Q1.連携排砂は、どうして必要なのですか?
 
1−1.黒部川ってどんな川なの?
  ・黒部川は、北アルプスの中央部に位置する鷲羽岳(2,924m)に源を発する、流域面積約682平方キロメートル、流路延長約85キロメートル、山岳部平均河床勾配1/5〜1/80のわが国屈指の急流河川です。
また、上流域は、地形が急峻で地質ももろくて弱い部分が多く、流域内には、約7,000箇所もの崩壊地が存在し、わが国有数の崩壊地面積率を有する河川です。(*他河川との崩壊面積率・河床勾配の比較)
 
  ・流域内の平均年間降水量は、扇状地の黒部市で2,400mm、扇頂部愛本地先で3,400mm、山地の仙人谷地先では4,100mmであり、日本平均年間降水量1,700mmと比べ非常に降水量が多い河川でもあります。    (*日本の雨量分布図)  
  ・このため、平常時は「恵みの川」である黒部川も、ひとたび豪雨に見舞われると「あばれ川」と化し、山地流域からの土砂流出も極めて多いことから、洪水被害に加えて土砂による災害の危険性が高い河川でもあります。  
1−2.なぜ宇奈月ダムは必要なのか?
  ・黒部川は、過去に何回も洪水氾濫を繰り返し、住民に大きな被害を与えてきました。
 特に昭和44年8月の豪雨では、観測史上最大の大洪水となり、下流の入善町では堤防が決壊し、氾濫した水が海岸まで到達、愛本橋が流失、愛本堰堤からあふれた濁流が住宅地に流れ込むなど、田畑、住宅地など約1,050ヘクタールが泥の海と化しました。
(*昭和44年8月洪水の状況) (*過去の洪水の歴史)
 
  ・国は、この水害を契機に黒部川を一級河川に指定し、それにあわせて、昭和50年に「黒部川水系工事実施基本計画」を改定し、この中で宇奈月ダムにより洪水調節を行う計画を位置づけました。  
  ・宇奈月ダムは、下流域の黒部市を含む1市3町(氾濫区域内人口約5万8千人)の洪水防御を主目的とし、併せて、水道用水の供給及び発電を目的とする多目的ダムとして、昭和54年度に建設事業に着手し、平成13年度から管理を行っています。
(*宇奈月ダムのはたらき)
 
1−3.「総合土砂管理」としての連携排砂
  ・このように、古来から氾濫を繰り返してきた黒部川において、宇奈月ダムは、洪水被害を防止するために是非とも必要な施設です。
一方、黒部川は、土砂流出が非常に多い河川であるため、ダムの貯水池内に土砂がたまってしまい、洪水を防ぐなどのダムの機能が維持できなくなる恐れがあります。
 
  ・あわせて、下流の河川の川底が低下したり海岸の侵食がさらに進行するなどの問題を軽減するためにも、できるだけ自然に近いかたちでバランスよく土砂を下流に流す「総合的な土砂管理」が必要です。その一環として、出し平ダム(関西電力)と宇奈月ダムの連携排砂が必要となっています。(*総合土砂管理)  
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