浅野川大橋をバックに
思い出を語ってくれる中村さん
子供のころから歩いてきました。
心の中にいつも、橋のある風景があります。
お茶屋「中むら」女将 中村千恵さん(金沢市東山1丁目)
小学生のころから浅野川大橋のそばで暮らし、昭和33年に東茶屋街の今の場所でお茶屋を始めました。何度、この橋を渡ったかしれません。今も町からお茶屋への帰り道、天気の良い日は橋のたもとで日なたぼっこをするのが日課です。
卯辰山をバックに美しいアーチ型の橋の姿を川面に映す浅野川界わいは、最も金沢らしい場所だと思います。陽光に鈍く光る黒瓦の家並みが続き、春は桜や芸妓の水芸で有名な園遊会、冬は友禅流しにひときわ風情が感じられます。
お客様に、鼓や三味線、踊りといった伝統芸能を楽しんでいただき、金沢の芸の奥深さに触れてもらうことが私たちの務めです。それと、浅野川界わいの景色が一体となって初めて、よそにはないしっとりとした金沢の文化が育まれるのです。浅野川大橋は、これからも私の心の風景です。