中学生の部 銀賞作品 「川と黒メダカ」 黒岩 勇紀 須坂市立墨坂中学校


 自分は須坂市の日野地区に住んでいます。この日野地区には宮川という川が流れています。自分は小学校時代からこの川について様々な活動に取り組んできました。
 宮川は自分が通っていた小学校から少し離れた所にある川です。何十年か前は魚がたくさんいたようですが、自分が小学校に通い始めた時は缶やビン等のゴミがたくさん川に捨てられていました。そこで、自分達の二つ上の学年の先輩たちが宮川クリーン大作戦という清掃活動を始めました。先輩たちは川に入りゴミを収集しましたが相変わらずゴミを捨てる人はたくさんいるようでした。
 翌年、新しく六年生になった先輩が活動を始めました。先輩たちは川に捨てられているゴミだけではなく、川に住む魚についても目をつけて取り組み始めました。
 日本には黒メダカという絶滅寸前のメダカがいます。ある新聞にあった黒メダカの特集記事には、現在日本に生息している黒メダカの数は二百匹程度と書いてありました。ヒメダカというメダカは人工的に作り出すことができ、数もたくさんいます。今、川に住んでいるメダカはほとんどがヒメダカと言われています。黒メダカはヒメダカに食べられて減少しているという可能性もあるそうです。そこで先輩たちはメダカについて学習を進め、近くの川にメダカを探しにいきました。驚いたことに、黒メダカを数匹捕獲することができたそうです。先輩たちは学校に黒メダカ専用の池を掘り、そこで黒メダカを飼い始めました。先輩達は、熱心に育て続け、 卒業間際に僕たちに活動を引き継ぎました。
 新しく六年生になった僕達のクラスは早速活動に取りかかりました。
 まず、黒メダカをもっと捕まえて保護しようということになりました。そこで宮川を掃除することになりました。相変わらずゴミがたくさん捨てられていたけど、 何回も掃除していくうちにきれいになってきました。
 きれいになってきた宮川には、魚の数が増えてきました。そして何と二十匹あまりの黒メダカを保護することに成功しました。黒メダカは学校のメダカ池に放たれました。僕達はエサを買ったり、以後の活動費にするためにバザーを開きました。 このバザーで黒メダカについて理解してもらい、宮川や他の川にゴミを捨てないようにしてもらおうという目的がありました。バザーは見事に成功し、余ったお金でメダカ池に橋を架けることにしました。上履きで簡単に観察ができ、全校生徒の関心を深めてもらう願いが込められて、橋を作り始めました。木材等を買い、大きな丸太を打ち込んでいくことは簡単ではありません。長い時間をかけながらも橋は立派に完成し、メダカ池に架けられました。
 暑い夏になりました。夏休み中も、観察は続けて行いました。草がたくさん生えてきたり、水温が上がってしまったりして大変だったけど協力してなんとか黒メダカを守りました。夏休みが開けて、池をきれいにして、黒メダカが何匹いるか数えてみると、何と休み前三十匹程度だったメダカが四百匹にまで増えていました。すごく嬉しかったけど、本当に驚きました。なぜなら前記したように、日本には黒メダカが絶滅寸前で、生息している黒メダカの数は二百匹程度という情報があったからです。しかし、メダカ池にいるメダカは本物の黒メダカでした。
 僕達は黒メダカをこれからどうしていこうか考えました。四百匹もの黒メダカをメダカ池で育てていくのには池が狭すぎます。そこで僕達は、黒メダカを三百匹程度、宮川に放流し、自然に帰そうという決断をしました。放流するにあたって、まず、黒メダカが住みやすい環境を作るために、またしても宮川の掃除をしました。 呼びかけの成果が出たのか、前回よりもゴミの数は確実に減っていました。宮川をきれいにすると、黒メダカを放流したことを伝えるために、看板を作ったり、ゴミにポイ捨て禁止の立て札を作りました。黒メダカは無事に、放流されました。
 この活動を通して、川に捨てられるゴミが魚にどれだけ悪影響を与えているかよく分かりました。自分勝手な行動で、川に住む生き物に危害を加えることは許されないと思います。川がきれいに保たれていれば、川に住む生き物に悪影響を及ぼすことなく、いつまでも生きることができます。一人一人が自分の行動を見直し、自覚を持った行動をすれば川はいつまでも自然を僕達に教えてくれると思います。

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