国及び地方公共団体等は、社会資本を整備・維持する者として、公正さを確保しつつ良質なモノを低廉な価格でタイムリーに調達し提供する責任を有している。公共工事は、国民生活及び経済活動の基盤となる社会資本を整備するものとして社会経済上重要な意義を有しており、その品質は、現在及び将来の国民のために確保されなければならない。
公共工事に関しては、従来、価格のみによる競争が中心であったが、厳しい財政事情の下、公共投資が減少している中で、その受注をめぐる価格競争が激化し、著しい低価格による入札が急増するとともに、工事中の事故や手抜き工事の発生、下請業者や労働者へのしわ寄せ等による公共工事の品質低下に関する懸念が顕著となっている。
このような背景を踏まえて、平成17年4月に「公共工事の品質確保の促進に関する法律」(以下、「品確法」という。)が施行されている。品確法では、公共工事の品質は、「経済性に配慮しつつ価格以外の多様な要素をも考慮し、価格及び品質が総合的に優れた内容の契約がなされることにより、確保されなければならない」と規定されており、公共工事の品質確保のための主要な取り組みとして総合評価方式の適用を掲げている。
公共工事の品質確保を図るためには、発注者は競争参加者の技術的能力の審査を適切に行うとともに、品質の向上に係る技術提案を求めるよう努め、落札者の決定においては、価格に加えて技術提案の優劣を総合的に評価することにより、最も評価の高い者を落札者とすることが原則となる。
総合評価方式の適用により、公共工事の施工に必要な技術的能力を有する者が施工することとなり、工事品質の確保や向上が図られ、工事目的物の性能の向上、長寿命化・維持修繕費の縮減・施工不良の未然防止等による総合的なコストの縮減、交通渋滞対策・環境対策、事業効果の早期発現等が効率的かつ適切に図られることにより、現在かつ将来の国民に利益がもたらされる。また、民間企業が技術力競争を行うことによりモティべーションの向上が図られ、技術と経営に優れた健全な建設業が育成されるほか、価格以外の多様な要素が考慮された競争が行われることで、談合が行われにくい環境が整備されることも期待される。
|