川と共に暮らす
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着工遅れる飯山地方の大堤防工事(飯山市)

飯山大堤防

大正7年に挙行された千曲川改修事業起工式ののち、飯山地方での着工は大正12年にずれ込み、常盤平、木島平でそれぞれ同年12月に起工式が開催された。工事は第一次世界大戦後の景気後退もあり着工したものの遅延した。両地区では工事助成会を結成し、寄付金の拠出や事務を賄うなど工事全般にわたる便宜を図っており、地域住民の熱い思いと協力体制が記録されている。こうして昭和6年8月、小沼~大倉崎間の大堤防工事が8年の歳月を要し完成した。
常盤平の堤防が完成した昭和6年、日中戦争がはじまったこともあり、瑞穂村築堤は昭和7年、蓮築堤と柏尾築堤の着手は昭和11年となっている。時局の影響で労力費が暴騰し予算不足もあって堤防断面形状の見直し、縮小などで経費節減を図り、昭和16年までに完成させている。

明示時代の千曲川と旧飯山町 小さな土手のような堤防に沿って街並みが広がる
千曲川堤防工事
昭和5年 千曲川護岸工事
鉄線ではなく粗朶の骨組に石を詰めて締めている護岸
昭和25年 下高井郡木島村安田 千曲川防炎工事一本溝による水制杭打櫓と木工沈床吊落し作業

堤防の決壊

こうした堤防の完成で洪水に対する安全性は高まったが、大洪水による被害がなくなっものではなかった。昭和20年には柳新田の堤防と支川樽川の堤防が決壊、昭和57年に樽川の堤防決壊、翌58年洪水では戸狩、柏尾の本川左岸で堤防が決壊し甚大な被害が発生した。

昭和20年10月5日 洪水 飯山市
昭和20年10月5日 洪水 飯山市柏尾
  • 着工遅れる飯山地方の大堤防工事
  • 千曲川本川堤防が決壊
  • 立ヶ花狭搾と延徳沖の湛水
  • 改修計画の川幅を挟めた小布施堤防
  • 千曲川に加えて天井川「百々川」の脅威
  • 洪水に苦しめられた川中島平
  • 千曲川の瀬替えで分断された西寺尾
  • 戸倉上山田温泉と自営堤
  • 坂城の河岸段丘と千曲川氾濫原
  • 蚕都上田の礎飯島堤防と中之条堤防
  • 安曇野の湧水と三川合流
  • 犀川上流直轄改修のはじまり