参考としたい。
(委員 A)
第23回黒部川排砂評価委員会において、黒部川以東他河川河口海域の底質の起源の調査については、平成18年度以降の調査を取りやめるとの説明であったが、これまで定期的に実施してきた黒部川以東海域での水質、底質調査もあわせて取りやめるのか。
(事務局)
環境調査として実施している黒部川以東海域での水質、底質調査については今後も継続して実施していく予定である。
黒部川以東海域の濁りの調査については、各河川河口沖の底質をクラスター分析した結果、河川ごとの類似度が高くなっているものの、河川・ダムの底質を含めると河川毎に分類できず、海域底質の発生起源を特定するには至らなかった。
しかし、これ以上の調査手法及び同調査等の改善方策がないため、黒部川以東海域の濁り調査を継続しても有意な成果が得られないとして排砂評価委員会において調査取りやめの提言をいただいた。
(委員 D)
アユの胃内容物調査は一定の成果、傾向が確認でき、かつ、これ以上の進展が見込めないことから平成18年度以降の調査を取りやめることとしているが、排砂評価委員会議事要旨の委員意見を見る限り、必ずしも調査取りやめについて賛同されていないように受け取れる。
この調査については漁業者にとっても関心の高いところでもあり、これ以上の調査改善が困難と判断された点について、もう少し詳しく説明されたい。
(事務局)
アユの胃内容物調査では採捕したアユを解剖し、胃の中の物質を顕微鏡を用いて人が分類している。明らかに昆虫の破片や藻類の細胞などであることが識別できれば分類は可能であるが、消化が進行し溶解された物質では特定することが非常に困難である。また、調査方法の改善方策について文献調査や専門家への聞き取りも行ったが、効果的な方策は見つからなかった。
これらについて排砂評価委員会において説明した結果、技術的に進展が見込めない調査を継続しても有意な成果が得られないとして調査取りやめの提言をいただいたものと理解している。
しかし、平成18年度は、新たにアユの産卵床の造成に関する調査を学識者の指導を受けながら実施したいと考えている。
(委員 D)
アユの胃内容物調査の目的として「排砂や出水がアユの生育にどのような影響を与えるかを把握するための調査の一つとして実施したものである」とあるが、これまでの調査で一定の結論は出せたのか。
(事務局)
出水後にはアユが食べているものは変わるということが胃内容物調査の結論の一つと言える。それが具体的にどのように変わるのかということについてはこれ以上はわからない。
(委員 E)
排砂評価委員会において、平成17年度の排砂、通砂は非常に大きな出水時に実施したこと、宇奈月ダムから粗めの砂分が流下するようになったことから河川の流路が変動する現象が確認されており、環境上良い傾向であるとの意見があった。
また、アユの調査結果を見ると河床の堆積土砂が排砂・通砂後に泥分からより粒径の粗い砂分に変化してきている。これらから排砂の実施によってアユの産卵に関しては排砂を実施しない場合に比べ良い状態をつくり出している面もあると考えるが、そう理解して良いか。
また、ダムに流入する土砂のうち、細かい土砂はなるべくため込まず新鮮なうちにダムを通過させ、環境への影響を軽減させる排砂方法について検討して行くべきではないかとの意見もあるが、排砂実施機関の検討状況についても説明されたい。
(事務局)
排砂が環境へ与える影響については決してマイナスの面だけではなく、プラスの面もあると考えている。
宇奈月ダムでは粗めの砂分が流下するようになってきており、これはダムができる前の自然河川の状態に近づいてきていることを示している。今後、より大きな粒径の土砂が流れるようになれば、生物の環境にとって更に良い方向に向かうのではないかと考えている。
また、細かい土砂をためずダムを通過させるには、これまでの排砂作業のように排砂ゲートを全開にして自然流下状態の時のみに土砂を流すのではなく、土砂変質進行抑制策のように排砂ゲートを部分的に開け、細かい土砂だけを流す方法が考えられる。
このような排砂方法については、今後、排砂評価委員会のご指導を受けるとともに関係者のご理解を得ながら検討していきたいと考えている。
(委員 F)
排砂評価委員会における評価の中で「両ダム上流から流入する土砂量および流出する土砂量の精度高い把握、排砂・通砂方法の検討、ならびに生物相の他水域も含めた長期的な視点に立った考察」については引き続き、十分な調査をされたい。
(事務局)
来年度も、引き続き十分な調査をしたいと考えている。
(委員 C)
排砂実施期間内に排砂基準流量を超える出水が発生しなかった場合、9月1日から2日の間において土砂変質進行抑制策の実施が連携排砂計画に位置づけられているが、排砂を実施した場合でも翌年度の排砂による影響軽減のため9月初旬頃に土砂変質進行抑制策を実施してはどうか。
(事務局)
現在の排砂実施期間は、過去に関係団体との十分な調整の上決定されたものであり、容易に変更することは困難であると考えているが、検討課題として取り組ませていただきたい。
排砂による環境への影響を軽減する方策としては、まず、翌年度の目標排砂量を低減させるとともにSS濃度を低減させるために通砂基準流量の引き下げを平成18年度に試験的に実施したいと考えている。その実施状況、効果も踏まえ次のステップとして排砂実施期間の延長についても検討していきたい。なお、通砂基準流量の引き下げについては取水停止期間の長期化も想定されることから、関係団体からは、1回あたりの排砂、通砂時間を短縮する、連続して通砂を実施する頻度を少なくする等の工夫を求められていることから、関係団体のご理解を得ながら実施したい。
(委員 A)
排砂評価委員会議事要旨において、発言者の氏名がなく「委員」とのみ表記されていることから、他の委員からの関連する事項の発言なのか分からず、審議の趣旨が判断できない。
委員の氏名を表記することが問題があるのであれば、各委員にA、B、Cなどの記号を付する等工夫してはどうか。
(事務局)
ご意見を踏まえ排砂評価委員会に相談させていただきたい。
 
平成17年6、7月連携排砂及び連携通砂の実施経過について
 
詳しくは資料−1(1/3)をご覧下さい
詳しくは資料−1(2/3)をご覧下さい
詳しくは資料−1(3/3)をご覧下さい
 
平成17年6、7月連携排砂及び連携通砂に伴う環境調査結果について
 
詳しくは資料−2−@(1/2)をご覧下さい
詳しくは資料−2−@(2/2)をご覧下さい
詳しくは資料−2−A(1/2)をご覧下さい
詳しくは資料−2−A(1/2)をご覧下さい
詳しくは資料−2−Bをご覧下さい
 
 
第23回黒部川ダム排砂評価委員会開催結果について
平成18年1月18日に開催された第23回黒部川ダム排砂評価委員会における委員会の評価及び主な意見について報告しています。
詳しくは資料−3をご覧下さい
 
 
関係団体からの意見について
詳しくは資料−4をご覧下さい
 
 






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資料−1 平成17年6、7月連携排砂及び連携通砂の実施経過について
 
資料−2−@ 平成17年6、7月連携排砂及び連携通砂に伴う環境調査結果について
 
資料−2−A アユの生息実態及び生息環境調査について
 
 
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