金沢河川国道事務所

第5回活動--平成30年10月5日(金)

 第5回活動は、富山県立山砂防事務所管内にある「立山カルデラ」の砂防事業を見学しました。
 午前中は平成10年に日本初の砂防博物館としてオープンした「立山カルデラ砂防博物館」を見学後、砂防工事専用軌道(トロッコ)に乗車しながら軌道沿線の各堰堤等を見学し、カルデラ砂防工事の前線基地である「水谷平」に降り立ちました。
 午後からは落差日本一の白岩砂防堰堤をはじめとした立山カルデラ内の砂防施設を見学しました。

★参加人数★
 10名

★立山カルデラ砂防施設メモ★

《立山カルデラ》
 立山カルデラとは、昔々立山火山が活発に活動していたころから、山体が侵食されてできた東西6.5km、南北4.5kmにわたる、すり鉢状の巨大なくぼ地です。1858(安政5)年マグニチュード7.1の直下型地震により鳶山が大崩壊し、約4.1億m3の土砂が発生し、大土石流となって大災害を引き起こしました。百数十年たった現在も、約2億m3の不安定な土砂が残っており、大雨の時に大災害をもたらす危険をはらんでいます。
    
詳しくは・・・ 
立山カルデラ砂防博物館 ホームページへ

《砂防工事専用軌道 トロッコ列車》
  トロッコ列車が走る砂防工事専用の軌道は、立山砂防事務所のある千寿ヶ原と立山カルデラ内にある砂防工事の最前線基地、水谷出張所を結ぶ軌道で、線路の幅が610mmと大変狭いのが特徴です。トロッコ列車は、急斜面を前進、後退を繰り返すスイッチバックで登り、延長約18km、標高差約640mを約1時間45分で結んで、砂防工事に携わる人々や工事用の資材、機材などを運んでいます。特に、樺平の標高差200mを一気に登る連続18段のスイッチバックは、日本最大のものです。
《白岩砂防堰堤》
 白岩砂防堰堤の高さは63m、7基の副堰堤とあわせると落差は108mとなり、ともに日本一の高さとなります。2009(平成21)年重要文化財に指定されました。

  • ★立山カルデラ内現場見学★
 
立山カルデラ砂防博物館を見学   外来種対策のため乗車前に靴裏底洗浄します
 
トロッコ乗車前の特派員   トロッコ車内の特派員
 
トロッコ列車の看板   狭くて暗い白岩トンネルを徒歩で通過
 
天涯の湯   白岩砂防堰堤の説明を受ける特派員
白岩砂防堰堤見学   白岩砂防堰堤直下を望む
 
白岩砂防堰堤上流を望む   六九谷展望台で立山カルデラ全体を眺望
 
立山温泉跡地を見学   天涯の水にて 冷たくて美味しい水が飲めました
活動報告

國田】【畠田】【小林】【】【中川】【餅井
山岸】【山口(敬)】【山口(昭)

國田
 立山カルデラは二回目の見学でしたが、先日来の水害や台風被害を経験した私はまた新たな気持ちで見学することができました。自然災害の脅威は想像を絶するものと実感したからです。静かに眠る美しい秋の自然のように見える山中で、カルデラの歴史と、改めて多くの犠牲者の命を忍びなした。怖いと思う瞬間もなく土に埋もれた幼き命を始め老若男女悲壮な事実。そして今があるとも思えました。立山温泉跡ははいつまでも静かであってほしいと祈ります。植生が回復した山や谷の眺めは秋の紅葉が始まりつつある自然豊かな眺望である反面、視線を移すと手つかずの崩壊がある。破壊された自然や下流の人々の人命を守る新しい技術、資材を導入しながらの補修する工事が続けられている。日々働く人たちに頭が下がります。白岩砂防堰堤は重要文化財に指定された風格で立山カルデラを守っている。その堰堤に達ながら施設の重大な役割を思いました。急峻な川下、振り返れば緑を取り戻しているカルデラ。偉大な人々の功績に感謝したいです。そしてこれからも守り続ける人たちが安全でありますように。
 天候にも恵まれた良い一日でした。ありがとうございました。

畠田
 今年は天候にも恵まれて立山カルデラ砂防見学無事に見学することが出来ました。中々予約の取れない見学場所だと言うことは聞いていたのでとても嬉しかった。立山カルデラ砂防科学館は日本初の砂防博物館だそうです。今回時間が無くて見切れてない所が沢山有るのでぜひ再訪したいです。山体崩壊でのカルデラの成立ち等勉強になりました。
 白岩砂防堰堤は圧巻でした。高低差が日本一との事で全体像を一目で見られないのが残念でした。温泉跡は思ったよりも小さかったな。こんな高い所までよく上がって来たものだな。と、昔の人達は健脚な方々が多かったのか?低い所にも名湯は沢山あるのになぜだろう。娯楽も兼ねていたのかな?天涯の湯、足湯熱く入れなくて残念でした。六九谷展望台、立山カルデラの全貌が見えるとか、大きすぎてよく分からない程だ。
 何か所も見学出来て中身の濃い一日でした。

小林
 立山カルデラを見ると崩れた約4.1億m3の土砂とはいったいどの位の量なのだろう、安政5年未明に起きた地震はいかばかりの恐怖と損害を与えたのだろう。
 立山カルデラ砂防博物館での説明や紙芝居もよくわかり、今度はゆっくり見学したいと思いました。
 トロッコに乗り段々高度が上がっていくと、紅葉も始まりかけ山々もきれいに見える。スイッチバックのたびに身を乗り出して前後の確認をしている運転手さんが大変で、神経を使う仕事だと思いました。無事到着しありがとうございました。
 白岩砂防堰堤は迫力がすごかったし、六九谷展望台では鳶崩れやカルデラの様子がよくわかりました。立山温泉跡地では、安政大地震被災者の供養塔が有り、若くして亡くなった方の名前が屋号で記されていて時代を感じました。このような災難が二度と起きないことを祈ります。 今回の視察は楽しかったです。


 白岩砂防堰堤や泥谷砂防堰堤群、湯川12号堰堤など初めて間近で堰堤を見せてもらいましたが、砂防特派員になるまでは堰堤について興味もなく、何も感じてませんでした。今回改めて近くで見せてもらうと 堰堤の大きさ、コンクリートの力強さに驚きました。博物館で見たジオラマで学ばせてもらい六九谷展望台に行き実際の風景を見た時、こんな大自然に立ち向かおうと思った当時の人々って すごいなあと思いました。普通なら諦めてしまうような大自然の災害に果敢に立ち向かう人間のすごさにただただ驚きました。
 以前、砂防博物館に行った時、立山温泉について「最盛期の建物は、二階建て旅館、二階建て大旅館(自炊用)、自炊館、雑役夫宿舎、ボッカの大宿舎3棟、小宿舎、大平屋建、二階建て倉庫、事務所、別館、売店、発電所、 一般大風呂2棟、上客風呂1棟、薬師堂などの建物が林立していた。」と、立山温泉が非常に栄えていた記述がありました。あんな山奥にいったいどんな風に栄えていたのかととても気になっていたので、 今回の視察で行けて嬉しかったです。実際に現場を見て、どこにそんな沢山の建物が立っていたのか、こんな山奥にどうして大勢の人が来ていたのか、謎は深まるばかりでしたが、実際に自分自身の目で見れて その場に行けて大変感動しました。
 美しい弥陀ヶ原高原の横にあるのに全く景色が違い、災害の恐ろしさが身に染みました。実際に訪れてみて、改めて現地視察の重要さがよくわかりました。

中川
 最初の見学地、立山カルデラ砂防博物館でカルデラ「大きな鍋」の意味、日本では珍しい浸食カルデラであることの説明に始まり温泉で見られるオパールの仲間のきれいな玉滴石などを見学しました。広い館内は回りきれないところも多く、また訪れたい 施設です。砂防工事専用軌道の18段スイッチバックはとても貴重な経験でした!国の重要文化財の白岩堰堤では日本一のダイナミックな落差を体感しましたし、六九谷展望台は目の前に広がる雄大な景色の中に砂防工事の成果による植生が回復し緑に 覆われている六九谷を見ることができました。その後もそれぞれ特徴が違う堰堤を見学し内容の濃い一日となりました。
 観光施設の整った室堂周辺と背中合わせに広がる立山カルデラは現在も不安定な土砂が残り、砂防工事が全国一の規模で行われていること。この二つの違う表情を実感出来ました。行程もスムーズでお世話下さった事務所の皆さまと台風による天気の影響もなく活動 が出来たことに感謝です。ありがとうございました。

餅井
 まずは今回の特派員活動のために晴天にしていただきましてありがとうの一言を添えさせて下さい。
 富山県の立山カルデラ砂防博物館は、前回(H21.4)来たときとは違った内容でした。ジオラマでの緊迫感ある説明はとても解りやすかったですね。館内を一通り見終わった後、待望の砂防工事用専用列車のトロッコに希望していた谷側の席で乗車出来、全ての堰堤がよく見えました。スケールの大きさに驚きましたが、所々木々が生い茂り見にくいところもありました。白岩砂防堰堤では、水の多さが半端ではないので北陸電力が加わっていると説明されました。立山温泉跡地では、タイルのオシャレ感に感動しました。

山岸
 今回の活動内容(多少見学地などは違いますが)は、多分3回目なのではないかと思います。
 最初の「 立山カルデラ砂防博物館 」では、若い女性の方のよどみのない説明がとても分かり易く、内容も短い時間ではありましたが充実していました。今までは館長さんから説明を受けていましたので新鮮でさわやかに感じました。白山砂防科学館での自分の説明をチラッと思い浮かべました。説明の頻度も違うと思いますが、少しでも近づくことができればなあと恐れ多いですが思いました。 白岩砂防堰堤の右岸の岩が崩れかけてきていることは初めて聞きました。トンネル内からアンカーで止めているとお聞きしましたが、果たしてそのアンカーがどの程度効いているのか、どれくらいもつものなのかお聞きしたかったです。今後に注目です。やはり構造物も天然の岸壁も永遠はないのだと改めて知らされました。 トロッコは今回の乗車時間がなぜか一番長く感じました。昔のことはどんどん忘れているのかもしれません。(笑)聞き忘れましたが、トロッコの軌道の山側に所々リングネットが施工されていましたが、これらは冬期間は取り外すのでしょうか?白峰の資材運搬道路のリングネットは確か降ろしていたと思います。軌道内であのリングネットを外すとなるとかなり大変だと思いますが、反面、冬を越すとなるとけっこう破損するのではないかと思います。
 今回は質問するタイミングを逃したり、忘れたりと自分なりに反省しています。もし、どなたか教えて頂けるようでしたらよろしくお願いします。
 天気予報では降雨が予想されていましたが、何とか雨も降らず無事に有意義な活動を終了することができました。関係者の方々に心より感謝いたします。

山口(敬)
 立山砂防見学は、昨年中止になったので今年こそはと大変楽しみにしていました。関係者の皆様の綿密な計画や手続き等につきまして感謝しております。
 「カルデラ」という言葉がポルトガル語で「大きな鍋(つまり大きなくぼ地)」という意味だと知り面白く妙に納得しました。立山カルデラは、川が侵食して崩れて出来た「侵食カルデラ」で全国的にも珍しいとのことで現地視察を前にワクワクしました。
 立山カルデラ砂防博物館では、安政の大災害の土石流が富山平野に流れた様子など日本昔話風にシアターになっていて、小学生でも興味を持ってみることが出来る工夫がされていました。立山周辺の大型地形模型での崩れの説明は、全体像がつかめて良かったです。見学を楽しみながらも土砂災害の怖さが充分に心に残りました。
 いよいよ砂防工事専用軌道のトロッコに乗車です。38回ものスイッチバック方式で方向を何回も変えながら一気に標高を上げていくものでスリル満点でした。沿線の各堰堤も見学でき貴重な体験でした。到着した水谷平は天涯の湯や大きな宿舎などがあり、常に危険と隣り合わせの工事関係者のベースキャンプとして小さな村のように感じました。カルデラ最下流の白岩砂防堰堤は108m落差があるとのことで、絶壁へ水が吸い込まれていく様子を真上から見ることが出来圧巻でした。六九谷展望台では鳶崩れの様子や砂防工事の様子がよく見えました。工事が進んでいる所は徐々に緑化しているようでした。
 改めて日本全国で山と川があるところに砂防工事が必要なことを感じさせられました。自然との厳しい戦いや共存を目指しながらエンドレスに続くようで気の遠くなる思いもしました。

山口(昭)
 立山砂防女性サロンの会の方より以前「立山カルデラや常願寺川流域の砂防の大切さ」のお話を伺ったことがあり、是非見学したいと思っていた立山カルデラ。天候にも恵まれ見学することができ本当にありがとうございました。
 「立山カルデラ博物館」での説明はとてもわかりやすく、常願寺川での土砂災害の歴史や砂防事業の始まりなど学ぶことが出来ました。そして、トロッコやバスに乗って実際の砂防堰堤を見学。白岩砂防堰堤の大きさに圧倒されました。また車窓からの見学でしたが、泥谷砂防堰堤は堰堤の完成により渓岸が安定し、緑に覆われ自然と一体化しているとの説明をうけ、とても興味をもちました。(次回は是非見学したいです。)
 観光地としての「立山」そして今も砂防工事が続く「立山カルデラ」。機会があれば是非また見学したいと思いました。