平成15年7月16日(水)10:00〜12:00
名鉄トヤマホテル 3階「清風の間」
1.平成15年6月連携排砂の実施経過について
2.平成15年6月連携排砂に伴う環境調査結果(速報)について



評価委員会



[評価]
現在の速報値だけで評価することはできないことから、ダム堆砂測量や水生生物調査等の全ての調査データが出揃ったところで、評価委員会として更に検討し意見を出すこととする。
 
[主な意見]
○平成15年6月連携排砂に伴う環境調査結果(速報)について
(委 員) 工場排水とかの臭気基準に比べるとかなり低いということはわかるが、工場排水などの臭気基準では地域住民が出水の時に感じている川の臭いを表現していないのではないか。
(事務局) 今回の連携排砂時の臭いについて、地域の方がどのように感じたかを黒部市の自治会長さんなどから話を聞いたが、悪臭がしたといった話はなかった。自然流下中も洪水時の臭いとして感じていたようだ。
この臭気調査は、過去の排砂時で異臭がしたという方がいたので、このような定量的な測定を行った。結果を見ると、排砂ゲートを開ける前から臭いが確認されていたが、これは流量が増加するのに伴い黒部川のSSが高くなったことによるものと理解している。排砂前、排砂後ともに臭いの種類は土臭であった。
(委 員) 黒部川では他の河川と異なり、洪水のピークとSSのピークが一致しないのは、ダムで一時的に土砂が止められたために、タイムラグが生じたものなのか。
(事務局) 黒部川のSSピークは自然流下の開始前後となっている。これは連携排砂をダム流入量のピークを確認した後、水位低下を行い、その後自然流下を実施しており、出水ピーク時には排砂ゲートを開けておらず砂などがダムから出ていっていないため、洪水ピーク時にSSピークが生じていないものと思っている。
(委 員) データがないので想像に近いものがあるが、海域では今回の排砂でC点のCOD,SSが高くなっていることから、細かい粒子がこれまでより多めに海に流れ出たと思う。この時期はサザエの産卵にあたるので、有機物と泥が一緒になったものが沿岸部の海底に漂うような状態で残ると影響がでるかもしれない。また、県東部ではアワビの稚貝の放流もしているが、細かい土砂に遭遇すると生理的に影響がでるかもしれない。
(委 員) 過去に濁度が稚貝に与える影響について実験をしたが、あまり影響がなかったように記憶している。
(委員長) それは出し平ダムの底質を用い濃度を変えて、川と海の魚のヘモグロビンの変化などのストレス実験を水槽で行ったものである。
(事務局) 緊急排砂時の委員会では、魚類の評価は海域も河川域も一時的に変化はあるが、その後は元にもどるという結論が得られていると思っている。今後、過去に行った濁度など変化に対する生物の生育調査や実験結果を整理して説明する。
(委 員) 流下土砂量や他の環境調査の結果が出ていない現状では、今回の連携排砂の評価はできない。今後、貯水池に流入した土砂や流れ出た土砂などの移動土砂のシミュレーションやその他の環境調査結果を説明して頂きたい。
今回の洪水と過去の出洪水を雨量や流量、流下土砂量等から比較を行い、今回の連携排砂の環境調査結果の解析をしなければいけないのではないか。
(事務局) 限られたデータでシミュレーションを行うので正確な値ではないが、ダムへの流入土砂量や流下土砂量を把握するためのシミュレーションを行うとともに、今回の洪水の雨量や流量等を、過去の洪水と比較整理し、まだ調査結果のとりまとめを終えていないダム堆砂測量や水生生物調査等の全ての調査結果が出た時点で説明をする。
(委 員) 今回の連携排砂の影響をみるために排砂直後に1点でもいいので海域の底質調査を実施したほうが良い。
(事務局) 9月に実施し春の排砂前のデータと比較する予定であったが、早急にサンプリングする方向で検討する。
(事務局) 前回の委員会で「スメクタイト」「粘土鉱物」について専門家の話を聞きたいとのことであったので、次回委員会で専門家の話を聞きたいと考えている。人選については委員長と相談し、決めさせていただきたい。
(委員長及び各委員 ) 了解した。

○平成15年6月の出水時の状況について
(委 員) 今回の出水でダムから流れ出た流木の処理はどのようになっているのか。
(事務局) 河道内にかなりの流木が残っており、放置しておくと出水時に海に流れ出ると漁業等へ影響がでると予想されるので、排砂直後から集積作業に入っている。
また、連携排砂前にダム貯水池に流れ込んだ流木は、連携排砂前にダム貯水池で回収しているが、今回のように出水と一緒にダムに流れ込んだ流木は、そのまま下流まで流れ出ている。
(委 員) 流木は海域にも出たのか。
(事務局) 河口の入善漁港内に流木が入ったことを確認しており、海域にも一部は出たと思っている。まだ、大きいものを中心にかなりの量が河道内に残っており、それは流れ出ないような措置をとっている。
(委 員) 今回の洪水により黒部川から流れ出た流木は、海域のどのくらいまで達していたのか。また、苦情等はあったのか。
(事務局) 網に流木がかかったという苦情は受けていない。
(委 員) 定置網に流木が入ることは漁業者にとって、とても困る事態である。
せっかく回収しやすい状態でダム貯水池に集積しているのだから、それらを含め流木はなるべく回収してもらいたい。
(委員長) 今回の洪水では流木のほか、落ち葉や腐植化した枝、葉などが上流の谷間から押し出されてきた状況もある。
(委 員) 落ち葉や小枝は、洪水がなければ上流で少しずづつ分解されながら流れ、最終的には海に入り栄養源になると思うが、洪水時に一度に流下すると上流では栄養源が欠乏してくるし、下流では増えてくる。この動態がわからないと河川及び海域の生物の生息等への影響を把握することができないのではないかと思う。
河道内に土砂と一緒に堆積している落葉、落枝等の有機物量を推定する方法はないのか。
(事務局) 洪水時に流木や小枝が川に流れ込み、そして下流に流れ、河道に堆積したり海に流れ出るのはどこの河川でもある自然の状態であると思っている。
河川管理者としては、黒部川のみならず河川の物質循環を考えていく上で興味深いので今後勉強していきたい。ご指導を頂きたい。
(委 員) 初回か2回目の排砂後に河道に堆積した土砂の断面を見たが、落ち葉が入っている層が何層かあったような記憶がある。
河道内に落ち葉などが一時的に堆積し、次の洪水で分解されないまま流れ出たり、長期間堆積し、河道内で分解が進むのではないか。
(委 員) 海のことを考えたら、山の落ち葉等は絶対に必要なものであるが、必要な量を把握することは難しい。
(事務局) 連携排砂時に宇奈月ダム貯水池底部の土砂を見たが、分解されていない落ち葉やその砕けたものなどがあり、こういうものが洪水時に流れていると思っている。また、BODに比べCODの値が大きいのもこういうことが原因だと思っている。
(委員長) 河川や海域での栄養源などの検討をするには、SSで測定されない2mm以上の大きさのものも分解されて栄養源となるので、ダム毎に出洪水時にダム貯水池に流れ込む水や流れ出ていく水を採水し、SS測定で取り除かれる粗いものも含めて分析すれば落ち葉等の流出形態がわかるのではないか。
また、土砂流出はいろいろ研究されているが、枯れ葉などの海への流出過程や陸水の影響範囲などについて、委員からご意見をお願いしたい。
(委 員) 陸水が海域にどのような影響を与えるか、栄養源の循環、運搬がどのようなものかを検討している。新潟では大河川から中小河川まで沿岸域の生産力に陸水からの栄養源が係わっていることが分かっている。河口から約10〜20km程度の半円上に陸水からの栄養源の流出等があるということが分かってきているが、検討を始めたばかりである。



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