お知らせ

第4回 国営越後丘陵公園「国際香りのばら新品種コンクール」受賞結果

 このコンクールは、日本国内はもちろん世界各国のばらの育種家から、毎年新品種の香りのばらを公募し、この積雪・寒冷地である当公園において2年間同じ条件の下で育てられ、その後、ばらや香りの専門家で構成される審査委員会によって、春と秋の2回の審査が行われ、その年の受賞品種が決定されます。

 各賞として、4つに区分された応募対象品種毎に金賞・銀賞・銅賞が授与される他、特別賞として、金賞を受賞した品種の中で最高得点を得た品種に「国土交通大臣賞」、金・銀・銅賞を受賞した品種の中で“香り”部門での最高得点を得た品種に「新潟県知事賞」、また、一般来園者による人気投票で最も得票の多かった品種には「長岡市長賞」が授与されます。

HT(ハイブリッド・ティー)系

Entry No. 品種名 作出者
金賞 5 M-RIC-804-I Michele Richardier(フランス)
銀賞 8 FKS-283 武内 俊介 (千葉県)
銅賞 11 WS07-9 佐藤 亘 (静岡県)

F(フロリバンダ)系

Entry No. 品種名 作出者
金賞/銀賞 該当なし
銅賞/長岡市長賞 28 Charlottenburg(TM) Poulcas034(N) Pernille and Mogens N. Olesen(デンマーク)

S(シュラブ)系

Entry No. 品種名 作出者
金賞/国土交通大臣賞/新潟県知事賞 43 ストロベリー・ヒル David C.H. Austin(イギリス)
銀賞 42 Gartentraume RT97281 Rosen Tantau(ドイツ)
銅賞 41 レディ・エマ・ハミルトン David C.H. Austin(イギリス)

Min(ミニチュア)系

Entry No. 品種名 作出者
金賞 該当なし
銀賞 39 ドリーム・ラバー Colin A. Pearce(イギリス)
銅賞 38 あかね 河合 伸志(千葉県)

《審査講評》

審査委員長:岐阜県立国際園芸アカデミー学長 上田 善弘

 第4回の出品点数は63点とその点数も落ち着いてきたと思われます。

 慎重な審査の結果、金賞2点、銀賞3点、銅賞4点を選定しました。

 全般的なこととして、今回は、シュラブ系統の品種に香りのよいものが多く、評価平均点が他の系統より高い傾向がみられました。また、ミニチュア系統について、出品点数は3点と少ないものの、どの品種も香りの評価が高く、2点が入賞しました。

 金賞‘ストロベリー・ヒル’はイングリッシュローズに顕著なアニス(ミルラ)ようの香りが強く、香り点が出品品種中、最も高く、他の形質についてもそれぞれ評点が高く、バランスのとれた品種でした。

 ハイブリッドティー系統でトップとなった‘M-RIC-804-I’も金賞で、華やかな花色とともに香りも高い品種でした。

 フロリバンダ系統部門で銅賞を受賞した‘Charlottenburg(TM) Poulcas034(N)’は、長岡市長賞も受賞しましたが、大輪でカップ咲きからクォーター咲きとなる花型と印象的な花色が人に大きなインパクトを与えたためと思われます。

審査副委員長:国際香りと文化の会会長 中村 祥二

 第4回コンクールには、海外と国内合わせて63品の出品がありました。今回も全般に香りのレベルは高く、この中から金賞2点、銀賞3点、銅賞4点の入賞花を選定しました。昨年のコンクールと同数でした。入賞花は海外6点、国内3点であり国際コンクールに相応しい入賞状況でした。品種区分別香り得点ではシュラブとミニチュアがやや高く、フロリバンダが低くなりました。

 入賞花の内、金賞で国土交通大臣賞と新潟県知事賞をダブル受賞した品種名‘ストロベリー・ヒル’は多くのイングリッシュローズに感じる香りの特徴を持っていました。「ダマスクとハーブのアニスようの香調との調和が極めてよい。インドールが香り全体を強め、拡散性を高めている華やかで洗練された香り」でした。

 もう一つの金賞の品種名‘M-RIC-804-I’は「フルーティで新鮮なグリーンノートのある、ややメタリックな特徴を持った上品な香り」でした。

 なお長岡市長賞と同時に銅賞も獲得した品種名‘Charlottenburg(TM )Poulcas034(N)’は「ティーの香りにグリーンアップルようのフルーティノートのある新鮮で親しみやすい香り」でした。

品種区分:HT

金賞 Entry No.5

品種名
M-RIC-804-I
作出者
Michele Richardier(フランス)
特性
大輪で咲き始めは丸弁高芯咲き、8分咲きになると軽くロゼット状となる。直立性で樹高は高め。
香りのタイプ
フルーティ
〜フルーティで新鮮なグリーンノートのある、ややメタリックな特徴を持った上品な香り〜

 

銀賞 Entry No.8

品種名
FKS-283
作出者
武内 俊介 (千葉県)
特性
大輪で丸弁高芯咲き。樹高は中程度。
香りのタイプ
ティー
〜ティーの香りに強いバラの甘さとレモンようのさわやか、弱い墨ようのウッディノートのある豊かな香り〜

 

銅賞 Entry No.11

品種名
WS07-9
作出者
佐藤 亘(静岡県)
特性
中輪のオープンカップのロゼット咲き。花付きがよくコンパクトにまとまる。
香りのタイプ
ダマスク・クラシック
〜ダマスク・クラシックの強いコクのあるバラらしい香りにパウダリーノートがある。アルデハイドが全体の香りを強めている。上品で芳醇な香り〜
 

 

品種区分:F

銅賞/長岡市長賞 Entry No.28

品種名
Charlottenburg(TM) Poulcas034(N)
作出者
Pernille and Mogens N. Olesen (デンマーク)
特性
大輪のカップ咲きからクォーター咲きとなる。房咲き性で花付きがよく、コンパクトにまとまる。
香りのタイプ
ティー
〜ティーの香りにグリーンアップルようのフルーティノートのある新鮮で親しみやすい香り〜

 

品種区分:S

金賞及/国土交通大臣賞/新潟県知事賞 Entry No.43

品種名
ストロベリー・ヒル
作出者
David C.H. Austin(イギリス)
特性
中輪でカップ掛かったロゼット咲き。四季咲き性で花付きがよく、樹高は高くなる。
香りのタイプ
アニス(ミルラ)
〜ダマスクとハーブのアニスようの香調との調和が極めてよい。インドールが香り全体を強め、拡散性を高めている華やかで洗練された香り〜

 

銀賞 Entry No.42

品種名
Gartentraume RT97281
作出者
Rosen Tantau(ドイツ)
特性
中輪でフリル弁が多く重なるカップロゼット咲き。四季咲き性で花付きがよく、樹高は中程度。
香りのタイプ
ダマスク・クラシック
〜ダマスク・クラシックのコクのあるバラらしい香りに蜜ようとスイスのクローブ、ローズオキサイドを感じる華やかな香り〜

 

銅賞 Entry No.41

品種名
レディ・エマ・ハミルトン
作出者
David C.H. Austin (イギリス)
特性
中輪の丸弁カップ咲きで、数輪の房になる。四季咲き性で花付きがよく、コンパクトにまとまる。
香りのタイプ
ティー
〜ティーの香りに香料ゼラニウムとオレンジ果皮、パウダリーノー トのある調和のとれた上品な香り。拡散性がある〜

 

 

品種区分:Min

銀賞 Entry No.39

品種名
ドリーム・ラバー
作出者
Colin A. Pearce (イギリス)
特性
平咲きの少輪の花が数輪の房になる。花付きがよく、コンパクトにまとまる。
香りのタイプ
ダマスク・クラシック
〜ダマスク・クラシックの強いコクのあるバラらしい香りに レンゲの花ようの雰囲気がある。上品で芳醇な香り〜

 

 

銅賞 Entry No.38

品種名
あかね
作出者
河合 伸志(千葉県)
特性
剣弁高芯の小輪の花が数輪の房になる。花付きがよく、コンパクトにまとまる。
香りのタイプ
スパイシー
〜ダマスクの香調にクローブがかなり強く感じられる甘く芳醇な香り〜

 

 

※注各品種の「特性」は、国営越後丘陵公園試作場での生育状況によるものです。