阿賀野川の自然

用語の解説

R型の淵(アールがたのふち)(共通)
大きな岩や橋桁の周囲などがえぐられてできた淵(ふち)で、河川の上流域(じょうりゅういき)(河川形態型(かせんけいたいがた)のAa−Bb型からBb型の上部)にかけて多く存在する。→M型の淵、S型の淵、河川形態型
移行帯(いこうたい)(共通)
→エコトーンを参照
一年生草本(いちねんせいそうほん)(植物)
春に発芽(はつが)し、夏から秋にかけて花をさかせて実をつくり、その年のうちに枯(か)れて死んでしまう草のこと。
浮石(うきいし)(共通)
川底(かわぞこ)の石が砂や泥にうもれていないことで、早瀬(はやせ)の石はこの状態になっている。→沈(しず)み石
エコトーン(共通)
推移帯(すいいたい)、移行帯(いこうたい)ともいう。水中と陸というような性質の異なった環境をゆるやかにつないでいるところで、そこにすむ生き物の集まりは多様性(たようせい)がたかいことがおおい。また、そこにしか生きられない生き物もいる。
S型の淵(エスがたのふち)(共通)
河床(かしょう)の材質(ざいしつ)のやわらかい部分が削られてできた淵で、おおきなものは滝壷(たきつぼ)などである。ヤマメ、イワナなどがすんでいる上流部に多い。→M型の淵(ふち)、R型の淵
M型の淵(エムがたのふち)(共通)
川の流れが曲がっている場所にできる淵(ふち)で、中流から上流域では流れの突き当たる側に岩盤があることが多い。面積や水深が一般的に大きく、淵の中でも魚類の生息環境として重要な型の淵である。

外来種(がいらいしゅ)(共通)
本来、その地域には生息しなかった種類が、人の手で持ってこられたり、偶然(ぐうぜん)の機会に入りこんだりしたもの(帰化種ともいう)。例えば、アメリカシロヒトリは北アメリカ原産、サカマキガイはヨーロッパ原産の外来種。
希少種(きしょうしゅ)(共通)
レッドデータブックの選定種のうち、分布地や生息域が限定されている種または亜種をいう。→レッドデータブック
魚食魚(ぎょしょくぎょ)(魚類)
他の魚類を餌とする魚で、日本に生息する淡水魚ではハス、オオチクバス、ブルーギル、カムルチー、ナマズなどが該当する。
魚道(ぎょどう)(河川)
堰(せき)やダムなどが魚類等の上下流への移動をさまたげる場合に、移動を可能にする施設をいい、階段状(かいだんじょう)のもの、ゆるい傾斜(けいしゃ)のものなどがある。
婚姻色(こんいんしょく)(魚類、その他)
魚類、両生類、は虫類、鳥類では、繁殖期(はんしょくき)になると体の色の一部または全体がいちじるしく変化し、通常の体色にくらべて目立つような色になるようになる。この色は求愛行動のときに異性(いせい)に見せて、性行動(せいこうどう)が触(しょく)はつ発されるので婚姻色(こんいんしょく)とよばれる。例えば、ニホントカゲでは交尾期(こうびき)にオスのノドから腰にかけてオレンジ色の婚姻色が現れる。魚ではメスオスともに現れるウグイ、マルタウグイ、サケなど、オスに特に強く現れるゼゼラ、モツゴ、ヨシノボリ類、アブラハヤ、オイカワ、カワムツなど、メスに強く現れるウキゴリ、ビリンゴなどがある。
根茎(こんけい)(植物)
タケ、ヨシ、シバなどの植物の地下で横に長く伸びている地下茎(ちかけい)のことで、地上に新しい茎を出すもととなる。

採餌(さいじ)(鳥類、その他)
鳥類などが餌(えさ)をとること。
在来種(ざいらいしゅ)(共通)
地方種ともいい、一般にながい期間の自然淘汰によりそれぞれの地方の環境条件に適応(てきおう)して定着している種類。
囀り(さえずり)(鳥類)
鳥がしきりに鳴くことを囀(さえず)りという。囀りには次の2つの形がある。その鳴き方は種類によって違うので、種類の判別に役立つ。1つはテリトリーソング(縄張(なわば)りの歌)とよばれるもの。大声で単調な形式を繰り返す。もう1つはコートシップソング(求愛の歌)とよばれるもので、小声で複雑に長々と鳴く。
仔魚(しぎょ)(魚類)
魚類が卵からかえってから、すべての鰭(ひれ)の条数が成魚と同じ数になるまでの段階を仔魚(しぎょ)という。
沈み石(しずみいし)(共通)
川底の石が、砂や泥に埋もれている状態。平瀬や淵で見られる。→浮石(うきいし)
種(しゅ)(共通)
生き物を分類する基本単位。形態的・生物学的形質が一定で、相互に交配が可能である。例えば、人間はヒトHomo sapiensのただ一種類で、「人間」は「種」ではない。
終齢幼虫・終令幼虫(しゅうれいようちゅう)(昆虫)
完全変態(かんぜんへんたい)(幼虫がサナギになってから成虫になる)の昆虫ではサナギになる直前の幼虫を終齢幼虫(しゅうれいようちゅう)いい、不完全変態(ふかんぜんへんたい)(成虫になるのにサナギの期間を経(へ)ない)の昆虫では羽化の直前の幼虫をいう。
樹皮(じゅひ)(植物)
樹木の形成層(けいせいそう)より外部の部分。樹木の生長に従って絶えず変化する。木の種類によっても様子が異なり、種類を判別する方法の一つにもなる。
常緑樹(じょうりょくじゅ)(植物)
葉が形成されてから冬を越し、1年以上落ちないで葉の働きをする樹木をいう。葉の寿命が1年以上あり、新葉が出てから古い葉が落ちる。針葉樹と広葉樹があり、針葉樹は亜寒帯に多く、広葉樹は温帯から熱帯にかけて多い。
食樹・食草(しょくじゅ・しょくそう)(昆虫)
チョウやガなどの昆虫の幼虫が決まって餌としている木本や草本をいう。例えば、国蝶のオオムラサキはエノキなどを食樹とし、マダラミズメイガはジュンサイなどを食草としている。
食性(しょくせい)(共通)
動物がどのような種類の物を食べるかを示す用語。食性は一般に、植食性、肉食性、雑食性、腐食性に分けられる。
植生(しょくせい)(植物)
ある場所に生育している植物の集団を漠然とあらわす言葉。植生図は、植物群落の具体的な分布状態を示した地図。
食物網(しょくもつもう)(共通)
→食物連鎖
食物連鎖(しょくもつれんさ)(共通)
食う・食われるという食物の関係によってできる、生物の種類の間のつながりのこと。例えば、川の中では食う方から順に、鳥類(ゴイサギ)あるいは大型魚類(オオクチバス)→小型魚類(ヨシノボリ)→水生昆虫(カゲロウ)→デトリタス・付着藻類というような関係(連鎖)が見られる。これらは単純に一方向だけの関係ではなく、複雑に絡み合っているため、しょくもつもう食物網と表現されることもある。
水生昆虫(すいせいこんちゅう)(昆虫、魚類)
生活史の全部または一部を水中で生活する昆虫のグループの総称。昆虫綱のうち、水生生活をする種が見られる目は、トビムシ目、ゴキブリ目、カワゲラ目、カゲロウ目、トンボ目、カメムシ目、アミメカゲロウ目、トビゲラ目、チョウ目、コウチュウ目、ハチ目、ハエ目の12目である。このうち、成虫も幼虫も水中で過ごす種が見られるのはカメムシ目とコウチュウ目(但し、コウチュウ目のホタル科、ナガハナノミ科の成虫は陸生)だけで、その他の目に属する種では幼虫、あるいは幼虫と蛹の時代を水中で過ごし、成虫になると水から出て陸上(空気中)で生活する。
水草(すいそう・みずくさ)(植物)
主に淡水域に生育する大型の植物の総称で、水生植物(すいせいしょくぶつ)ともいう。生活場所や生活型によって、抽水植物(ちゅうすいしょくぶつ)、浮葉植物(ふようしょくぶつ)、沈水植物(ちんすいしょくぶつ)、浮游植物(ふゆうしょくぶつ)などに分けられる。
棲み分け(すみわけ)(共通)
生活のしかたがよく似ており、おなじような環境に生活する種類が、場所または時期的に生活の場をつかいわけている現象。また、同じ生活の場を占める場合には食物の種類がちがうことが多く、これはときに「食い分け」とよばれる。
スモルト(魚類)
サケ科の魚類では、成長の過程で海に降る準備のため、海水の塩分に耐えられる体づくりをします。このときにパーマークが薄くなり体の色が大食が銀色に変化します。この変化をスモルト(銀毛(ぎんけ))といいます。大きな川や湖などでは、海に降らないイワナなどでも大型化してスモルト化するものが出てきます。→パーマーク
瀬(せ)(共通)
川の中で水深が浅くて流れが急なところを瀬といい、早瀬と平瀬に分けられる。早瀬:流れは速く、水面には白波が立つ。川底の石の状態はおおむね浮石である。平瀬:流速は早瀬よりはやや遅く、水面にはしわのような波が立つ。川底の石の状態はおおむね沈み石である。
生活型(せいかつがた)(共通)
生き物を生活のしかたによって分類したもの。生活しかたに着目した生物のグループ分けを生活型分類または生態的分類という。淡水魚、海水魚といったグループ分けや、肉食性植食性、雑食性といった分け方がこれに該当する。
生活史(せいかつし)(共通)
動植物の個体が、発生してから次世代の個体を生じ、死ぬまでの全生活の過程をいう。
生息環境区分(せいそくかんきょうくぶん)(鳥類、その他)
動物の利用している環境によって動物を分類する方法。水辺に飛来する鳥類などでは、主に水面を利用するものを水鳥、水際付近を利用するものを水辺の鳥、河原など主に陸の部分を利用する鳥を陸鳥と区分している。
絶滅危惧種(ぜつめつきぐしゅ)(共通)
レッドデータブックの選定種の中で、人間活動に伴う自然破壊や環境汚染、乱獲等により減少が著しく、人が保護の手を加えなければ遠からず絶滅するおそれのある生物種のうち、特に絶滅の危機に瀕している種または亜種をいう。→レッドデータブック

たまり(共通)
河川本流から独立して、陸域にある水たまりのこと。
稚魚(ちぎょ)(魚類)
魚の発育段階のうち、仔魚に続く段階で、すべての鰭(ひれ)の条数が成魚のそれと同数になってから、鱗(うろこ)ができ上がるまでの期間をいう。形態的には眼が大きかったり、鰭が長く伸びていたりして、細部のプロポーションが未成魚、成魚とは異なる。→仔魚(しぎょ)
D型の淵(ディーがたのふち)(共通)
ダムや堰堤の上流側が掘られてできる淵をいう。→S型の淵、R型の淵、M型の淵
底生魚(ていせいぎょ)(魚類)
水底を這って生活するようなハゼ類、カジカ類などの魚類を、水中を遊泳する遊泳魚に対して底生魚という。
底生動物(ていせいどうぶつ)(昆虫、魚類、その他)
水域で水底の岩石などに固着したり、砂泥中に潜入したり、あるいは水底上を這い回ったりして、水底で生活している動物のこと。河川では水生昆虫、貝類、カニ類などがこれに該当する。
冬眠(とうみん)(哺乳類、魚類、その他)
動物が生活活動を中止した状態で冬を過ごすこと。本来は恒温動物(こうおんどうぶつ)のうち、寒冷気になると体温が維持できずに低下してしまうリス・ムササビ・モルモット・ヤマネなどが、冬季に洞穴や木のうろの中などに入り、ほとんど動かずに春を待つ状態をいうが、広義には、体温が気温とともに低下し、体内の物質代謝が低下して活動に必要なエネルギーが得られなくなる陸生の変温動物(節足動物・陸生貝類・両生類・は虫類など)の越冬(えっとう)にも適用(てきよう)される。魚類ではウナギやドジョウなど冬眠(生活活動を停止して泥に潜って過ごす)するほか、多くの種が深みに移動してじっとして過ごす。

夏毛(なつげ)(哺乳類、その他)
野生の哺乳類では1年の一定の時期に、体を覆っている毛全体が抜け変わることがある。夏の毛を夏毛、冬の毛を冬毛という。
縄張り(なわばり)(共通)
動物の個体・つがい・群れなどが、採餌、繁殖などのために他の個体や単位集団と地域を分割して生息し、侵入された場合にこれを防衛する空間をいう。鳥類では多くの種が繁殖期に巣の周囲を中心に縄張りを形成するほか、非繁殖期にも単独またはつがいで採餌のための縄張りを形成する種がある。また、魚類ではアユに代表される採食縄張りと、卵が孵化するまでオスが巣を護る習性をもつトゲウオ科、ハゼ科、カジカ科などに見られる繁殖期の縄張りがある。

パーマーク(魚類)
サケ科魚類の稚魚に出現する小判型の暗紫色の斑紋でスモルト期には不明瞭になる。しかし、陸封型では生魚まで明瞭に残ることがある。→スモルト
早贄(はやにえ)(鳥類)
モズが捕らえた獲物を尖った枝先などに刺しておく行動を、はやにえを立てるという。はやにえされる動物には、カエル、トカゲ、魚、小鳥、昆虫などがある。
常緑樹(はんじょうりょくじゅ)(植物)
サツキやツツジのように、春に伸びて夏に繁る春葉と、夏に伸びて一部は冬を越す夏葉の、2型の葉をもつ樹木をいう。
繁殖期(はんしょくき)(共通)
動物が交尾・産卵・出産・育児などの繁殖活動を行なう時期。1年のうち、一定の季節と関係して周期的に現れるものが多く、繁殖地への季節移動を伴うものもある。鳥類では、つがい形成、営巣、抱卵、育雛などの一連の行動が見られるが、つがい関係にも一夫一妻、一夫多妻、一妻多夫など様々なタイプがあり、オスとメスの役割分担も種類によって異なる。
伏流水(ふくりゅうすい)(河川)
河川水が地下に浸透して地下水となり、河川敷または旧河床の下などを流れているものをいう。伏流水となっているところでは、河床に水が流れていないように見える。
淵(ふち)(共通)
淵は流れがゆるやかで水深が深いところで、水面は波立たず、底質はおおむね砂質である。淵はその形態と成因からM型、R型、S型、D型などに分けられる。→M型の淵、R型の淵、S型の淵、D型の淵
付着生物(ふちゃくせいぶつ)(共通)
水中の岩や石、コンクリートブロック、護岸、杭など付着し、生活の拠り所としている生き物。
冬毛(ふゆげ)(哺乳類、その他)
→夏毛
浮遊生物(ふゆうせいぶつ)(共通)
水域の生物のうち、移動力がないか、あっても非常に小さいため、水の動きに逆らって移動することなく、水中を浮遊する生物の総称で、プランクトンとよばれるものである。淡水中では湖沼や水溜りに多く、流水中には少ない。
ペリット・ペレット(鳥類、その他)
食物の非消化部分を胃で丸めて口から吐き出したものをいう。鳥類では、小型哺乳類や魚類を丸呑みする猛禽類(もうきんるい)(特にフクロウ等)やカワセミ類、サギ類、モズ、カラスなど、約60科330種でペリットを作る習性があることが知られている。
捕食・捕食者(ほしょく・ほしょくしゃ)(共通)
肉食性動物(にくしょくせいどうぶつ)が、生きている餌動物(えさどうぶつ)をつかまえてたべることを捕食(ほしょく)といい、捕食を行う動物を捕食者(ほしょくしゃ)という。→食性

湧水(ゆうすい・わきみず)
地下水がわき出しているところ、わきみず。
ヨシ原(共通)
ヨシの繁茂している場所。川では中~下流域に多い。水際のヨシ原はオオヨシキリ、ヨシゴイなどの営巣の場となる。また、秋、冬のヨシ原は多くの陸鳥のねぐらに利用される。

落葉(らくよう)(植物)
高等植物において、葉柄の基部に離層が発達し水分の供給が断たれ、葉が枯れて落ちる現象をいう。落葉前には葉の中の炭水化物、タンパク質、無機塩類などが茎に移動し、葉緑素が分解して黄変することが多い。
落葉樹(らくようじゅ)(植物)
葉が形成されてから1シーズン以上続かず、落ちてしまう樹木をいう。温帯では春に葉が伸びるが翌年の春までもたずに、冬の低温によって落葉する。熱帯では雨期に延びた葉が次の雨期まで続かず、乾期に落葉する。
落下昆虫(らっかこんちゅう)(魚類、その他)
流下昆虫に対して、周辺の水辺林などから水面に落ちてくる昆虫をいう。→流下昆虫(りゅうかこんちゅう)
卵塊(らんかい)(昆虫、その他)
複数の卵が一塊になって産出されている状態をいう。また、複数の卵が入っている卵嚢または複数の卵嚢の集団を卵塊とよぶこともある。
流下昆虫(りゅうかこんちゅう)(魚類)
落下昆虫に対して、水中を流れてくる昆虫をいう。落下昆虫は主に陸上の昆虫類(水生昆虫の陸生の親も含む)であり、流下昆虫は主に水生昆虫である。→落下昆虫(らっかこんちゅう)
林床(りんしょう)(植物、植物群落、その他)
樹林地の地面のこと。
レッドデータブック(Red data book)(共通)
絶滅の恐れのある野生生物の形態や生態、生育状況をまとめた本。日本では環境省がとりまとめている。

渡り(わたり)(鳥類、その他)
鳥類などが、繁殖地(はんしょくち)と越冬地(えっとうち)の間を毎年きまった季節に移動をくりかえすこと。魚類などでは回遊(かいゆう)という。
和名(わめい)(共通)
動・植物についている日本語のなまえ。