小学生の部 銅賞作品 「川と私たち」 茂住 耀子 松本市立源池小学校六年

 「ガッツン!また石かあ。」
 私たち六年二組は昨年の春から「カジカいっぱい薄川」を目指しています。また、カジカを私たちの手で増やし放流するという、とてつもなく大きな夢を実現させようとがんばり、そのためにどうすればいいかを今まで考えてきていました。
 私は魚なんて特に興味はなかったし、好きでもありませんでした。でもカジカに会ってからはカジカの知識だけですが、とても豊かになりました。どちらかと言うと魚は食べることしか考えてなかった私が、カジカは食べたくない、食べるんだったら増やしたいという気持ちになりました。私自身大きな進歩かもな、と思います。
 その「増やす」という言葉は言うのは簡単ですが、いざ増やすとなるととても大変なんだ、とカジカを飼ってからいやというほど思い知らされました。冷たく清らかな水でないとカジカは死んでしまう。私たちは様々な方法でカジカを増やそうとしました。けれど、カジカは増えるどころか死んでいく一方で、みんなどうすればいいかなやみました。そんな中、出てきたアイディアがせせらぎ作り。みんな賛成して、スコップをカンカン、つるはしでよいしょとかけ声をかけながら、せせらぎ作りをスタートさせました。設計士は、茂住耀子、つまり私です。せせらぎはゆっくりゆっくりでき上がっていきました。みんなはスコップやつるはしをカンカン言わせて、がんばってほっていました。私はみんなで完成させていくせせらぎが、どの学級でやっている一つのことより、いいなと思いました。でも、せせらぎの場所はとにかく石が多い。でもみんなで意見を出し合い、なんとかほり上げ、ビニールシートをしいて石積みに入りました。石積みをしていくと今まで土がむき出しでみっともなかったせせらぎが「ああ、せせらぎだなあ。」と言える形になっていきます。みんなが石を積むたびにせせらぎはせせらぎらしくなっていきます。全校に石を拾ってくださいと全校に頼み、またちょっとずつちょっとずつ、完成していきました。
 そして、セメントをくっつけて石を固定する作業に入ったのです。私はセメントをペタペタやるのがとっても楽しくてペタペタやっていました。先生もせせらぎの水の出る部分をせせらぎらしいそんな感じに組んでいました。私が初めてセメントをくっつけた所を水を付けたほうきで小林先生が教えてくれながらはくと、小林先生がこんなことを言いました。「大きくなったら『ここは自分がやったんだよ』って言えるね。」私は「そっかあ。言えるんだ。」と私は思い、うれしくなりました。学校に一生残る物を、今私たちは作っているんだなぁと思うと、私たちのやっていることはとっても大きくて、責任のある、そんな仕事のように思えてきます。
 セメントも、大部分にはりつけられ、後ろの所に、U字構とマスを持ってきて埋めなくてはいけませんでした。特にマスの方は、小岩井さんという方が買ってくださいました。でも重さが100キロ近くあり、私たちじゃ持ち上げられません。そしたら、小岩井さんは、「K建設」という建設会社の社長さんで、「私の所の人たちに、マスを埋めに行かせるよ。」と言ってくださいました。来てくださり、埋めてもらったマスを見ると、私は完成する日がグッと近づいた気がします。小岩井さんはカジカ放流会なども開かれて、私たちをさそってくれたり、私たちを孫のような目で見ていてくれます。きっと、小岩井さんがいなければ、私たちは今ごろ重いマスをフーフー言いながら運んでたと思います。また小岩井さんはカジカを下さり、それも一度ではなく二度も三度も持ってきてくださいました。とってもうれしかったし、小岩井さんも、私たちの笑顔を見て、うれしそうでした。
 せせらぎはドーナツ形で、真ん中にしばふを植えました。せせらぎはまた、きれいにおめかしして、美人になって、光っていました。そして、横の部分には花だんを作り、せせらぎも、ためし流しをしました。そうすると片方に水が流れ、もう片方にはあまり流れません。そこを考えなきゃな、と思います。
 もうせせらぎは完成に近いです。けれどまだ完成はしていません。でも、がんばってみんなで完成させてみます。小岩井さんの他にもお世話になった人はたくさんいます。カジカの飼い方を教えてくれた石川さん、私たちが新聞に載ったのをきっかけに、自分で釣ったカジカを下さった松本さん。たくさんの方々にお世話になり、その恩返しをするのにはまず、せせらぎを完成させることではないかと私は思います。だから、がんばって、せせらぎを完成させます!がんばります!

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