金沢河川国道事務所

第7回活動「立山カルデラ現地視察」 
                平成24年9月11日(火)

      

  • 現地視察(午前)
 
亀谷ゲート   有峰記念館 
 
六九谷展望台   立山温泉跡地 


   現地視察(午後)
 
泥鰌池   白岩砂防堰堤 
 
   天涯の湯 白岩トンネル
 
 水谷出張所前   立山砂防事務所前 

活動報告

伊藤(弓)】 【國田】 【西村】 【】 【道脇】 【折笠】 【坂本

伊藤(弓)】あいにくの雨まじりの天気だったのが残念でした。それでもトロッコに乗ることができ良かったです。説明もとても分かり易く楽しかったです。
  何ヶ所か見学した堰堤が白山に比べて幅が広く大きかったです。それぞれの地形に合わせてあるのが解りました。大変な場所で工事をしている人々のおかげで下流の地域が守られているんだと再認識しました。

國田】立山カルデラの知識は全くなく、興味津々で参加しました。地理的にも地形にも無知で少しは予備知識を持って出かけたものの、現場では驚きの連続でした。
 有峰湖を越え立山の秘境と言われるカルデラを目の当たりにし、説明を聞きながらとっさには感じられなかった危険をじわじわと感じ、ここでも人と自然とのエンドレスな営みがあることを知らされました。温泉跡には当時を思わせる悲しいものがありました。
 飛越地震の鳶山の崩れが、今はなき夢空間を一瞬にして飲み込んだ過去の事実が、今も防災工事という形で受け継がれている。そのためにもくもくと働く人達がいる。今恩恵を受けている私達が無知であってはならないと思います。
 巨大な白岩砂防堰堤の見学については、「白岩堰堤砂防施設」として日本初の重要文化財という、間近に説明を受けて初めてその大規模なこと、重要性を認識しました。技術的に優秀なこと、歴史的に価値があることと言うことでしたが、詳細を理解はできませんが、この堰堤が常願寺川流域の人々の命と財産を守っていると思うだけで胸が熱くなる思いでした。
 「天涯の湯」で足を浸しながら興味本位で来た自分がこの湯の気持ちよさに歓喜するのが申し訳ないとも思いました。「どうかこの地で作業をする人たちの疲れを癒してください」と祈らずにはいられない気持ちでした。
 水谷平からのトロッコでは軌道沿線の厳しい斜面や堰堤を、千寿ヶ原まで見学できました。スイッチバックする沿線に命がけの工事に思いを馳せる一時でした。
 立山には何回となく訪れましたが今までのあこがれの立山とは違う凄まじい立山の見学でした。引いて言えば水谷出張所の監視カメラを通したカルデラや堰堤付近の映像を見たかったと思います。
 防災のために日々ご苦労されることに誇りと自信を感じさせる立山砂防の方々に、今回の見学も含めて心から感謝いたします。有り難うございました。

西村】一昨年、立山カルデラ砂防博物館を訪れ、次回はトロッコに乗ってカルデラを見たいと皆で話していたのですが、それが実現してとても幸せでした。昨夜からの雨でトロッコに乗れるのかとても心配でしたが、バスの運転手の方が作ってくれた”てるてる坊主”が効いたようです。
  現地視察は有峰の方から入り、カルデラゲートを通り六九谷展望台からカルデラ内部の崩れを見渡しました。それは私が想像していたものとは全く違い、とてもスケールの大きなものでした。大鳶・小鳶の鳶崩れが僅かに見えていたのですが、山の天候は変わりやすくあっという間にガスがかかり見えなくなりました。
  湯川・多枝原合流点付近は、度重なる土石流の通過と山腹の崩壊により、草も木もない荒れた谷だったそうです。その次に見た白岩砂防堰堤の完成後次々と堰堤が完成し作られ多枝原堰堤群、護岸、山腹基礎工と次々に作られ現在の姿になっているようです。
  白岩砂防堰堤は7基の副堰堤と合わせると落差、高さ共に日本一だそうです。ここはカルデラの出口で押さえ込む常願寺川の砂防計画の土台となる砂防施設で有形文化財に指定されています。湯川と真川とが合わさり常願寺川となるそうです。
  昼食は立山温泉跡地にある小屋で美味しいお弁当を頂きました。そこには安政大地震による被災者の供養塔と温泉の跡地がありました。湯治場として栄えていた温泉はとてもモダンなタイル張りで新田次郎の”剣岳・点の記”に出て来たところなのですが、今ここに私達はいるのだと思うと不思議な気がします。
  その近くには”天涯の湯”があり、工事関係者の方々の癒しの場になっています。男女の露天風呂があり、私達は足湯に浸かったのですが暖かくとても気持ちが良かったです。
  暗い白岩トンネルを歩いて行き、いよいよトロッコに乗ります。スイッチバックを幾度も繰り返しながら1時間40分程で千寿ヶ原へとトロッコは走ります。生憎、周りの景色があまり見る事が出来ませんでしたが、初体験にうきうきしてしまいます。
 工事関係者
】以前、立山カルデラ砂防博物館を訪れた際、カルデラの大型地形ジオラマが展示されていました。崩壊の地肌が剥き出しの荒々しい地形に圧倒され、是非現地に行ってみたいとの思いにかられました。それが今回実現するとあって、わくわくして出掛けました。
  今回、有峰林道・亀谷ゲートから合流した西澤さんの解説で所々バスが停車し、とても分かり易く学ぶことができました。
  安政5年の飛越地震でカルデラ稜線の大鳶山・小鳶山が崩壊し膨大な土砂が、その後の洪水で流出し富山平野に甚大な被害をもたらしました。
当地が水源である急峻な常願寺川が日本一の「暴れ川」と言われる所以です。
  その後、いち早く砂防工事に着手し昭和に入り、工事用トロッコ軌道の敷設により一気に資材輸送力が高まり、本宮砂防ダム、白岩堰堤の完成にこぎつけました。副堰堤と合わせると108メートルの白岩堰堤は登録有形文化財に指定されています。今も土砂をせき止め緩和させながら下流に流す一翼を担っていることを実感しました。
  立山温泉跡地では、交通手段もない時代に山懐に分け入ってたどり着いた温泉に身も心も癒された当時の人々に想いをはせました。
  帰りは水谷平から千寿ヶ原まで砂防工事占専用のトロッコ列車に乗車しました。工事用資材、機材や作業員を輸送できなければ円滑な砂防工事はありえません。常願寺川沿いに堰堤の説明を受けながら18km、1時間45分、42ヶ所のスイッチバックを繰り返し、千寿ヶ原に到着しました。
 白山の砂防工事のみならず、今回は立山砂防についても現地で学ぶことができ心より感謝いたします。

道脇】前夜からの大雨に中止?との心配をよそに、晴れ女集団の念力が勝ち守られた天候。良かった!
  立山カルデラ、今回行って初めて立山の別の面を見て驚きました。立山温泉、本当に秘境です。交通の便の悪いこんな山の中に昔、温泉があったなんて信じられません。
  隣県の我々でも知っている常願寺川の暴れ川。その根源は大昔1858年の安政の地震での立山の崩れ落ち4.1億m3、現在もまだ半分の2億m3が残っていて、それが大雨で土石流となって大災害をもたらします。それを防ぐための砂防工事。自然との闘いは本当に大変ですね。
  急勾配で狭い軌道のスイッチバック式式のトロッコ。思ったより乗り心地は良かったです。

折笠】平成20年8月に友人と浄土山・一ノ越・雄山と登りました。その時初めて、浄土山から立山カルデラの一部を眺めました。その時は、その規模の大きさに気が付かず、すばらしい景色のことしか頭にありませんでした。しかし、この視察で立山カルデラは立山弥陀ヶ原に隣接する日本有数の大規模崩壊地だと勉強しました。特に立山カルデラ内の膨大な土砂をカルデラの出口で押さえ込む白岩砂防堰堤は、大変重要な役割をしていて本ダムの高さ63m、7基の副ダムを合わせると落差は108mとなり日本一の高さの砂防ダムということです。
  こんな山の中にと思う所に人々が作業していられて大変なご苦労があるのだと思われました。
  暴れ川、常願寺川の大洪水の経験から富山県の砂防工事が始まったそうですが1県では困難であるので国に引き継がれたとのことです。
  石川県の手取川下流域の人々と同じように、富山県の常願寺川下流域の人々の安全で幸せな生活を守るために大規模な砂防工事が止まることなく続けて行かなければならないでしょう。
  最後に楽しみにしていた標高差200mを一気にスイッチバックで登るトロッコ列車に乗せて頂き感謝です。トロッコ列車から湯川・多枝原合流点、常願寺川の源流も見られて良かったです。
  この視察で様々な形の堰堤をいくつも見られて大変勉強になりました。

坂本】雨降る中、金沢河川国道事務所を出発しました。立山インターを過ぎた辺りから雨もやみ、バスは亀谷ゲートで立山砂防事務所の職員の方を乗車させて、有峰林道の山あいを縫うように走り、折谷ゲートに着きました。ここより、一般車両通行禁止で砂防工事専用道路の為、私たちもヘルメットを着用しました。バスは真川沿いに奥へ奥へと走り、跡津川断層を車中から見学して立山カルデラゲート入口に着きました。「山は動き、川は叫ぶ」のスローガンに大崩壊現場に立ち入る緊張感に包まれての見学でした。
  六九谷から立山カルデラを眺めると、何度か歩いた立山から五色原登山道の山並みの真裏が、こんなにも凄まし崩壊現場であるとは驚きでした。
 砂防堰堤工事群を車中から見学して立山温泉跡地で下車。昼食後、泥鰌池へ行き、154年前土砂で堰き止められて出来た池と、泊まり客で栄えていた温泉跡の入浴槽の見学でした。途中下車して天涯の水をいただき、70年前に完成した白岩砂防堰堤を見ました。カルデラ内の土砂を谷の出口で堰き止めている白岩砂防堰堤の上を歩きながら、人の立ち入る事も無い山奥の凄まじい大崩壊現場で働く砂防工事関係者の皆さんに心から「ご苦労様」と思いました。次に天涯の湯へ行き、工事関係者皆さんの憩いの湯の横に作られている見学者用の足湯に浸かり「ホット」しました。徒歩でトンネルを抜けると水谷出張所、小さくてかわいいトロッコ列車が私たちを待っていました。  トロッコ列車は急斜面を前進、後退を繰り返すスイッチバッグで霧のブナ林をゆっくり下り、常願寺川に沿って走り、1時間45分の長旅の終わりに近づき千寿ヶ原へと来ました。資材や作業員を乗せて毎日走るトロッコ列車をメンテナンスされている人達に列車より手を振ったが「大の大人が手を振る訳はないか〜」に苦笑していると駅に到着しました。
  以前より、何度か立山カルデラの見学希望に応募をしていましたが駄目でした。今回、白山砂防女性特派員として、人の立ち入る事も、目にする事も無いカルデラ内の見学が出来て大変うれしく思いました。改めて立山砂防工事の重要性を知りました。
 案内役の立山事務所の職員の方、一日ありがとうござました。