水防活動は堤防を作ったり、川底を掘ったりする治水事業とともに水害対策の両輪を担ってきました。治水事業が完遂するまでに相当な時間と費用がかかるのに対し、水防活動は応急対策として比較的少ない費用で大きな効果が得られます。こうした水防活動は元々、村落等を中心とした伝統的な自治組織によって運営され、発展してきました。目の前の被害を食い止めるため、短時間に多くの人を要する水防活動は、地縁的な連帯を持つ住民組織に適していたのです。また、その工法も幾多の洪水体験を通じ創意工夫・改良がなされ今日に伝えられています。
異常な状態 |
対応工法 |
目的 |
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越水 | 積み土のう工 ・ 改良積み土のう工 |
洪水によって堤防が沈下した場合や増水する早さが著しく、洪水が堤防を越しそうになったとき、越水を防ぐために用います。 | ||
漏 水 |
月の輪工 |
出水中に、堤防裏側に漏水により水が吹き出し、その漏水口が拡大されるのを、土のうを積んで水の圧力を弱め堤防の決壊を防ぐ工法です。 | ||
シート張り工 | 川表が崩れ始めたり、堤防の透水が生じた時に川表の崩壊を防止し、吸込み口をふさぎ、透水を防ぐ工法です。 | |||
釜段工 | 堤防近くの平場に漏水が生じた場合、土俵や土のうを積み上げて水圧により噴出を減らす工法です。 | |||
堤 防 の 欠 壊 |
木流し | 流勢を緩和し、洗掘による堤防決壊の拡大を防止する工法です。 |