金沢河川国道事務所

第4回活動 --平成23年8月23日(火)〜24日(水)

  • 手取川源流域調査(白山登山)


【1日目】8月23日(火)

 6:30金沢河川国道事務所 発

10:10登山開始(砂防新道にて)

11:25昼食(甚之助避難小屋)

11:50出発

13:40室堂 着

17:00夕食(室堂)

【2日目】8月24日(水)

  3:30起床

  5:05御前峰 着  〜御来光〜

  7:45下山開始 (展望コース)

  9:40南竜山荘 着     〜万才谷
      排水トンネル工事概要の説明〜

 12:30中飯場 着

 13:30休憩施設 着(食事・入浴)

 16:45金沢河川国道事務所 着

活動感想

山岸】 【松本】 【加藤】 【伊藤(弓)】 【國田】 【三守
西村】 【坂本】 【大坪

山岸】手取川源流調査活動は、前日からの雨でいつ中止の連絡が入るかと、ひやひやしながら集合場所へ向かいました。
  あいにく天候は下り坂で、十二曲がり辺りから暴風雨となり“早く室堂へ!!”という気持ちだけで登りました。
  当然、当日予定されていた活動は中止されましたが、逆に参加された皆さんと親睦を深めることが出来、有意義な時間を過ごすことが出来たと個人的には満足しています。
  翌日は天候も回復し、ある程度ビューポイントも撮影できたのではないかと自己満足しながら帰ってきた私です。
  皆さんにはいろいろお世話になり、どうもありがとうございました。

松本】朝から小雨模様。本当に登山があるのかとの家人の声を聞き流して集合場所へ。皆、本当かと言う顔をしていました。
  キャンプ砂防の大学生達と一緒の登山で、いざ中飯場から開始。曇り空で何とか午前中、天気が持てばと期待しながら霧の中。先行隊と後方隊に分かれ、私はゆっくり足ならし、呼吸ならし、身体ならしで進みました。ビューポイント等、見られる状態ではありません。砂防新道から甚之助避難小屋まで何とか少しの雨で到着。新しくなった小屋は快適でした。黒ボコ岩手前からのどしゃ降り。休憩もそこそこに室堂についてみれば先行隊と15分程しか違わないとのこと。翌朝、御来光は見られなかったものの雨はおさまり、雲海からのぞく光が美しかったです。頂上から見下ろす雲は初めてでしたが、幻想的で何とも言えませんでした。展望コースから南竜に下る道は、アルプス稜線を見ながら大白川ダムの美しさが目に映り、とても感動しました。南竜ヶ馬場から南竜分岐までの風景も美しいといつも思います。大正時代の堰堤もいまだ現役でいます。甚之助小屋から万才谷を見下ろす崩壊現場は砂防工事中。
  今年は登りが雨中だったので、二日目の天気が良く、無事下山できてよかったと思いました。

加藤】今回は、天候を心配しながらの手取川源流調査(白山登山)でした。甚之助避難小屋からカッパを着て歩き、霧で周りが何も見えなくなり、こんな景色に出合うのは一生に一度かもしれないと思いました。五葉坂の登山道は川のように水が流れ、室堂に早く着きたいと一心になりました。
  24日の朝は、御前峰から素晴らしい雲海を眺め、崩壊地の見える所で「ビューポイントはここが良いかな?」と話しながら歩きました。南竜山荘で飛島建設の方から、現場で作業されている方の様子を伺い、皆さんに土砂災害から自然と住民を守るために働いて下さる方の苦労を情報発信して知っていただきたいと思いました。
  ガイドの方が植物の説明を詳しくしてくださり、楽しく全員が無事に下山できました。本当にありがとうございました。

伊藤(弓)】8月23日の朝、雨は止んでいましたが、いつ降り出すかわからないような天気でしたので、不安な気持ちのまま集合場所へ向かいました。バスの中では大丈夫かもと思えるような時もありましたが、出発し甚之助避難小屋で昼食を取り、歩き出したら降りだしました。本当にひどい降りの中、室堂に向かいました。大降りの中、足下を確保しながら歩くので、ビューポイントを確認するどころではありませんでした。例年なら室堂到着後、御前峰に登るところですが動く事ができませんでした。
  24日朝、幸いにも雨が止んで、御前峰でほんの瞬間、何回か御来光を見る事ができました。そして、すばらしい雲海を見る事ができました。室堂まで下る途中、雨上がりの為か景色の緑がとても綺麗でした。
  飛島建設では、激励となっていますが逆に休憩させてもらい、ここでの生活の厳しさを聞き、改めて大変だと思いました。室堂からアルプス展望台、そして南竜山荘、南竜分岐まで、ほとんど全てビューポイントにしても良い位に感じました。
  甚之助避難小屋から見える地すべりは、去年よりも大きくなっている感じがしました。砂防工事をいくらしても追いつかないような・・・。途中ガイドの方から、高山植物について教えてもらいましたが、人数も多いせいか列の後ろだと、うまく伝達されてきませんでした。それにしても高山植物の花々は、下界の花に比べて、ほとんどが小さくてかわいらしいです。
  今回も全員が無事に登山できて良かったです。スタッフの方々、ガイドさん本当にお世話になり、ありがとうございました。

國田】手取川流域調査・白山登山は生憎、雨の始まりでした。中止の連絡を待てばいいような、それ以前にこんな日は行きたくない本音を抱えて事務所に向かいました。ところがあっさりと、「台風予報はないので出発する」とのこと。今に思えば、雨を避けていたら河川の安全は守ることができないし、土砂災害防止の河川工事も進まない、当然のことでした。それにしても、山の雨は容赦がありませんでした。降り続く皮膚を刺す雨で、身体の芯までずぶ濡れ状態でした。視界は全く無く、ひたすら足元に神経を集中しての登山でした。登山道は川になり、行き交う人の下山が羨ましく思いました。その豪雨の白山こそ、ちゃんと見ておくこと、何故山が滑るのかをみておくこと、そんな余裕は今でこそ湧いてきたが、その時は残念ながらそんな余裕がありませんでした。それでも次の日は雨も止み御前峰から手取川に辿り着く峰や谷を眺めました。昨日のことがまるで嘘のような美しい風景が広がっていました。そしてそこには、明るく美しい風景から想像できない昭和9年の大惨事をはじめとする大地の崩壊も事実繰り返されています。「聞きがき抄 昭和九年白峰村水害誌」の叫びを思い起こさねばと思いました。
 展望コースからの下山、南竜で万才トンネル工事に携わる飛島建設の方から、お話を聞くことができました。現場に行くことはできなかったのが残念でした。工事現場で働く人達の宿泊施設は、見た目は山の生活として、何不自由なく整えられているかのように思いましたが,現実は大変なものだと聞きました。食事は感染症等を考慮して全てレトルト、当然団体生活の中のプライバシーの保護は制限され、家族から離れた生活、そして僻地での労働、週末は下山するとのことでしたが目標なしでは耐えられない生活だと思います。地域の安全を守るという目標、その貴重な活動が常に動く山と戦っているのだと感謝したいです。
 久々にヘリが飛びましたと言う責任者の方の笑顔がとても嬉しそうで印象に残りました。資材が運び込まれないと活動できないのが現場だから、どんなに待ち遠しいことか、携わる人々の健康と無事を祈りたいです。そして排水トンネルの竣工を楽しみにしたい。あそこが機材運搬の基地だと教えられた中腹のその場所は,今日も休むこと無く活躍しているのだろう、もう一度ちゃんと見に行きたいと思いました。
三守】今回は、天候がすごく気になる登山でした。登る途中から雨脚が強くなり、雷も鳴り、足下を注意しながらの登山です。室堂には早い時間に全員無事に着き、うれしかったです。でも、靴も服もずぶぬれで、早速乾燥室で乾かしました。
  翌朝は、雨も止み御前峰に登りましたが、御来光は見られませんでした。でも、雲海は素晴らしかったです。
  展望コースから下山し、飛島建設さんに激励訪問しました。会社の方から「今日、ヘリコプターが飛んでいるが、悪天候の為10日間も飛ぶことが出来ず仕事にならなかった」との事でした。室堂でも、ヘリコプターで食材などを運んでいました。働いている人に「大変ですね」と言ったら、「今日ヘリコプターが動かなかったら自分たちで担いで運ばなければならないので助かった」と言っていたのを思い出しました。
  高山での仕事は、改めて大変なことを知りました。今年もまた思い出深い白山登山でした。ありがとうございました。

西村】今年の白山登山はキャンプ砂防の大学生6名と合同となり、先行組(学生+女性特派員一部)と後方組とに別れての登山でした。出発からの雨空は室堂に向かう程ひどくなり、大変な大雨の中の登山になってしまいました。結局、登りでは周りの砂防状況もあまり見る事も出来ず、ひたすら大雨の中を全員が室堂目指してひたすら登り着いたと言うことになりました。
  でも、下山の日は雨もあがり、時折のぞく青空の下、雲海の上に顔を出した穂高連峰や御岳山、そして可愛い山野草等を見ながら予定通り全員で展望歩道を下り、南竜ヶ馬場の現場事務所に到着しました。そこで温かいコーヒーをいただき、飛島建設の所長さんから質疑などを交えながら現場の様子を伺う事が出来ました。
  天候の良い時ばかりでは無く、長期にわたる山小屋での生活は1週間が限度だと言われました。山の中の現場まで毎日1時間30分程かけて歩いて行くにはやはり体力と精神力が必要です。日夜、土砂災害防止に尽力くださる皆様方には頭が下がります。
  その後は、新築された甚之助避難小屋の後方にある大きな地すべりブロックや別当谷ブロック、別当谷大崩ブロックを眼下に見ながらの下山になりました。帰り道はガイドさんから山野草や薬草の名前を教えて貰いながらの楽しい下山になりました。
  登りでは散々大雨に見舞われどうなる事かと思ったのですが、全員怪我をすることもなく元気で登山出来た事をスタッフの皆様に感謝申し上げます。

坂本】2日目、キャンプ砂防生の学生に付いて、白山誕生以来の宿命と言うべき、斜面崩壊と地すべり地帯の浸食を食い止めようとしている、赤谷排水トンネル、甚之助谷上流山腹砂防工事現場を見学しました。
  多雪地域の急峻な谷間では、夏だけの短期工事、赤谷は霧の晴れ間を縫うように生コン資材を運ぶヘリが忙しく山麓とのピストン輸送を繰り返していました。甚之助谷上流山腹工事現場は、斜面崩壊が激しく急峻な谷間では遠隔操作で無人石積作業が行われていた。
  いつ土砂災害が起きてもおかしくない危険地帯で、深層崩壊を一日でも遅らせ少ない災害で済むようにと、エンドレスな戦いに挑み、技術と知恵で頑張っている人達が居ることを知りました。又、白山国立公園特別保護区内での作業は貴重種植生保護柵が設けてあり、山腹斜面の法面についても植生対策がいろいろと考えられているとお聞きしました。
  それは、たおやかな白山登山道からは、間近に見る事もなく想像もしなかった砂防工事事業現場でした。
  三日後、市民登山のガイドとして白山に登った時、中飯場から柳谷導流落差工を見た市民の方が「毎年同じ工事ばかりして、税金の無駄遣いをしている」との声に、すかさず三日前に南竜工事事務所で聞いた受け売りで、溶岩流により形成された白山地形を説明し、砂防ダム工事は白山下流地域の扇状地に住む市民の人命と財産を守る、大切な事業であると話しする事が出来ました。

大坪】赤谷右岸の木々の生い茂った斜面を指し、「ここが、万才谷の水を赤谷へ流す、直径2m、長さ387mの排水トンネル出口になる所です。」前回、中飯場で見た排水トンネルが頭に浮かびました。万才谷から甚之助谷の溶岩台地が、雪解け水や雨の浸透により、年間10cm動いています。この台地が土石流となって流れる量は5000万m3。その防止策として、20年前から排水トンネルが考えられ、現在、索道設備として2号支柱、山頂停留所が建設中でした。年間工期は4ヶ月と短く、悪天候で飛べなかったヘリコプターが、当日は10日振りに生コンをピストン運搬していました。翌日より数日は、又悪天候でした。見学後、谷からの階段を上り、歩きづらい作業通路を南竜へと引き返しました。
 次は、甚之助谷上流の山腹工事と既設砂防堰堤補強の見学でした。崩壊の恐れのある谷間の現場では、重機を遠隔操作し、階段上部の小さな事務所では、気温・雨量・谷上流の映像が映し出され、常時安全確認がされていました。山深い現場での作業に携わる方々に「ご苦労様」と感謝で頭が下がります。
  今回、2日目だけの参加を希望し、現場見学させていただきましたこと、本当にありがとうございました。