金沢河川国道事務所

第6回活動--平成26年9月5日(金)

 第6回活動は、白山砂防事業の現場見学を行いました。
 牛首川流域の河内谷砂防堰堤、赤岩第2号砂防堰堤、赤岩砂防堰堤の3基を見学しました。その後、柳谷導流落差工、柳谷中流砂防堰堤群を見学しました。
 これまで見学したことのある施設と新しく見る施設があり、工事の進捗具合や砂防事業の多様さを知ることができました。
 午後は白山ろく民俗資料館を見学した後、手取川の十八河原の自然再生事業について説明を受けました。

★参加人数★
 11名

★見学メモ★
1.河内谷砂防堰堤
 今年度完成予定。堰堤の嵩上げ補強工事を行っており、昨年度までで左岸側の施工を終了している。今年度は右岸側の施工を進めている。

2.赤岩砂防堰堤群
 赤岩砂防堰堤、赤岩第2号砂防堰堤、赤岩下流砂防堰堤の3基。今年度は赤岩第2号砂防堰堤の改築工事を行っている。

3.柳谷導流落差工
 平成19年完成。柳谷砂防堰堤群は甚之助谷地すべり等の外力の影響による柳谷両岸の斜面崩壊により破壊を受けた。平成9年から無人化施工によるコンクリート打設を導入し、平成19年11月に柳谷導流落差工が完成した。

4.柳谷中流砂防堰堤群
 柳谷は、渓岸の崩壊及び浸食が著しく、河床には過去の土石流などによる不安定土砂が堆積しており、既設堰堤の多くは損傷又は埋塞している。
 柳谷中流砂防堰堤群は、柳谷中流部において渓岸崩壊地の浸食防止、河床不安定土砂の堰き止め、及び上流からの土石流の補足、減勢のため、4基の砂防堰堤の新設を行う。

5.石川県立白山ろく民俗資料館
 白山ろく民俗資料館には、移築された民家6棟があり、それらは白山ろくに建てられた伝統的な民家(江戸〜明治時代)であり、すべて文化財として指定を受けた貴重な文化遺産。
 白山のふもと、厳しくも豊かな自然の中で培われた山村文化を伝える史料や民具も展示されている。

6.十八河原自然再生事業
 河床に砂礫が堆積する石の河原であった手取川は、砂利採取やダム建設の等の影響から、河床の基盤岩が露頭するゴツゴツとした河原となった。
 十八河原では、礫を補足し、岩盤河床に敷設した砂礫の流出を抑制し、石の河原を復元させるとともに和佐谷と手取川本川の連続性を復元させることを目標としている。

  • 河内谷砂防堰堤(バス内から見学)
 

  • 赤岩下流砂防堰堤
 

  • 赤岩第2号砂防堰堤(バスから見学)
 

  • 柳谷導流落差工・柳谷中流砂防堰堤群
 

  • 石川県立白山ろく民俗資料館
 

  • 十八河原自然再生事業
 

活動報告

北上】【田渕】【西村】【松本】【村田】【安田】【山岸

北上
 出発時強かった雨も次第に弱まり、1日どうにか傘無しで済んだのはラッキーでした。
 柳谷に向かう途中、河内谷砂防堰堤へ。上方の赤岩砂防堰堤では、大きな土砂を止め、細かいものは流す。ここでは細かい土砂まで止め、下流域の白峰集落の安全を守る。崩壊した左岸側はすでに出来上がり、高く厚みは倍くらいある。後は老朽化している右岸側もこれに合わせ補強して完成となる。
 柳谷では、先ず藪入りして導流落差工を眺める。完成から7年、緑化は進みコンクリートの色もなじんできた。甚之助谷と万才谷の水量の差も見て取れる。甚之助谷から万才谷への排水トンネルが完成すれば、豪雨にならないか大きな地すべりが起きないかとこの地の情報を知る人には一安心なのですが・・・。
 次に初めて柳谷の左岸に渡り工事用道路を下る。細かく続く柳谷中流砂防堰堤群はこちらからは横に並ぶように見て取れます。
 午後は白山ろく民俗資料館へ。前回回りきれなかった家屋に入りました。一回に長時間とれなくても、この様に次回にまわす事で疲れず、新しい視点で観察できることは良いと思います。
 最後の行程は十八河原。天狗橋のすぐ上でした。砂利採取をしていたため、川床の岩盤が現れ、ここに石の床を埋め、本の石の河原に使用というもの。河口区間では現在も河床上昇傾向が続いているとのこと。河口の外まで流出してしまえば海岸線の浸食防止にも一役買うのでしょうが、途中で止まってしまっては氾濫の危険が出てくるのでしょうか?
 前回柳谷までいったのはいつだったでしょうか。長靴も喜んでいます。災害続きのこの国土。どうぞ白山の神様、この地をお守り下さい。そしてどうか安全に着々と工事をすすめて頂く事を願うばかりです。
 
田渕
 今回参加して、昨年の活動と同じ現場を見学して、頑強で景観の素晴らしいものを見せて頂きました。以前登山した折、チブリ下山をしたときの工事用道路を通ったときも、つらい下山だったので考える所がありました。
 昭和9年の市ノ瀬の村が一瞬に土砂に埋まる災害、今回その川の上流に行かせていただき、常に動く自然が恐ろしいと感じました。
 十八河原のコアジサシの繁殖は、つい先日NHKの朝の番組で放送していたもので話が聞けたのと、砂利採取で以前の河原ではなくなったこと、岩盤がむき出しで見えたこと、今回は自然を見せて頂きました。
 
西村
 今日の砂防現場見学のメインは、何といっても柳谷導流落差工だと思いました。
 途中は河内谷砂防堰堤、赤岩砂防堰堤、赤岩下流砂防堰堤をバスの内外から見ました。先日来の天候の悪さもあってか、甚ノ助谷と万才谷から流れ落ちる水量も多く、階段状に作られた柳谷堰堤群に流れる水量は見ていても怖くなる位でした。
 柳谷導流落差工は平成10年度からは無人化施工によるコンクリート打設を導入し平成19年に完成している工事です。今回、特派員は11名の参加でしたが現場の状態を想定し長靴を履いている人が目立ちました。
 いつものように、御前荘で昼食のイワナに舌鼓をうち、私は初訪問の白峰地区内の『石川県立白山ろく民俗資料館』へ行きました。いつも横を車で通っているのに来た事が無かったのです。白山のふもとの豊かな自然の中にあり、重要伝統建造物群保存地区の中にあります。山村の文化遺産と言われる幾つもの家屋と中に展示されている生活用品が多く展示されていて見る価値があります。次回はプライベートでゆっくり見学しようと思いました。
 
松本
 朝から雨で今ひとつのお天気での現場見学でしたが、大変盛り沢山の内容だと思いました。
 午前中の赤岩、赤岩下流、河内谷の三砂防堰堤は古い堰堤をかさ上げして利用しながら補強している工事。堰堤も一度作れば終了とはならず、さらなる災害を防ぐためにも常にメンテナンスが必要なんだなーと気づかされました。
 柳谷中流砂防堰堤群は別当出合から白山登山にかかわる下流地域を守るための工事中とか。住民と白山のために堰堤を完成させてほしいと思いました。
 午後からは白山ろく民俗資料館と十八河原。どちらも普段じっくりと見学することがないので大変興味深く、また珍しさに感激しました。
 
村田
 今回は砂防堰堤工事の見学ということで実に様々な堰堤を見ることができました。小さな堰堤を間近で見たことはあったのですが、非常にスケールの大きなものの上で見学でき、圧倒されてしまいました。また、砂防堰堤は一種類しかないと思っていたのですが、真ん中にスリットがあるかないかの違いで役割が変わってくる、という発見もありました。これらの工事が早く、無事に終わることを願っております。
 最後に訪れた河川では、下流から運んだ岩を線状に配置してあるのを見学しました。このことが大事なことであるのは明らかですが、地質学を学んだ者としてはできるだけ上流の転石を配置してほしかったです。今後もし同じような工事の予定がありましたら、少しはご考慮してくださると幸いです。
 
安田
 柳谷導流落差工は、登山道からも見え、度々見学する機会もあったが、河内谷や赤岩の砂防堰堤などは、通りすぎるばかりで、今回初めて見せていただいた。
既存のダムを太く高く補強するものやその内側に新しく設置するものなど、その場の状況に応じた工事が行われている。改めて眺める現場は、トラックが小さく見えるほど大規模で、堤防上に立った際にはその高さに足がすくんだ。
 白山砂防情報マップを見るかぎり、見学した場所以外でも、数多くの砂防堰堤、砂防工事が行われている。見えないところで、このように私たちの生活を守ってくれているのだと、資料を見て改めて知ることも多い。
 見学当日、昨日夜半からの雨の影響で、川の水は茶色く濁り、水の勢いも増しているよう。山合いの谷筋には土嚢が積まれ、対面の岩壁には大きくヒビが入る箇所なども見られ、広島の土砂災害の直後だけに、「もしここで大規模な土石流が発生したら」「あの壁が崩れたら」と想像せずにはいられなかった。
 土砂流出は日々進み、崩壊浸食を完全に止めることはできない。けれど、できるだけのその力を弱め、生活基盤を守るための努力を続ける、自然とのせめぎ合いの場所なのだと実感した。
   
山岸
 第6回活動は、内容が盛りだくさんだったせいか全体的に見学地での時間が短かったような気がしました。
柳谷中流砂防堰堤群の現場では、落石のためほとんど現場が見えないところからの説明となりました。もし、事前に落石が多くて現場へ近づけない事がわかっていらっしゃったのならその現場はキャンセルし、車窓からの確認現場へ時間を回しバスから降りての見学に変更しても良かったのではないかとも思いました。
 久しぶりに見た柳谷導流落差工の現場は年月を経たせいか意外と周辺に馴染んで見えたのはひいき目でしょうか。
 大型土のう袋の切れ端がコンクリートブロックの間から見えていたのは少し気になりましたが・・・・・
 河内谷砂防堰堤の現場では、擁壁工が施工されて箇所を指し、「前来た時は、材料が置いてあって歩いたところだね。」という声が砂防特派員から聞こえ、同じ現場を継続して見学する事も大切だなあと感じました。
 天気予報に反して、あまり雨に遭わなかったのは幸いでした。    正直言って砂防特派員活動でしか行った事のない白山ろく民俗資料館ですが、こちらも何年かぶりで行きました。
 今回は、資料の所有先にも注意をしながら見学しました。
 以前は山口館長さんの説明を聞きながら見学をしておりましたので、今後機会があればそのような形での見学があっても良いかなとも思いました。
 資料館とはいえ、建物自体の展示が含まれているので維持修繕には並々ならぬご苦労がおありだろうと推察しました。今後とも継続されるようよろしくお願いします。