金沢河川国道事務所

第3回活動--平成30年8月1日(水)

 第3回活動は、白山で行われている砂防事業の現場見学をしました。
 午前中は中ノ川第1号砂防堰堤にて現在進められている工事現場を間近で見学し、事業および現在の施工状況等の説明をくわしくお聞きすることができました。
 午後からは赤岩砂防堰堤群、市ノ瀬砂防堰堤、柳谷中流砂防堰堤を見学しました。

★参加人数★
 10名

★白山砂防施設メモ★

《中ノ川第1号砂防堰堤》
 平成25年度より改築工事に着手しており、大きく削られた堤体を厚く・高く補強すると共に、水通し部に摩耗しにくい特殊な素材を使用することで、土石流や大規模土砂流出などの土砂災害に対する下流域への安全性の向上を図ります。
《赤岩砂防堰堤》
 昭和9年の手取川大水害の教訓をもとに大規模な土砂流出に伴う天然ダム対策として赤岩砂防堰堤群3基の改築を行っています。赤岩下流砂防堰堤は平成26年度、赤岩第2号砂防堰堤は、平成28年度に完成しました。
《市ノ瀬砂防堰堤》
 平成26年度より老朽化対策及び土砂調節機能の強化として事業に着手しており、今年は本堰堤の補強を推進します。
《柳谷中流砂防堰堤群》
 別当出合の白山登山・観光の拠点施設及び下流の白峰集落などを土砂災害から守るため、平成21年度から4基の砂防堰堤(33号〜36号)の整備に着手しており、平成27年度には柳谷第33号砂防堰堤が完成しました。


  • ★尾口砂防出張所管内(中ノ川第1号砂防堰堤改築工事)現場見学★
 
中ノ川第1号砂防堰堤を見学
 
現場間近から施工状況を見学することで
水流の勢いを感じることが出来、安全管理の大切さがわかりました。
 
安全に施工ができるよう土石流センサーが設置されており、
       工事看板もきれいに掲示されていました。
現場での「快適トイレ」も見学。
とてもきれいで女性の方も気持ちよく利用できます。



  • ★白峰砂防出張所管内(赤岩・市ノ瀬・柳谷中流砂防堰堤)現場見学★
赤岩砂防堰堤を見学。
土砂調節機能の強化としてスリット化の説明を受けました。
 
市ノ瀬砂防堰堤ではアンカー工法による補強方法の説明を受けました。  
 
 柳谷中流砂防堰堤群の見学では、
       実際に使用している型枠に直接触れることが出来ました。
  
 
 真剣に説明を聞く特派員。  
 
 白山国立公園内ということで、発電機による騒音を防止するため
 自家発電によって作業所内の電力を供給されています。
  
活動報告

國田】【畠田】【木澤】【山下】【中川】【餅井
山岸】【山口(敬)】【山口(昭)

國田
 今回は三カ所の堰堤の見学でしたが、どこも老朽化、あるいは自然破壊された堰堤を新しい技術、資材を導入しながらの補修する工事でした。積雪期間が長い土地柄、限られた短い時間の中で猛暑を厭わず、日々働く人たちに頭が下がります。そのご苦労の一方で自然との調和を考えながら地域の住民の命と財産を守る仕事にきっと誇りを持って挑んでいることと想像しました。
 赤岩砂防堰堤では最初に作られた時代の面影を崩さない工夫がされて外観が見事だと思いました。
 市ノ瀬砂防堰堤のアンカー工法による補強についての説明に、見えない部分の大変な作業工程があることが判りました。
 最後の見学だった柳谷の砂防工事の現場が見られず残念でしたが、説明と使用されるコンクリートで想像してみました。綺麗な女性専用トイレも驚きの一つでした。これからは若い女性の技術者が活躍する時代の実感でした。
 わかりやすい説明だったこと、沢山の資料を準備してくださったことに心から感謝します。ありがとうございました。
  今回の見学は猛暑の中ながらも、心地よい体感、澄み切った空気と緑のもとで、足早でしたがさわやに行われた研修という実感が残りました。ありがとうございました。

畠田
 今回の砂防堰堤現場見学は、老朽化している堰堤の補修、土砂調節機能強化が主だった。
 中ノ川は、前々から大変工事がしにくい場所と聞いていた。水量が多く土砂も多いので、堰堤が削れて長く持たない。自然スリット?が入ってしまっていた補修箇所に、少しでも堰堤を長く持たせて次の補修までの期間を延ばすための、高額な黒いマット「ラバースチール」がのっかっていた。
 赤岩は、スリット化にして出水時の効果量を増やしていた。
 市ノ瀬は、堰堤の厚みが少なくても強化補修できるアンカー工法で施工していた。昭和29年に既存の堰堤は作られたらしいが、老朽化による石積みからの水漏れ?が見てとれた。既存の石積み模様を生かすため、新しい型枠パネルには既存の石積み模様そっくりに作られていた。
 いつも思うが、景観に考慮してその場所に合わせて作っている「砂防堰堤」、すごいです。

木澤
 何故こんな山奥に工事をしなければいけないのか?それも大金をかけて?知らない人たちの率直なる言葉です。でも、今年の広島の豪雨ですさまじい様子を〔皆さんもテレビの画面での事だとおもいますが…〕観て、恐ろしい事だと感じた事 でしょう。でも私達の所は大丈夫!と思っていますよね。
 白山砂防工事でダム、堰堤、と日々自然と戦っている方々がいます。「自然の形が日々変わるから」それに沿って工事も変えていかなければならない…と教えて頂きます。頷きの連続です。このお仕事のお蔭で私達の生活が守られています。
 重機のウエルカムアーチで出迎えて頂きました。心の余裕を感じます。自然と戦っているお仕事の方の心の優しさに感動です。私達への心配りです。
 看板に「一人一人が現場監督です!より良い現場をつくりましょう」と。皆さんの生活を守る為に頑張って下さいね。
 説明頂きありがとうございました。

山下
 今回の活動は、白山砂防の施設見学ということで4箇所の現場見学へ行きました。初めの方で大幅に時間が遅れていたので見学時間が短くなるかと心配でしたが、思ったよりゆっくりと見学することが出来たと思います。
 中ノ川砂防堰堤は近くまで見に行くことが出来、堰堤の施工方法や土砂調節機能の強化や土砂流出などの災害に対する下流域への安全を考えていることがわかりました。
 赤岩砂防堰堤は、ICT施工という新しい施工方法の工事を行っているなど説明して頂きましたが、私にはまだ理解するのに時間がかかると思いました。
 市ノ瀬砂防堰堤の現場は始まったばかりのようで、見学時は足場の組み立て作業を行っていたため、出張所長さんより資料を参考に説明して頂きました。
 柳谷中流砂防堰堤は、今回一番印象に残るおもてなしをして下さいました。バックホウでのウェルカムアーチ、暑いので手作りのミスト。。とてもよかったです。現場での施工方法も見本を用意して下さり、見本を使いながら丁寧に説明してくれたのでとてもわかりやすかったです。
 実際に現場へ行き見学すると、興味がわくことが多くありました。今回現場を説明してくださった、尾口砂防出張所長様、白峰砂防出張所長様、各現場の皆様ありがとうございました。

中川
 昨年は大雨の影響で中止になり、初めて白山砂防施設を見学することができました。
 中ノ川は上流からの土砂が多いことで中央部が大きく削り取られた個所を改築とのこと。改築前の写真を見て切れ込みの深さに驚きました。また、水通し部に特殊な素材を使用したり工期の短縮のためにに大型のブロックを使用するなどの説明に納得しました。
 市ノ瀬では老朽化した堰堤の手前にコンクリートを腹付けして強化することを知りました。昭和29年完成の堰堤は現場で石を切り出し、積み上げていた丁寧な手仕事だと説明をうけました。 それを壊してしまうのではなく、支えとし新しい堰堤を作ることを知り砂防に対する意識がまた一つ変わりました。
 この他にもスリット型砂防堰堤の利点、効果的な場所を学ぶことができてとても有意義な一日となりました。
 暑い中にも関わらず分かり易く説明頂いたご担当の皆さま、ありがとうございました。

餅井
 昼食後に広報活動でのテキスト「土砂災害〜みんなの命を守るために〜」を1人3〜4ページ読み合わせをしましたが、これをスクリーンに合わせて進行するのは少し難しいと感じました。
 最近の地球上の気象状況がとんでもない大きな変化を続けている日々が恐いです。いきなり大雨が降ったり、地震が発生したり、気温が普通より急上昇したり、地球自体が猛反発を訴えかけているなと感じました。
 砂防堰堤工事に従事されている方々には頭が下がります。この炎天下にヘルメットと長靴にての作業は、これこそみんなの命を守るために日々エネルギーを使っていらっしゃるのだと痛感しました。
 ありがとうございます。

山岸
 この日も暑い日となり、数日前より登場してきた“うるる”がバスの中にうじゃうじゃ入ってくるような状態でしたが、皆さんは淡々と現場見学活動に集中されていました。
日頃の仕事上どうしても施工者の目線で現場をみてしまう自分がいました。H30中ノ川第1号砂防堰堤改築工事の現場を見学している時に、誰かがぼそっと「2人でこの現場しているんか。」と言われました。そうですよね。テレビなどで見る工事現場は大手ゼネコンさんが施工していて何十人もの人や何十台もの車両が現場内を行き来しているイメージがあります。私が関わっている現場では多くて15人前後で、それも協力会社(下請負人)の人が入場している状態でです。 外部の人に言われ、作業員さんや現場の管理者の偉大さを再認識しました。以前特派員活動で見学した現場もありましたが、残念ながらその時参加した方がおられず、以前の現場の状況と現在の施工状況との対比を実感される方は少なかったようでした。
 現場のトイレはぜひ見てもらいたかったところの一つでした。現場環境を改善していく一環として、稲垣所長さんもおっしゃっていましたが、助成金の対象ともなっていますが、今後も継続していってほしいものです。国、県で助成対象となっている為トイレの供給が追いつかず、柳谷の現場にあったトイレは静岡県から運搬してきたものです。
 赤岩第2号砂防堰堤工事では、昨年ICT施工されていた工事用道路を一度も見ていなかったので、狭い場所を有効に使い工事用道路を施工できたのだとしみじみ感じました。
 今回の活動は、身近な現場の見学だったので施工者と見学者との中間的な貴重な立場での参加となりましたが、いろいろ勉強になりました。関係者の方々、参加された方々に心より感謝申し上げたいと思います。

山口(敬)
 第3回の活動は白山砂防施設見学として、今年度の砂防事業の計6箇所のうちの4箇所を見ることが出来ました。
 中ノ川第1号砂防堰堤の改築工事では、本体の補強ということで「腹付け」を行うものですが、出水による土石流が発生しやすく、また工事期間も限られており、短縮できる型枠ブロックを積んでいく工法です。仕上がりは魚のウロコのような形状に見えます。水が落ちる水叩きの欠損部分の改修も工事中でした。また、本体水通し部の摩耗対策として黒いラバースチールをかぶせていくということです。左岸側の工事はほぼ完成しているので、工事のビフォー・アフターが比較できて分かりやすかったです。
 赤岩砂防堰堤の補強工事では、白山公園線から外れて工事現場に入るときの工事用道路の工法が「ICT施工」というもので、GPS機能で衛星からの信号を重機に取り付けたアンテナに送って施工するもので、まるで砂の像のような美しくしっかりした道路でした。見学場所が上から見下ろすような位置であったので、本堰堤と第1、2副堰堤が立体的に見えて全体像が把握出来てよかったです。
 市ノ瀬砂防堰堤の補強工事では、コンクリート腹付け及びアンカー工による改築でした。左岸の半分は昭和29年完成の堰堤がまだ見えて、当時の人達が石をきれいに切って積み上げていったものでした。現在は同様に出来ないので、同じような石積みの模様をした型枠を特注したものを使用することで、景観にも配慮していることがわかりました。 また、腹付けコンクリートを薄くしたり、堆積土砂除去が不要となるアンカー工法の説明や施工手順なども聞けました。
 柳谷中流砂防堰堤見学では、別当出合より少し高い位置まで行き、柳谷堰堤群が奥の方までたくさん続いているのが見えて圧巻でした。牛首川上流の渓岸の崩壊や侵食が著しく、この中流での工事現場も大変危険で厳しいことが推察されます。工事関係者の方もおっしゃっていましたが、やはり「安全第一」だということです。危険を知らせるサイレンや水位計の信号なども説明して頂きました。側面の崩れやすい所は、特殊な吹き付けで固めて工事を行っているとのことでした。
 手取川ダムのようなダムがない中ノ川(尾添川)や、手取川ダムよりも上流の白峰集落や白山登山の拠点である別当出合、迂回路のない県道白山公園線などを守ることになる砂防事業の現場を、間近で見ることができてとても有意義でした。砂防と自分との距離が少し縮まったように感じます。

山口(昭)
 青い空と濃い緑でいっぱいの白山。その白山砂防の歴史(当時の県知事の視察から始まったことなど)をバスの中で聞き、改めて100年以上続く砂防事業について関心を持ちました。
  尾添川上流の中ノ川堰堤、牛首川流域のスリット堰堤や階段式に続く堰堤の工事現場を今回見学し、その規模の大きさに圧倒されました。
  最近の豪雨で西日本各地に起こった土砂災害を目の当たりにして、砂防事業の重要性を改めて認識しました。