第2章 新潟地震の証言と教訓 第7節 火災編 目次に戻る
  【教訓】工場、プラントの防災対策
 

 

 新潟地震における昭和石油の炎上は、多くの人の心に今も焼き付いている。私たちは2度とあのような出来事を見たくないし、その思いはプラント関係者も同じだ。ここでは、現在の石油コンピナートの防災対策を、昭和シェル石油株式会社新潟製油所に聞いてみた。

 

●液状化現象に対する地盤および基礎対策
 新潟地震での被害を大きくした原因に、液状化という現象がある。そのため、新潟製油所の再建にあたっては、この問題をいかに解決するかに力が注がれたのである。その結果、バイブロフローテーション工法が採用され、施工されている。これは、簡単に言うと地盤を締め固めるもので、液状化現象を起こさない地盤に改良する方法である。さらに、重量のあるもの、塔状のもの、振動するもの等の機器の下には鋼管杭を打ち込み、この強固な地盤の上に、頑丈な基礎を構築。さらに、地中梁で基礎杭を連結して、地震時の水平移動に対する備えを行っている。

●構造物に対する耐震性
 液状化対策を施した基礎の上に建つタンクや、各種機器に対しても、支持部や材質の強度をアップすることで、かなりの耐震性を持たせている。
 また、新潟地震の際に発災したフローティングタンク(石油貯蔵タンクの一種で、屋根が石油に浮いている形になっている)は、その構造を改良している。当時の火災は、タンクの浮屋根と側面とのシール機構が金属製だったため、振動でこすれて火花が出たことが、最も可能性が高い原因と考えられている。このため、金属製シール機構を全廃、ソフトタッチのシール機構を採用している。また、タンクからの油の溢流を防ぐために、側板の高さを上げている。さらに様々な技術を投入して、タンク自体の防災対策を施しているのである。
 製油所構内には各種の配管があるが、この配管も、もちろん耐震構造となっている。管の種類により、バネによる支えを持ったスプリングサポートや、フレキシブルな接合方法等工夫が見られる。また、可能なかぎり埋没配管をやめ、地上配管にすることで、事前の不良個所発見や、災害時の迅速な対応などが可能になっている。

●被害を最小限にとどめるための対策
 地震の際は、火災だけではなく油の流出等も考えられる。これが火災と同時に発生すれば、近隣住民にも大きな被害をもたらしてしまう。新潟製油所では、まずタンクの周囲に設置された防油堤が流出をくい止める。この防油堤は鉄筋コンクリート製、ジョイント部分はフレキシブル構造となっている耐震性の高いものである。万一、これが破損し、油が流出した場合は、この外側に設置してある流出油防止堤が防ぐよう、二重に対策がとられている。
 また、消火対策についても、かなり充実しているといっていいだろう。構内各所には、自動消火装置や、水幕設備、緑地帯などが配置されているとともに、独自の消防隊を組織している。ここには、化学消防車、高所放水車、薬搬車などをはじめとする消防車が待機しており、火災発生時には迅速に行動する。年に2回、全社員が参加する本格的な消防訓練も行われており、その消防防災能力はかなり高いレベルにある。
 昭和シェル石油には、当時のにがい体験が貴重な教訓として活かされているのである。

【写真】防油提
タンクの周囲に設置された防油提。

【写真】流出防止提と水幕設備
緑地帯に設置された流出防止提と水幕設備。

【写真】フレキシブルジョイント
タンクと配管の接続部に設置されたフレキシブルジョイント。

 

前のページ 目次に戻る 次のページ