広報   2001.1. Vol.5
発行:建設省金沢工事事務所調査第一課

21世紀 建設省は、国土交通省に生まれ変わります。
■国土交通省への組織改正
平成13年(2001年)1月に、これまでの北海道開発庁、国土庁、運輸省、建設省の4省庁を母体として『国土交通省』が誕生します。
国土交通省は、省庁再編による統合のメリットを最大限に活かし、従来の省庁の縦割りを廃した一体的な取り組みを積極的に展開することにより、ムダなくスピーディに、より質の高い行政サービスを提供したいと考えています。
その際に、現在の建設省北陸地方建設局は、運輸省第一港湾建設局の一部(新潟・長野・富山・石川・福井) と統合し「国土交通省北陸地方整備局」が設置されます。
これまでの直轄事業(国が直接行う事業)実施・管理を軸とした現在の地方建設局の業務に加えて、建設業の許可・監督関係業務、都市計画関係業務、補助金関係業務などが本省から委任されることになります。
なお、金沢工事事務所の業務は、北陸地方整備局設置後も引き続き今まで同様治水関係(河川、砂防、海岸、ダム管理) 、道路の改良・維持管理を担当し、今後も県土発展の一翼を担う機関として積極的に事業を推進していきます。

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21世紀の梯川
平成9年(1997)河川法が改正され、河川は、治水、利水の役割を担うだけではなく、うるおいのある水辺空間や多様な生物の生息・生育環境として捉え、また、地域の風土と文化を形成する重要な要素としてその個性を生かした川づくりをおこなっていきます。
梯川では現在、小松天満宮周辺において、石川県や小松市と連携をとりながら、地域の意見を反映した川づくり、道づくり、まちづくりを進めています。


 
 
下流部の蛇行区間の解消(明治44年〜大正12年)
下牧町から鶴ヶ島町間に河口に向けた新しい水路を掘ったのが、本格的な治水事業の始まりです。
この工事で、延長約4kmの区間が1.1kmに短縮され、水の流れが良くなりました。
旧河川跡の一部は、末広緑地公園として市民に憩いを提供しています。
 
 

 
 
第1期改修(昭和5年〜11年)
この工事により、八丁川合流点下流では、川幅約80m、毎秒450m3の流量を流すことができるようになったほか、昭和7年(1932)旧川(現在の前川)に浮柳逆水門(梯川逆水門)を建設し、梯川本川の増水による逆流を防止し、加賀三湖(柴山潟、今江潟、木場潟)周辺低湿地帯での浸水被害の軽減を図りました。
この改修工事期間中の昭和9年(1934) 7月10日には、手取川上流で降雨量460mmと平年の55日分の雨が降り、手取川の氾濫した洪水が、手取川左岸から梯川右岸一帯にかけて巨大湖を作り梯川と合流し、梯川の右支川八丁川から下流の各町村は、床上浸水等の被災を受け、白江大橋も流出するという大災害が発生しました。
 
 

 
 
第2期改修(昭和12年〜18年)
第1期改修工事のあとをうけ、白江大橋から上流6.5kmで改修工事が実施され、河口から中流まで、一連の堤防ができあがりました。
 
 

 
 
加賀三湖干拓事業(昭和27年〜44年)
農林省が実施した加賀三湖干拓事業(柴山潟の2/3及び今江潟の干拓)では、柴山潟から伊切海岸に至る新堀川が造られました。
それまでは、柴山潟の水は今江潟に注ぎ、木場潟の水は前川を経て今江潟に注ぎ、今江潟の水が梯川に合流し日本海へ流れていました。
この結果、柴山潟・今江潟は、梯川流域(注1)でなくなり、前川は木場潟のみの排水路となりました。
昭和7年(1932) に建設された逆水門も、昭和34年(1959)にローラー式ゲートに改修され前川の水位が調整出来るようになりました。

(注1) 流域とは、「その水系の水のもととなる雨雪の降る全地域のこと」
・・・梯川の流域面積は、271.2km2あります。
 
 

 
 
一級河川指定(注2)、直轄河川改修事業(昭和46年〜)
昭和43年(1968)8月の豪雨被害では、梯川本川の決壊こそまぬがれましたが、八丁川や鍋谷川などの支川の堤防が決壊し、多大な被害を受けました。
これを契機として、抜本的な河川改修の必要性が高まり、昭和46年(1971) に梯川は、一級河川に指定され、河口から御茶用水頭首工上流までの区間を、建設省が直轄河川改修することとなりました。
一級河川となってからは、改修計画の立案、地元説明や用地買収を行い、昭和52年(1977) から本格的な改修工事が始まり、昭和54年(1979)には、八丁川合流点からJR梯川橋梁(右岸)までの区間の改修工事が完了しました。
これ以降、梯大橋の架け替えが完了<平成8年(1996)> 、前川排水機場<平成8年(1996):暫定、平成12年(2000):完成> が運用開始するなど、改修工事は進んでおります。
また、梯川の上流大杉谷川では、石川県が昭和53年(1978) に、赤瀬ダムを造りました。赤瀬ダムは、梯川上流の洪水を調節する機能を有しています。
現在は石田橋の架け替えを始めとした下流部の改修工事を中心におこなっています。

梯川が、一般河川に昇格して30年の年月が過ぎようとしています。
これまでさまざまな改修工事を実施していますが、依然として下流部の流下能力は低く、平成10年(1998) 9月22日夕方から23日未明にかけて台風による大雨で、観測史上最高の水位を記録しました。また、水防団の懸命な水防活動により災害を未然に防ぐことが出来たことは、記憶に新しいところです。
今後も早急な河川改修を進めながらも、河川本来が持つ豊かな自然環境の保全、潤いのある水辺空間の整備を行って行きます。




(注2) 一級河川とは、「国土保全上又は国民経済上特に重要な水系(注3)に係る河川で建設大臣が指定したもの」
・・・全国に109水系あり、石川県では手取川水系と梯川水系があります。
二級河川とは、「一級河川以外で公共の利害に重要な関係がある河川で都道府県知事が指定したもの」
・・・小松市内では、新堀川水系等があります。また、一級河川、二級河川以外で市町村長が指定した河川を準用河川といい、それ以外の河川は、普通河川と呼んで区別しています。
(注3) 水系とは、「一つの河川の本流とそれに合流するすべての支流、およびそれに付属する湖・沼などを含めたもの」
・・・小松市では、前川や木場潟など梯川に流れ込んでいるすべての支川は、一級河川 梯川水系となっています。
 
 

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